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波動の龍者  作者: ケイマ
第2章
38/81

それぞれの気持ち

なんか最近毎回5000字超えるようになって来たー!

ちょっとずつ増やしていこう!

零断か仮眠から目覚めた時にはもう全員が起きて朝ごはんも食べ終わっていた。というよりもう昼ごはんの時間だろう。

零断がうーんと伸びをするとユニが近づいてきた。


「あ、おはようございます。零断さん。」


「全員起きたみたいだな。」


「そうですね。ところで、僕やあと2人の神職はいつ決めるんですか?」


後ろから来ていたクロノが聞いてくる。零断は立ち上がると


「ティアの次に起きてたのはお前だな。もうやるぞ。」


「わかりました。よろしくお願いします。」


クロノは儀式場へ向かう。零断の魔力もほとんど全快しているので問題ない。

クロノが光に覆われると零断はティアに結果を聞く。


「ティアの神職は?」


「私はねー!風精霊使いだったー!!!」


「やっぱりか…」


零断は想定どうりの結果で少し考えている。


「やっぱりってどういうことですか?」


ユニが予想してたかのように言う零断に質問する。


「まず考えてみろ。こんな多人数の個人職が集まると思うか?」


「いえ…」


「ならば、あの基地がもし個人職の子供を扱う場所だったりしたら?」


「あっ!つまり…」


「そう言うことだ。」


「そういうことってどう言うことー?」


「つまり盗賊には人の適正神職を見ることができて、あの基地に集められた子供は多分全員個人職っていうことだよ。」


零断とユニ、マサが先に理解してしまい、ティアには分からなかったようでマサがティアにもわかるように説明をする。


「それなら私たちも個人職?」


「の可能性が高いってことですよね?」


「ああ。」


「ならなら!マサ兄さんが炎で私が風なら他のみんなは水か地か雷だよね!!」


「そうとも限らないと思うよ。ユニが聖妖精だったんだし、不思議な妖精を操る個人職の可能性もあるだろうね。」


「クロノはなんだろー?」


「雷とかになりそうだよね。」


「…確かになるかも…」


「神職は性格に大きく影響される。だから雷の可能性が高いだろうな。」


この会話で初めてムペが声を出す。

ポツリとした声だが、零断にはしっかりと聞こえた。

ユニとマサは零断のことを相当信頼しているようだが、ムペは明らかに怖がっている。

まずムペが怖がるのも当然なのだ。自分たちを脅していた盗賊を皆殺しにして圧倒的な強さを見せた。

そう考えるとティアはともかく、ユニとマサはある意味異常なのだ。

先ほどユニに聞いたところ


『あの盗賊たちみたいに小さな欲などではなく大きく、力強い志があるように感じました。あと、見た瞬間この人は信じられるって感じたんです。これで売られたとしたら私に見る目がなかっただけなので。』


と言った。ユニは賭けに出たのだろう。零断を信じて助けて自分たちの未来を少しでも明るくするために。

この判断はマサにも言ったようで、マサも賛成だったようだ。

しかし、この判断は大人だからできることなのだ。ユニもマサもこの年代の中では相当人生経験などを積んだようで1、2歳上の観点で物事を見ることができる。しかし、他の4人はそういうことはなく年相応なのだ。

