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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
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ストレス

キズト町は零断の予想より大きく外れた『町』だった。

零断はテニラ村がそうであったようによく異世界にある発展が全くされていない『村』の上位互換だと思っていたのだ。

しかし、実際見てみると発展した異世界の『町』だったのだ。

どのような風景かはご想像にお任せしよう。

さて、キズト町に着いた零断はというと、1人疎外されていた。理由は

「あっ!グレンさん!こんにちは!今日はどのようなご用件で?」

「ウィリアム老師もじゃないですか!とりあえず、うちによっていきません?」

と、2人はなんか大人気なのだ。

【グレンは傭兵としてこの辺も守っている(だろう)から多少納得できるが、なぜウィリアムもなんだ…】

心内でため息をつく零断。

2人が話し終わるまで外で待っていようと決めた。

が、しかし、すぐにグレンが零断を話しのネタとする。

「今日はあいつを冒険者登録しにきたんだよ。相当実力があってな。」

「へぇ。そうなんですか。ん?あの後ろに担いでいる剣は?」

グレンと話していた町人A(名前分からないから零断がつけた仮の名前)は零断が持っている立派な剣が気になったようでそれを聞いてきた。

その答えはグレンではなく、ウィリアムから出た。

「わしが作ったのじゃよ。こやつの魔力や、癖などをすべて計って完璧にな。」

「「「「「なっ!!」」」」」

ウィリアムがそういうとウィリアムのことを囲んでいた町人B.C.D.E.F(町人A同様)は一斉に零断の方向を向く。

その普通でない目力に零断は無意識に一歩下がる。

《どういうことだこれ?》

と、最終手段の念話をする。すると、

《わしの作った剣は超高額で取引されるのだ。さらにそれが個人限定だと、羨ましがられるのは当たり前じゃ》

と、平然な声で返して来る。

【ンなん知らねーよっ!先に言えやっ!】

零断が突っ込んでももう遅い。もう5、6人に囲まれ逃げ場はなかった。

「どうやってウィリアム老師に剣を作っていただいたんですか!」

「その剣よく見せてください!!できれば参考のために譲ってくれませんかっ!」

「貴様にはもったいないっ!我にその剣を譲るのだ!」

様々なことを言われ、呆然としながら呆れる零断。だが、その間にも零断の剣を見るため、奪うために剣を触ろうとする。

最初の数秒は避けていたが、その後すぐにだるいと感じて、波動を威圧に使った。

ただの波動放射だ。手加減して放てば雑魚を怯ます程度しか意味がない。

しかし、この場にいた人達に零断の実力を理解させるには十分であった。

「これはウィリアムから直々にもらったものだ。それに、こいつは俺のことしか理解してない。生きているんだよ。だから詳しく見ようとしても反発されるし、奪おうとしたら魔力を放射されるぞ。」

この言葉を聞いて零断に群がっていた人達は力の差を理解しほとんどのものが諦めた。

もともと零断に群がっていた人は鍛治氏が多いのだ。力強い意思があり力があるならば勝つことはできないのであきらめたのだ。

しかし、諦めないものもいる。どうしても自分のステータス(評判)のためにウィリアム作の剣が欲しい冒険者や貴族である。

そのもの達はやはり、実力行使をしようとする。

「ふん。その程度の威圧しかできないのか?ならばその剣に似合うじつりょ「ああ?黙れ。」っ、!!」

零断は自分以上にコンヴィクスのことを理解している人はいないと思っている。実際事実だが。

そして、コンヴィクスに1番適してるのも自分だと思っている。同じく事実だ。

だから、零断はコンヴィクスとの関係を馬鹿にされるのがイラっときた。

もともと人のものを奪おうとする奴らに呆れていたのに、文句まで言いだすのだ。さらに上から目線で。

零断は我慢できなくなり、その言葉を吐いた者や、同じようなことを言おうとしている者に無感知状態の波動を当てる。

無感知状態の波動は隠蔽、索敵、念話などに使える。つまり、当然他のことにも使える。

先ほど放ったのはただただ

このくらい力があるぞ

ということを示すための放射ですごく簡単なものだ。

しかし、今回放ったのは『感情』を波動に乗せた状態のものだ。

その感情は『殺気』

この波動を放ったことで弱いものは気絶し、強いものでもちびった。

もう何も声が出ない様子。零断は汚いのでその場を移動し別の場所へ行く。

周りの人は何が起こったのかが全くわからないので頭の上にハテナマークを浮かべる。

グレンとウィリアムは理由がわかっているので零断の感情にため息をつきながら今話していた人と折り合いをつけ、零断を引き連れ本題の冒険者ギルドへ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


