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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
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制御できない!

セリアと身を重ね合ったのと同日。零断は村人全員に平謝りしていた。

「昨日はすみませんでした。グレンに少し言われただけで荒ぶってしまい、俺が持っている力を暴走させてみなさんに怪我させてしまって。昨日のように感情を揺さぶられない限り絶対にこの力を暴走させたりはしないので許してください。」

この言葉を聞いて誰もが思った。

この事件はいつも優しい零断が怒るほどのことを言ったグレンが悪いと。

なぜグレンが悪いということになったかは、零断がセリアを受け入れたからである。人というのはその場の感情に流されやすい。両親を失ってから笑わなくなったセリアを笑わせてくれて、受け入れてくれた零断にはみんな甘くなったのだ。ついでに暇があると農作業を手伝ってくれているので尚更だ。いつもはグレンに感謝を感じているが、この場は違かった。

零断の言葉にグレンが返そうとする。そんなグレンの首根っこをウィリアムが引っ張る。そして、近くのおばちゃんが零断に対してこう言う。

「今回は零断が悪いんじゃないわよ。グレンが零断の怒るようなことを言ったからって、みんなの意見が一致したわ。だから、そんなに頭下げないで。 セリアの夫として堂々としてなさい!」

グレンが驚きの表情をする。そして、グレンはウィリアムに引きずられていく。目指すところは訓練場。グレンの部下(零断の味方)が待ち構えてる。頑張れ。グレン!

セリアは零断に顔を上げさせ、おばちゃんの言葉に顔を赤くさせながら、零断と腕を組む。零断はセリアのされるがままになりながらおばちゃんに

「ありがとうございます。やっぱり俺は感情を制御するのが苦手みたいで…まだ訓練もしていない『波動』が暴走しちゃいました。なので、今日から波動の練習を頑張ります!」

と、答える。するとおばちゃんが親しみやすい笑みを浮かべながら

「頑張りなさいな。」

と、答えた。

その後、グレンの悲鳴が村に響いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


零断の報告が終わったあと、まだ昼ご飯を食べていなかったので今はセリア(零断)の家で昼ご飯を食べているところだ。

…非常に甘ったるい雰囲気で。

お互いに あーん しあいながらご飯を食べている。2人とも顔を赤く染めながら。時間がかかるので、今日以降はやらないことになったがならばこの昼ご飯で味合わなければということで2人ともゆっくりとご飯を進めている。

そして、外では零断に波動の練習を付き合ってくれと頼まれ、約1時間くらい前から待っているグレンがいる。一度、窓から中を見て、諦めて自分の魔法の訓練をしている。

それから約30分後にやっと零断が家から出て来た。

「やっと出て来たか。人を待たせておいてよくあんなに甘ったるく飯を食えるな。」

「え?気づかなかったよ。ごめんねー。」

零断は棒読みである。

「はぁぁぁ。まぁいいか。……セリアを幸せにしてくれてるしな。さぁ!ここからは気をひきしめろ。お前の波動が暴走したら村が吹っ飛ぶからな。」

「ああ。わかってるさ。……セリア、行ってくるな。」

「行ってらっしゃい。零断。」

まさに新米夫婦のような会話に今日はする回数が非常に多いため息をしたのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


2人は村のはずれまで移動する。訓練場は傭兵が訓練しているので使えないのだ。

そもそも制御できない波動を街中で使うこと自体危険である。

そして、2時間後

「もっと集中しろ。個人職の魔法は普通の魔法より集中が必要なんだ。」

「…わかっている。」

今零断は的に実体化した波動をぶつける練習をしている。魔法名は“波動弾”だ。どこぞのキャラの技と似ているが、この技名はグレンが考えたのでOKだ。

話を戻そう。

零断は的だけを狙い、撃っている。しかし、支えている棒まで吹っ飛ばしたり、時には地面がえぐれることもある。制御が非常に難しいのだ。雷魔法のコントロールが完璧なこともあり、グレンはすぐにコツを掴むと予想していたが、そんなことはなかった。