ムペはいつ殺されるか分からない。怖い。という感情なのだろう。おそらくそれは多少はクロノやチャマも持っているだろう。

この子供達にどれだけ信用させるかでそれからが大きく変わるだろう。

そういうことが主な理由として零断はムペがつぶやいた言葉に賛成する。

クロノの結果は予想通り雷であった。

クロノが戻ってきたところでユニが別の会話からもともと気になってたことに質問する。


「雷ってことは零断さんと同じですよね?」


「ああ。」


「え、零断さんって雷魔法使いなの?炎つけるときに詠唱もしてなかったから炎魔法だと思ってた…」


「あ、このことは私と2人の時に言ったんでしたっけ。」


「……ふたりっきり。ユニ。何もされてない?」


「な、何もされてるわけないじゃない!零断さんがそんなことすると思う?」


「どうだか。女の子と二人っきりならどんな人も性格が変わるしね。」


「そうそう。」


「零断〜!ユニに何したのー?」


「会話をした。」


「…それだけ?」


「そ、そうだよ!」


「ユニには聞いていませんよ。零断さんに聞いているんです。」


「特にそういうことはしてないから安心しろ。俺にはちゃんと好きな人がいる。」


「ほう?その人を置いてこんなところまで来てるんですか?」


「ああ。だって王国の貴族どもの策略によって殺されたからな。」


「なっ、!」


「っ!」


今まで零断のことを信用せず、今が攻め時だと思い攻めていたクロノとチャマ。

しかし、零断の言葉で言葉が詰まる。

零断の言葉には今まで感じたことがない『零断の感情』が乗っていたのだ。

それは怒り、憎しみ、悲しみなどいろいろな気持ちが詰まっていたと感じたのだ。

零断はこれ以上何も言わない。言っても仕方がないのだ。感情を乗せて八つ当たりする意味もないし、相手は子供だ。


「クロノ!チャマ!何をしているんだ!」


「…真実を聞いてただけ。」


「それでも聞いていいことと悪い事があるだろ!」


「…僕が言わせようとしたんじゃなくて零断さんが自分で言ったんだ。僕は悪くない。」


「ああ。そうだな。なら、お前の家族はどうした?」


零断がクロノがしたのと同じような質問をする。


「お前に教える必要はない。」


「ある。お前らを帝国まで送るためにはそういう共有も必要だろ?」


「僕は帝国まで送れなんて言った覚えはないっ!」


「そうか。ならここに置いていこうか。」


「なっ!」


「零断さん?」


マサとユニが声を上げる。しかし、零断は二人の目を見て自分の意思をアイコンタクトで伝える。

二人は本当にクロノを置いていくつもりはないという事が分かったのでこの流れを見守ることにする。


「…僕を置いていくのは他の人も反対だと思うぞ。」


「何故そう思う?」


「こんな子供を捨てるような人を誰が信用するか!」


「もし俺が奴隷商人だったら。と考えたのか?」


「っ!」


「俺が奴隷商人だったら子供を捨てようなんて思わない。しかも個人職持ちだぞ?」


「それは…」


「奴隷商人だったら全員を無理やりでも連れていくだろうな。けど、俺は奴隷商人ではない。お前の反抗でうまく帝国に渡れなかったら嫌だからな。お前が話す気がないのなら俺はお前を置いていく。」


「…なら王国へ送るっていう手もあるんじゃないのか?お前の勘違いで僕達は連れてこられた可能性もあるんだから。」


「それなら俺は王国の村ではなくお前を盗賊の基地に連れて行く。ならばもともとお前を助けなかったことにすればいいんだからな。まぁ、基地から一番近くの村まででも普通の人の徒歩なら何日もかかるけどな。」


「近くにはテニラ村があったはずだから1日で着く。」


「ああ。そこは俺が住んでいた場所だな。」


「まさかどのぐらいかかるかを間違えたのか?自分が住んでた村なのに?そんなやつを…」


「テニラ村はもうないから何日かかるかわからないと言っているんだぞ?」


「なっ、!」


「お前らが襲われた盗賊と同じやつらに全員殺されたんだよ。俺は王都へ向かっていたんだ。個人職持ちだからな。」


「…」


「俺には高速移動手段がある。それを使って帰ってきた時にはもう遅かったんだよ。盗賊どもが俺の好きな人を…セリアを殺したんだ!それがどれだけ辛かったかわかるのか?わからないだろうな!人を真剣に好きになったことのないガキには!ここにきて、助けてくれて、信じてくれて、愛してくれて。

そんな人を俺は目の前で殺されたんだぞ!」


クロノは呆然として零断の言葉を聞いている。

零断が心を乱したのが初めてだからだろう。


「だから俺は盗賊どもを皆殺しにしたんだよ!その中でお前らがいたから助けたんだよ。なら助けなければよかったのか?」


「…」


クロノは答えない。


「お前にきているんだよ!クロノ!どうなんだよ!」


「……なら…なら僕はどうなんだよ!盗賊どもが攻めてきて、お父さんとお母さんは殺されて、お姉ちゃんはめちゃくちゃにされて、僕は意識を失うまで殴られて!起きて見たら牢屋の中だ!それで先にいた奴らに売られるとかいうんだぞ!全てを失って、さらにその悲しみを持ちながら王国の貴族とか、金持ち達に買われるんだ!」


「ほら。言えたじゃないか。」


「え?」


「俺が感情的になった。それは俺の事実を伝えるのと同時にお前の心の声を聞くためだよ。俺はもうお前らと違って割り切れてるんだよ。次の生きる目標があるんだよ。こんなことで感情を爆発させたりしない。」