零断は機嫌を悪くしながら冒険者ギルドに向かい、ウィリアムとグレンは流石に不味いと思い始めている。

零断はこういう自分のものや関係を馬鹿にされたり、奪われると感情的になってしまう。

地球では全然怒らず、穏やかだったのにリスパルタに来てからは感情的になりやすくなっているのだ。

理由はストレスだろう。

唐突に今まで毎日会っていた人と会えなくなり、ゲームもない。もちろんラノベや漫画もないのだ。

今までそういう面はあまり見せていなかったが、今まで知り合って来た人たちとは違う人。しかも、出会った直後に自分の大切にしているものをバカにされ、奪おうとするのだ。

日に日に溜まっていたストレスが爆発したようなものだろう。

前にグレンに涼音との関係を疑われた時もグレンの言葉にも怒ったが、半分くらいはストレスのための怒りだった。

そのことをなんとなく察したグレンとウィリアムは何か会話しなければと思いながらも何を話せばいいかわからず、放置してしまっていた。

もともとはウィリアムが悪いのだ。この世界に来たばっかりだというのに町に来た零断を放置したから。逆に話を振ったから。

ウィリアムもちゃんと引け目を感じている。

話をしようとしている間に冒険者ギルドについてしまった。

零断は無造作にドアを開ける。


その先は………


非常に酒臭かった。

冒険者ギルドは2階建てで相当な広さだ。ウィリアムの家の1.5倍くらいだろう。一階奥が職員用。2階と1階の手前は基本冒険者が群がっている。

そして、冒険者は非常に荒い。零断のようなまだまだ子供が入って来たらもちろん注目が集まり、喧嘩を売る。

「ああ?どこの坊ちゃんだ?てめーみたいな弱っちぃのはこーゆーところに来てはいけないんだぞゴラッ!」

グレンとウィリアムは後ろをついて来ていたのでまだ冒険者ギルドに入っていない。

2人が入っていれば相当ちがうだろうが今は零断1人。

何人も群がってくる。

冒険者にとって零断は世間を知らないただのガキで痛い思いをさせる対象だ。

もちろん暴力や略奪である。

なので、その剣を奪おうとする。

「おいおい。クソガキのくせに良い剣持ってんじゃねーかよ!その剣俺によ「黙れ」ゴブッ、!!」

結果、零断は黙れとつぶやき、実感知波動を剣を奪おうとした者にぶつける。同然ぶっ飛ぶ。その者は冒険者が酒を飲んでいたテーブルを大きく吹っ飛ばす。

冒険者から笑い声が聞こえる。

「何やってんだよ!」

「ちゃんとしろ!何もないところでふっとぶってお前体どうしてるんだよ。あははは〜」

「頭おかしいのかこいつ!」

そう言って他の5、6人の冒険者も立ち上がる。零断を教育するようだ。

もちろん零断はもうめんどくさいので圧倒的な力を見せて潰す。

「おいが、ぶおっ!」

何を言おうとしたかわからない。多分『おいガキ』と言おうとしたのだろう。

言葉を発した瞬間。数メートル先だった零断が距離を詰め、顔面パンチを喰らわす。

その行動を誰も見ることも感知することもできなかった。

「てめっなにやっブルオワァッ!」

残りの数人が殴りかかってくるので全員の拳に対応し、全てに蹴りや殴りを入れる。

殴り、蹴りを入れられた者は全て冒険者ギルドの壁にぶつかる。しかし、最後の1人だけ下に落とし髪の毛を掴んで持ち上げる。

「てめーらみたいな屑は黙ってろ。人を見た目で判断するほど冒険者というのは屑なのか?本当に雑魚しかいないな。」

この言葉を聞いた後、冒険者たちは圧倒的な威圧に弱い者は気を失い、強い者でも吐きそうになった。いや、吐いたものも大勢いる。

零断は町で出したを殺気よりさらに強に殺気を波動に乗せて放つ。

もうこれには名前をつけていいだろう。

【波動威圧。そのままだな。】

流石に力の差がわかったのか冒険者が寄ってこない。ちょうどそこにグレンとウィリアムが到着した。

「…おうおう。なんでこんなことになっているんだ?」

「はぁぁぁ。なんかすまんな。皆の者。」

冒険者や受付の人はグレンとウィリアムが現れたことに大きな驚きとその前に来た少年が強い理由を悟った。

「んで、なにをやらかしたんだ?零断。」

「別になにもしてないよ。殴りに来たから殴り返しただけ。身体強化使わずにな。あーあとうざかったから威圧した。」

これに2人は はぁぁぁ とため息をつく。

「まぁ零断。気は晴れたか?」

「我ながら実感しているが、未だにめちゃくちゃ不機嫌だな。」

「まぁ、冒険者登録くらいはできるじゃろう。ほら、早くやるぞい。」

ウィリアムが先を促し、零断は受付の人へ挨拶をするのであった。






あと2話っ!

ちょっと待った。嫌な予感しかしないんだけど。

これきりよく終わらない気が…

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