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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
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過去

その後、セリアが零断を家へ連れて帰った。そして、お祭りなどする雰囲気にもなれなかったのでその日はちょっとした復旧作業をしてお開きとなった。

グレンは多くの人から非難を受けた。いくら2人で森を進み、村で一番理解している者となっても、自分の能力を制御できないほど怒らせたのだ。当たり前のことである。

村の人々が零断に対する感情は大きく分けて3つある。同情、恐怖、心配である。

一番多いのが同情。コレは今まで少しでも零断と関わったことがあるものが多い。

次に心配。グレンや、ウィリアム、近くのおばちゃんなどは結構長い時間過ごしているのでこういう気持ちになる。グレンは申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいだが。

最後に恐怖。コレは同情の逆で、あまり関わっていない人が多い。こういうことが何回もあれば零断を追い出そうとする者も出てくるかもしれない。

そして、零断とセリアも、家へ帰った後、零断が1人にしてほしいということで別々になっていた。


ーーーーーーーー零断回想ーーーーーーーー


俺の彼女 “露草 涼音”は高校1年の入学式で出会った。そこは、兄が通っていたこともあり、道は完璧にわかっていた。そして、入学式の、会場であるホールに向かう途中、ウロウロとした女子がいた。髪は長く、ストレートに伸ばしている。やはり入学式なのできちんとしている。顔は少しお姉さん顔で、 胸は平均くらいだろう。うん。普通に美少女だな。

そんなくだらないことを考えていたら、その子が振り向き、


「あの、すみません…ホールってどこかわかりますか?」


と聞いてきた。


「わかりますよ。俺もちょうど行くところなので。」


「あの、ついていっていいですか?」


勿論俺はOKし、2人で並んでホールへ向かう。その間に事前に知らされていたクラスや、自己紹介などをして友達になる。

運良く、クラスは同じで住んでいる場所も少し近かった。というわけでその後も一緒に行動するようになった。そして、次の日も、次の日も。そして、いつからか『いつも一緒にいる人』という立ち位置になった。実際、もう1人“親友”がいるのでいつメンはその3人だ。

もうその頃から涼音のことが好きだった。

そして、1年生の夏休みに、涼音から告白され、両思いだと知り、2人で笑い合い、恋人となった。

その後、9月ごろに事件は起こった。偶然親友がいない日で2人で帰っている時、通り魔にあった。


叫び声で振り返るとナイフを持ち、狂ったように振り回し、人を突き刺していく人がいた。そして、次の標的は涼音だった。涼音を見て笑い、ナイフを前に突き出して走ってきた。

涼音は恐怖のせいで動けないようだった。そして、俺はそれをみた瞬間に体が動いていた。涼音を思いっきり横に押した。


【涼音は無事だな。】


そう理解した次の瞬間。俺の左腕から大量の血が吹き出した。



痛いっ! 熱いっ! なぜ俺がこんな目にっ! もう嫌だっ! すべてどうでもいいっ!



そういう感情が俺の心の中で渦巻いた。それでも本能なのか相手の動きに反応する。

通り魔は標的を俺に変えたのか俺にナイフを向けてきた。

すると、今まで動いていた体が動かなくなった。VRではよくされて、普通に対応できるはずなのに現実だと全く動かなかった。


【コレが…本物の恐怖…か…】


【ああ。俺はここで終わりかもな…】


と思った。そして、無意識に涼音の方を向いた。その瞬間、今まで感じたことのない感情に触れた。元々零断も涼音も『高校生』での意味で付き合っていたはずだ。。どうせいずれ別れるだろうとも思っていた。

けど、今感じたのはそんな小さいものではなく、なんと例えればいいかわからないほどの大きな感情だった。


………おれはこのまま死んでいいのか?………


………まだやることが残っているんじゃないのか?………


………涼音を1人にしていいのか?………


………涼音を守るのは誰だ?………


俺にはこう聞こえた。そして、こう返した。


『涼音は俺が守る!永遠に!』


そう思った瞬間。体が自由に動いた。しかし、もうナイフは目の前にある。体をかろうじてそらした。脇腹を少し削られる。しかし、心の底から思うこの激情よりは全然小さなものだった。その後もナイフを振るってくる。ナイフが振るわれるたびに来ていたブレザーやワイシャツがちぎれ、血が滲み出てくる。通り魔はそのナイフを使い慣れているようで器用に振るってくる。切り傷が最小限なのは小学生からVRゲームをやり、戦闘に慣れている俺だからだろうな。

そんな時間を3分ほど続けていると甲高い音が聞こえて来た。パトカーだ。この音を聞いた途端、力が抜けていった。安心したからだろう。しかし、通り魔にとってはラストスパートなのだ。今まで以上に俊敏な動きをして俺の肩にナイフを突き刺した。

俺が刺されたと感じた時、油断や安心してたことに気づいた。はは。俺のミスだ。だからと言って諦めるわけにはいかない!俺がここで倒れたら涼音が狙われるんだ!