「…」


零断はあえて感情を出した。しかし、零断が本当に感情を爆発させたらどうなるかはわかっているだろう。

感情を操作できなかったら周囲に波動を撒き散らして災害をもたらすだろう。


「クロノ。お前は俺にどうしてほしい?」


「僕は…」


クロノは零断の零細さに圧倒されながらも考え、答えを出す。


「僕は、帝国に行きたい。こんな人で無しの王国なんかにいたくない!零断さん。お願いします!僕を、僕を帝国まで連れて行ってください!」


「呼び捨てでいい。それと、元からそのつもりだ。」


「…そうですか…あなたに助けてもらえてよかったと思う。」


「そうか。さて、チャマはどうする?なんなら基地までは送るが?」


「…私の親は生きてる。けど、私は口減らしで捨てられて盗賊に捕まった。もとから王国に行って思い入れなんかない。連れて行って。」


「ああ。わかった。」


「反抗してごめんなさい。あなたを信用できてなかった。」


「あって2日で信用できるほうがおかしい。ユニとマサが異常なだけだ。」


「ん。時間をかけるけど、よろしく。」


「ムペはどうする?」


「ぼ、僕はみんなについていく…」


「王国に思い入れとかはないのか?」


「ない…と思う。」


「そうか。」


そこまで会話をすると零断は切り上げる。


「次はムペとチャマどっちだ?」


「次は私。予想では水精霊。」


「だろうな。よし、やるぞ。」


チャマに光が降り注いだ後、零断は昼食の準備のために色々用意する。もちろん付き添いにユニがいる。料理担当はユニなのだが、ご飯を炊くのは零断の方がうまい。ユニが危ないと言われてやってこなかったという理由がある。

二人っきりになった後にユニが零断に質問する。


「あの零断さん。私とマサが異常ってひどくないですか?」


「事実だろ?」


「まぁ、あって2日の人を信用するなんて確かにそうですよね…」


「まぁお前らはそういう賭けに出るしかなかったんだろう。」


「零断さんを信用しなかったら多分あの基地で飢え死にしてると思います。そう思うと信じてよかったと思います。私たちが少しでも躊躇ったら零断さん置いていくつもりだよね?」


「ああ。」


「なら、やっぱり零断さんを信じるのはどのような状況になろうとも必然だったということですね。」


「そうだな。後ユニ。お前もタメ口でいいぞ。」


「そうですか?じゃあそうさせてもらおうかな。改めてよろしく!零断さん!」


「ああ。」



ーーーーーーーーーーーーーー


白い狼は零断がついた数時間後に盗賊の基地についた。

そこは外に大量の血と死体があり、中の窓には血がこびりついていた。

白い狼は気配を消して中に入る。

中に人の反応は地下に数人と部屋の中に一人いた。地下には囚われた子供。なかには零断がいる。

その零断も魔力の使いすぎなのか、苦しそうに寝ていた。何か悪い夢を見ているかのように。

白い狼は血によってよってくる魔物を倒すために外に出て索敵にかかった魔物から倒していく。白い狼は時折零断のことを見ながらそれを繰り返した。

3日後。魔物の討伐をしてた白い狼は零断が起きたことに気づく。そこからすぐに戻ると零断は子供達を連れて山を登った後だった。白い狼はそれを追いかける。さりげなく周りの魔物を倒しながら零断たちを見守れるポジションにつく。

途中一匹だけ逃したが、零断が瞬殺した。

そこから少し歩いた場所で零断たちは止まり、寝る準備を始めた。

白い狼もいい位置を見つけ、そこに座る。

そしてご飯を食べた後、零断たちは寝た。

白い狼は周りを警戒しながら一日中寝なかった。時々寄ってきた魔物を倒すだけである。

朝早くに零断は起きて料理を始めた。すると、一人の人間が起きる。

白い狼から見て一番零断を信用している少女だ。そして彼女は白い光に包まれた。

白い狼はそれを見て自分が変異種に進化した時に似ていると感じた。白い狼には今何をやっているかは分からなかったようだ。と、そこで魔物が近づいてくるのを見つけた。白い狼は零断が気づく前に討伐するため全速力で走り出す。

瞬殺して周りに魔物がいないかなどを確認しながらゆっくりと帰ってくると零断と少年が揉めていた。この少年は零断に対抗していた。

しかし、それも長くは続かず、すぐに零断言いくるめられたようだった。

その後、先ほどとは違う少女と少年が零断に誤っていた。

白い狼はそれを見て違和感を感じた。

この少年には何かある。

しかし、違和感が何かわからないので無視することにする。

その後、1時間おきに光の筋が出た。

その後、この日は何も起こらずに終わった。

白い狼は1週間ぶりほどの睡眠をとった。







人の気持ちって難しいですよね。

クロノのように幼いのに深く考えるとか昔の俺だったらありえないですw


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