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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
18/81

なんか昔使ったことがあるような…

零断はその後1ヶ月間ひたすら波動を行使し続けた。その努力の結果、波動弾は大きさ威力共に操作できるようになり、魔剣技。いや、波剣技(グレン命名)はカカシだけを切ることができるようになった。1ヶ月でここまで個人職を使いこなす人なんてそうそういない。

やはり零断は天才だ。

そして、また王国使徒が来た。もちろんまだ零断はまだ王都へ行く気は無い。

実力が不十分の状態で行くことになったら、緊急時に対応できなくなるからだ。というわけで使徒が村がいなくなるまでの一週間。零断はニートになった。

今回のニートな一週間は他の波動を使った技を使えるようになることが目標だ。

まだ零断は波剣技と波動弾しか使えない。これではせっかくの波動の汎用性が勿体無い。

使えるようになりたい魔法は2つ。

簡単にいうと“索敵”と“隠蔽”だ。

この2つはあらゆるところで使うことができる。

魔物の急襲や暗殺などを防ぐことができるし、隠密行動を取りたい時に使うことができる。

零断的に

「とりあえずあったら便利じゃね?」

という考えだ。

これを聞いたグレンとウィリアムは苦笑いしながら

「その索敵系はともかく隠蔽系は使える神職が非常に少ないから重宝にされてるんだけどなぁ。とりあえずと言える零断の価値観が少し狂ってる気がするな。」

「索敵も使える人は多いが、性能は様々じゃ。多分零断の索敵は神職が“索敵者”の者と同レベルの実力だろうな。まさにさすがは個人職というところか。」

と言っている。

ウィリアムが零断の索敵がすごいと予想しているのは今までの技の性能を見ているからである。魔剣技も切り裂くものもあるが、同時に吹き飛ばすものなんて普通はない。同じく、吹き飛ばすものはあるが、同時に引き裂くのはないのだ。普通1つの能力に2つ付いている。さらに、威力の変化ができない魔剣技や、確実に仕留めることができない魔剣技もある。その点においても波動の性能は圧倒的だった。

そして、それを使いこなす零断の凄さもある。

索敵には1つ手がかりがある。波動者になった時に記憶に入った感覚である。

何も振動が無い湖に一滴の水が落ちて、波紋ができる。そして、その波紋がその湖の中ある障害物を感知する。そのような感じだ。

そして、零断はその感覚に何か覚えがあった。それが何かは全く覚えていないが。

まずそれを思い出す。その作業からニート生活が始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんかやったことある気がするんだよな。なんだっけ…」

零断が部屋にこもってから早1時間。ずっと悩んでいる。実際に水を持ってきて波紋を作ってみたりもしたがピンとこない。時々どうでもいいことを考えていたりしてサボっているが、基本真面目に取り組んでいる。

波動で湖のようなものを作ってそれに波動を落としてみても結果はほとんど一緒。

手がかりがあると思ったが、全然分からなかった。

「波動弾も魔剣技も咄嗟に使ったからなぁ。こういう地味な能力はそういうんじゃなくて頑張るしか無いからなぁ。はぁぁぁ。」

零断は大きなため息をついた。その後、瞑想のようなことをする。明鏡止水的な感じのことをやっているのだろうか。

そんなことをやっていると、静かにドアが開く。セリアだ。話があってきたようだが、明鏡止水もどきのような感じで胡座をかいて座っているのでなんとなく声がかけずらかったのだろう。

セリアは零断の部屋にある椅子に座って零断が気づくのを待った。

一応零断は索敵の練習をしているのだが、セリアが部屋に入って来たことすら気づかないので全くできていない。

セリアは待つ。

1分後。よほど集中してるんだなぁと感心する。

2分後。零断を見入る。

3分後。なんとなくいたずらをしたくなって来た。

4分後。零断の髪の毛に寝癖発見!可愛いなぁと思う。

5分後。足をプラプラさせてみる。

6分後。そろそろ気づいて欲しい。

7分後。立ち上がって零断のいるベッドに腰掛ける。

8分後。何しても気づかないと感じて、どうイタズラしようか考える。

9分後。いい案を思いついた!

10分後。後ろから思いっきり抱きついた。そして、

「零断。もうそろそろ気づいてください。そうじゃないと寂しくて零断を食べたくなってしまいます。」

と妖艶さを出して声を出す。

「うぉわぁっっ!」

奇妙な声を出して立ち上がる。しかし、布団に滑ってしまい、後ろに倒れる。

セリアは立ち上がったところで零断を離している。零断は無意識に身体強化を使い、空中にいるくせに腕を高速で動かし、ベッドに着地しようとする。しかし、ベッドにはセリアがいる!