グレンは零断が努力して雷魔法を身につけたんだな。という感想になったが、実際零断は雷魔法はあまり努力してない。数週間で魔法を多数完璧にするなんて普通無理なことだ。

グレンの勘違いがいい方向なのか悪い方向なのかは置いておいて、今も零断は波動の調整をしている。

【さっきの良かった時の感覚を思い出せ!魔法は基本イメージだ。手加減のイメージをするんだ。】

と言い聞かせている。

「よし。いいぞ。」

「はぁぁっ!“波動弾”!」

力が入りすぎたのか、波動弾は変な方向へ飛んでいく。そして、的を通り越して、数秒後土煙が舞った。

「くそっ!また失敗か!何で成功しないんだ…ちゃんとイメージしてるのに。」

「……零断。ちょっといいか?」

グレンはこの2時間気になっていたことを口に出す。

「お前最初からずっとイメージって言っているけどどういうことなんだ?」

「…?ああ。そっか。魔法はイメージすることで詠唱省略とかできるんだよ。俺の場合、雷をイメージするのが得意だからな。逆に炎は全然イメージできない。本当の炎を見たことないからな。」

このことを聞いてグレンは驚いている。そりゃそうだ。イメージを強くできるようになるだけで、零断のように急速に強くなることも可能だからだ。

「しかしまぁ、自分で言うのもなんだが、俺みたいな、相当な想像、妄想力がないと無理だからな。あと、詠唱になれてると詠唱の省略の方がやりやすい。限りなく詠唱を少なくすればいいだけだ。」

「お前…このことを公表したらすごいことになるかもしれないぞ。」

「そうか?」

「ああ!まだ未発見の事実だ。しかも実用性が高い!っと、話を戻そう。今零断は逆にイメージしかしてないんじゃないか?しっかりとお前の周りにいる波動を感じとってるのか?今までイメージでやってきたかもしれないが、感覚に任せることも大事だぞ。」

零断は それも一理ある。 みたいな顔をして、手を少し広げ、目を閉じる。波動と触れ合っているようだ。そして数分後に目を開けた。

「ああ。そう言うことか。グレン。的を頼む。」

「お!今回は行けそうだな。もう用意してあるぞ。」

「いくぞ。“波動弾”!」

零断の突き出した手から野球ボールほどの白く濁った透明な弾が出ていく。これが波動だ。

今回の波動弾は正確に的をうち抜いた。グレンもまさかアドバイス一個でここまで完璧になるとは思ってなかったようで固まってる。そんな中で零断が声を出す。

「うん。わかったぞ。感覚っていうのもやっぱり大事だな。グレン。気づかせてくれてありがとな!流石だぜ!もう百発百中だわ!」

零断の堂々とした態度に少し呆れながら

「お?そくか。調子乗るんじゃないぞ。どんどん小さくしていくからな。」

というと

「正直多分余裕だわ。」

と、自信満々に返される。そうするとグレンもからかいたくなり

「言ったな?10回連続成功させなかったらセリアにお前の黒歴史をバラしてやる。」

「おうやってみろ。」

と言うことで零断とグレンの戦いが始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


結果は零断がミスった。最後から3番目くらいの時手元が狂い、変な方向飛んでいった。

零断が負けたので今日の夕食はグレンも一緒に食べ、話のネタにすると決まった。セリアもそれを了承して

「零断の黒歴史楽しみです!」

とにこやかに笑った。

その後も波動弾のコントロールや、波動と触れ合い、使いこなせるように努力した。

夕飯は零断がすぐに食べ終わり、寝てしまった。疲れているのか、照れているのか。

セリアは別に頻繁にやりたいわけではなく、前回は証明したかったと言う理由でやったらしい。やはり、しっかりとした生活は王都に行ってからなのだろう。

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