俺は今まで出したことのない声を出した。


「うおおおおおおおっっ!!!!!」


自分でもこんな状況でよくこんな声が出せたなぁと思った。

俺の渾身の殴りは顔面にクリーンヒットし、通り魔は体を後ろに倒れ、尻餅をついた。

同時に足から力が抜け、体が崩れ落ちる。同時に警察官がやって来て、俺の保護と通り魔の逮捕した。涼音も俺の方へ寄って来て何かを言いながら泣いている。よく聞こえなかった。そのまま意識が遠のいていった。


その後病院で俺は目覚めた。もう真夜中だったのに涼音が椅子に腰掛けて寝ていた。

とりあえず、涼音を起こしたらいきなり抱きつかれて今までにない痛みを感じた。

…刺されたところはここまで痛かったとは…

涙目になってやめてっていっても涼音は離れてくれなくて困ったものだ。

その後やっと涼音が離れてくれて、警察に事情を聞かれた。本当のことを話し、涼音と同じことを言ったことにより事情聴取は終わった。また、今回の事件についてを聞いた。


俺より前に刺されていた人は全員心臓を刺されていたことで死んだらしい。また、今回の通り魔は元自衛隊で60歳ほどだったらしい。

この年齢になり、もう人生なんてどうでもいいからという理由で人殺しをしたらしい。

そのことを知り、俺は涼音を庇ってよかったと思う。もし、あのままだったら涼音は死んでいたかもしれない。


それから涼音がいつも以上に甘えてくるようになった。なんというか、現実だとこんなにラブラブしているカップルなんていないだろうと思うほど常に一緒だった。くじ引きなのになぜか涼音と俺は隣の席。それが何回も続くというなんというか、愛なせる技(笑)

俺もなんとなく暇があると涼音を探してしまっている。

もしかしたら無意識のうちに涼音を求めているのかもしれない。


2年生に上がったが、クラス替えはないのであまり変わらなかった。

普通の日常の時、俺は涼音に聞いたことがある。


「もし、すごい遠くに離れ離れになったとしたらどうする?」


って。そしたら、


「その場所に私も行くに決まってるよ!場所がわからないなら全力で調べるし、最大限早く零断に会いにいく!」


と、即答された。次に


「俺が異世界転移されたらどうする?」


と聞いた。そしたら少し迷ってから


「それでも私は追いかける。絶対に諦めないよ。零断以外とは、一緒になりたくない。けど、零断が行って私がいけなかったら零断は幸せになって。私が幸せにしてあげたいけど、異世界じゃあ無理だろうからね。」


といってくれた。

そして、その半年後の9月18日。異世界転移が起こった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


セリアの気持ちは複雑だった。自分がしてはいけない恋をしてしまっていることはわかっている。この世界は普通に一夫多妻だ。しかし、1人しか嫁を持たないっていう人も多くいる。こういう小さな村ではそういうことが多い。

零断の世界は全て1人につき1人だ。零断もその類だろう。そして、零断は1人の女性。零断が言うには“涼音”という、人が好きなのである。そして、その人も零断のことが好きなのである。


もし、零断が2人目として認めてくれても、その人がいいとは限らない。ならば、やはり諦めてしまったほうが迷惑もかけず、いいのではないのか?と、考える。その考えが出たあとは非常に心が苦しいが、それしか考えられなくなった。そして、零断が部屋から出てきたらしっかりと言おうときめた。そして、寝ようと思い、自分の寝室に行こうとすると、ちょうど零断が外に出てきた。バッチリと目が合ってしまう、そして、2人とも正気を取り戻し、セリアが謝ろうとした時、零断がセリアに抱きついた。そして、


「考えたことを言うよ。だから、ちょっといいかな?」


実際、セリアに選択肢などなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


2人はリビングのソファーにすわる。しかし、微妙に距離が開いている。

そんなことなど気にせず、零断が話し始める。


「俺はグレンにああ言われてからずっと考えてみた。確かに“彼女”、いや、もう涼音でいいかな。涼音は俺のことを忘れているかもしれない。けど、やっぱりそれが本当とは限らない。だからやっぱり王都に行ってから決めることにした。」


そこに、覚悟を決めたセリアが口を挟む。


「いえ、もう大丈夫です。私が零断のことを諦めます。もともと、無理やりだったん…「ダメだ。」っ!?!?」


セリアが話し中に零断が否定し、セリアを止める。


「それじゃあダメなんだよ。」


「…なんでですか。そうすれば一番いいじゃないですか!」


「良くない!セリアが不幸になるだろ!」


「私なんか不幸でいいんです!元々父も母も失くしましたから不幸には慣れてます!それなら零断に幸せになってもらいたいとおもいます!」


セリアが必死に零断に諦めてもらえるようにお願いする。しかし、次の一言でお願いができなくなる。


「だから無理なんだよ。だって…涼音も好きだけど、セリアも好きになっちゃったんだから!」


「っ!?!?」


予想外の言葉にセリアは固まる。実際セリアは零断が自分のことをめんどくさいと思っていると感じていた。だから、好きと言われるとは思っていなかったのだ。そこにさらに追撃をかける。


「だから、もし王都で涼音が見つかって、また会えたとしても、セリアをしっかりと迎える。まぁ、2番目になるけど…」


「…いいんですか?私なんかが。」


「少し自虐気味だぞ。もっと自分に自信を持て。セリアは十分魅力的だよ。」


「…ありがとうございます。あ、あれ…涙が…」


セリアが嬉し泣きをする。零断はその肩をつかみ、グッと引き寄せる。セリアは抵抗せず、零断に体重をかける。


「改めて、今日、いや明日からよろしくな!セリア!」


「はいっ!よろしくお願いします!」


「あとは、後始末か。ま、明日やるか。」


明日の朝仕事に途方にくれる零断。そこにいつもの調子を取り取り戻したらしいセリアが誘う。


「なら一緒に寝ますか?癒してあげますよ?」

「…逆に精神力が削られる。」


「エッチしようとはいってませんよ?…まぁ、やってもいいですけどね。ふふふ」


卒業の覚悟を決めているセリア。零断はやるつもりはないので、普通に一緒に寝ることにする。


「そんなことしないから。さ、一緒に寝ようぜ。」


「むぅ。やってくれないんですか?まぁ、待ってます。」


といい、セリアは零断について行った。

次は日曜日かな?そして、日曜日から1日1投稿の一週間を始めるつもりです

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