私も見て!
次の日の朝。零断は寝不足だった。すこしでも気をぬくとセリアを襲ってしまいたくなるのだ。そのセリアは零断の横で腕を抱き枕にして寝てる。
【くぅ。セリアを好きと自覚してからはなんか色々きついな。あと何ヶ月後になるかわからないがなるべく早くしないと俺の理性が…】
と思いながらうまく枕と腕を交換する。腕を抜くときに柔らかい感触が生に感じてくるが、全て無視だ。
【何でノーブラなんだよ…こいつやる気満々か?】
と、セリアの気持ちをさり気なく当てている。しかし、流石にないかと思って顔を洗いに水溜め場へ行く。顔を洗って、眠気を落とし、いつも通り魔法の鍛錬。波動は危ないから外でやるとして、雷魔法だ。正直移動手段が欲しいのでエレキトルムーブをうまく改造する。消費魔力を少なくし、長時間使えるようにする。そのためにはあーしてこーして…
「ふぁぁ。零断。おはようございます。」
と、ひたすら考え、宙に浮いてを繰り返しているとセリアが起きてきた。
「おうセリア。おはよう。ん?なんか御機嫌斜めっぽいな。どうした?」
セリアが頰を膨らまして零断の方を見るので可愛いなぁと思いながら、零断が聞く。すると、
「…あんなに大胆に誘ったのに抱いてくれなかった…」
先程思った事が事実だったので固まる零断。それにセリアは追い討ちをかける。
「ネグリジェ姿でノーパンノーブラなのに。胸も下も擦り付けてたのに。零断の理性硬すぎですぅ〜。」
言葉が出ない零断。ついつい聞いてしまう。
「そんなに俺に抱かれたいの?」
そして、いった瞬間やらかしたと悟った。
セリアは妖艶さを纏いながら、零断の胸に胸を押し付け吐息がかかるくらいの近さまで近づいて言う。
「はい。私は零断が大好きなので、その証明をしたいです。それに……子どもも欲しいですし…」
何とも甘い声だ。零断の顔は真っ赤になり、セリアも流石に恥ずかしかったのか、顔を赤くしている。しかし、今のセリアは顔が赤いほうが魅力的で零断の理性が崩壊寸前まできている。
【まじでやばい!下がもう立ってる!あたってる!ってちょい待て!さするな!まじでやめテェェ!あっ、これ涼音との2回目の時みたいな流れだっ!このままじゃセリアペースになって流されるっ!ま、マズイィ】
セリアは零断が頭を超高速フル回転させている間にも零断の下をさすっている。どんどん元気になっていく。
そこに救世主が現れた。
「零断。起きてるか?ちょっと話が…」
グレンだ。すごく罰が悪そうな顔をしている。しかし、零断は歓喜の表情を浮かべる。グレンならセリアを止めてくれるだろうと。
しかし、そんなことはなかった。セリアが先制攻撃する。
「従兄妹さん!零断が私のことを抱いてくれません!どうすればいいでしょうか?」
零断は固まる。止めてくれって言おうとした瞬間に先制攻撃を打たれたのだ。グレンも固まる。グレンは昨日のことで、零断はセリアを抱いていなくて、セリアに告白されたが断ったと思っていた。
【何だこと状況は…零断はセリアを断ったんじゃないのか?なぜあんなに密着して、零断はセリアを剥がせるはずなのに剥がさないんだ。状況が理解できない…】
どちらも固まっているうちにセリアがグレンに説明する。
「昨日、零断が従兄さんに怒ったのは零断の言う涼音さんとの関係を否定されたからですよ。私との関係は作ってくれたんです!受け入れるって。まぁ、王都から帰ってきてからなんですけどね…それでも!体を受け入れてくれるくらいいいと思うんです!もう零断は涼音さんと何度かやっているみたいですし。従兄妹さんも零断に何か言ってください!」
2人はさらに固まる。
【なぜセリアは俺と涼音が何回か、というか、結構やってることを知っているんだ!俺は言ってないぞ!】
【なに!零断はもうやっているのか!俺はまだ相手も見つけていないんだぞ!くそう!俺も出会いが欲しい!】
…ふたりともずれた考えをしている。そんなことも知らずにセリアは背伸びして零断とキスをする。当然零断は引き離そうとするが、唇に舌を入れられ、されるがままになる。グレンはグレンでセリアがいきなり零断とキスをし、深く味わってることを見て呆然とする。
そして、1分以上キスをした後、セリアが零断から顔を離す。口と口の間には銀の線があった。そして、セリアはグレンの方を向く。零断への言葉を求めているのだろう。グレンはこんなに熱心に求めているセリアをなぜ零断は受け入れないのかと思い始め、そのことを口にする。
「零断。受け入れてやれ。それが男というものだろう。」
「なっ!?!?」
「ふふふ。さぁ、零断。寝室に行きましょう。」
零断はグレンの言葉にかたまり、セリアに強制的に引っ張られる。抵抗しないのは、グレンの言葉のせいなのか、実際は嫌がっていないからなのか。とにかく、零断はセリアの部屋へ連れていかれた。グレンはそれを村のみんなへ伝えに行った。グレンはセリアの救世主だったようだ。
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零断はベッドへ倒され、その上にセリアが乗っかる。重さはあまり感じない。零断の体が強いからだろう。
そんなことより、現在、零断の上にはセリアがいる。そうなると必然的に零断の胸に先程以上に豊富な胸が押し付けられる。さらに、零断の立っている下にセリアの下が押し付けられ、セリアは腰を左右に振り、気持ちよくしてくる。そして、顔はまじかで、頰を両手で挟んでいる。そうなると零断は顔を横に向けることもできず、視線はなぜかセリアの目にいってしまう。
「零断。お願いです。私を抱いてください。」
単刀直入に言ってくる。しかし、零断は涼音がどう思うかに頭が行ってしまう。
「…それはできない。涼音が悲しむかもしれない。」
そう言うと、セリアは零断の首に腕を回して、零断に抱きつく。そして、小さな声で言う。
「……私のことも見てください。」
「え?」
小さな声だったのでつい、聞き返してしまう。そしたらこう返される。
「今の私はすごく幸せです。両親を失い、あまり心から笑えなくなってしまったのに、大好きな人が現れ、その人に受け入れてもらえたのですから。…幸せになると欲望が湧いてきます。零断に私を見て欲しい。そう思いました。けど、零断は涼音さんのことしか考えていない。
……私のことも見てください。もっと、私のことを知って下さい。零断に知られたいんです。」
セリアの心からの本音だった。零断は自分のことを少ししか知らないし、見てくれない。涼音がいるから。けど、不思議と嫉妬はしなかった。ただ見て欲しいだけだから。自分だけではなくていいから、自分のことをいっぱい見て欲しかった。そういう、久しぶりの感情に今セリアはなっていた。
そして、それを零断は理解し、考え直す。
【そうだ。昨日から涼音と自分のことしか考えてなかった。自分のためにこうしたら、セリアも喜ぶ、そんな感じだった。ああ。馬鹿だな俺。セリアを受け入れると言っておきながら、セリアのことを考えてなかった。まだまだだな。】
「ごめんセリア。自分のことしか考えてなかったよ。」
「あっ…」
と言い、セリアをこれ以上ないほど抱きしめる。
「一応聞くよ。こんな、みっともない俺でいいのか?」
「零断はみっともなくないですよ。私は零断がいいんです。私を抱いて下さい。」
2人は重なり合った。
セリアまだまだ続きます