そして、そんなことが一瞬で起こったこともわからないセリアは零断が高速で動かした腕のせいで風が起こりそのスカートがめくれる。

「きゃぁぁっ!」

と反射的に叫んだせいで零断の目線がセリアの股の方へ…

そして、体から力が抜け、そのままセリアがいる方向へ倒れる。セリアはギリギリ体をずらして少し避ける。しかし、足は動いておらず、パンツに零断の頭が落ちる。零断の目の前に生暖かいパンツ!手に力が入らないっ!何故だっ!

セリアは顔が真っ赤だ。

「んっ!」

どこかが当たっているからかすこし声も出している。

零断は思った。

【攻め時だ。】

と。

この日、零断は珍しくセリアを自分から攻めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「もうっ!何やってるんですか!波動の練習をしてるんじゃ無いんですか?」

「練習をしてたらセリアが驚かして来たんだろ?それに…」

「それに?」

「気持ちよかっただろ?

珍しく俺から攻めたから嬉しかっただろ?」

「っ!?!?ま、まぁ。はい。気持ち…よかったですし…凄く嬉しかった…です…」

いきなりパンツに顔を埋められて、そのまま流れでやられてしまったセリアはプンプンだったが零断の言葉に怒れなくなってしまう。

今、2人はベッドの中で裸のまま身を寄せ合っている。

セリアのそんな様子を間近で見ている零断は

【可愛い〜。もう1セットやっちゃおうかな】

と考えたりもしているが、そんな考えが実行されることはなかった。

何故ならば、聞き慣れた声が玄関から聞こえて来たからだ。

「おーいセリア。入っていいか?」

グレンである。もともとセリアは零断に話があって来たのだ。それはグレンから零断に話してほしいことだったのだ。

それを気持ち良さに忘れていたセリアは慌てて答える。

「ちょっ、ちょっと待っててくださいっ!家に入って来たら怒りますよっ!あと、零断のせいでまだ話せていませんっ!」

その声を聞いてグレンは

【久しぶりにやってるな。けど、今日まだ午前だぞ?ハードだな。】

と思いながら気付いたことを注意する。

「今あいつのことを大声で話すな。」

とギリギリセリアに聞こえそうな声で伝える。

「あっす、すみません!」

「おう。これから気をつけろ。あと早くしろ。」

「乙女の嗜みの時間を…ちょっ、零断!何してるんですかっ!ちょっ、やめ…っ!聞こえてたでしょ!やめなさいっ!」

それから約10分後くらいに家のドアは開いた。セリアはやけに火照っていた。

前にもされた

『零断式お仕置き』

をされたのだろう。

グレンはセリアが零断の訓練中にイタズラしてお仕置きされたのだろうと予想をしてセリアは放っておく。

そして、零断に本題を話す。

「さて、俺がセリアに伝えたことはまだ聞いてないんだよな?」

「ああ。セリアがイタズラして来たから。」

「すべて私のせいですか?ねぇねぇ。襲って来たのはどっちですか?」

「後ろから抱きついて来たのはセリアだろ?」

「お前ら俺がいるところでいちゃつかないでくれ。セリアはとりあえず零断に引っ付きすぎ。あとで思う存分愛してもらえ。」

「ムゥゥゥ。」

セリアはグレンを軽く睨みながら唸っている。

「話を戻そうよ。それで、俺に何の用?」

「ああ。えっとな。もしこの期間で零断が索敵と隠蔽を取得できたらキズト町に行って冒険者登録をしようと思うんだ。俺らの傭兵団のメンツは全員登録してある。だからお前もしておいたほうがいいと思ってな。」

「確かに。もし王都へ行って涼音がいなかったとしても諦めきれないだろうからな。俺はもう一夫多妻でもOKだから。セリアとしてはもう1人、または2人以上俺に妻がいたらどう思う?」

「私は誇らしいですね。私の好きな零断はこんなにも沢山の人に愛されているんだって思えるので。」

「ほうほう。女から見るとそうなるのか…」

地球とリスパルタの感覚の違いを実感する零断。するとグレンが

「話を戻すぞー」

と声をかける。最近見慣れた光景だ。3人のうち2人が脱線し、1人がストップをかける。

零断はこの会話が好きだった。理由は涼音と“親友”とも同じような会話をよくしていたからだ。昔に戻ったような感覚になり、心地が良い。同時に心の奥で寂しさも感じる。

そう考えているとグレンが話し始める。

「王都へ行くときは多分王都の使者の馬車に乗せてくれるが、帰りは徒歩、または自腹だ。なら、冒険者稼業をしながら帰って来ても損はないというわけだ。」

「了解。つまり俺は今週中に索敵と隠蔽を取得すればいいんだろ?」

「ああ。そういうことだ。頑張れよ。あと、ウィリアムがわからないことがあったら聞けって行ってたぞ。」

「なら早速昼に聞きに行こうかな。グレン。籠運びよろしく!」

「ああ任せろ。」

なぜ昼なのかはいうまでもない。

セリアは話が終わったグレンをすぐに追い出して、零断におねだりするのであった。


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