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波動の龍者  作者: ケイマ
第1章
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怒り


まず、この大陸の形について説明しよう。この大陸は中央を横断して非常に高く、強い魔物が出没する山脈がある。その山脈を挟んで東に帝国、西に王国がある。その山脈には一箇所だけ谷がある。この二つの国を渡りたいときはそこを通るしかない。この二つの国はいつ戦争が起こるかわからないほど仲が悪い。元々王国のやり方に反発して帝国は作られたのだ。王国は絶対貴族制。帝国は実力主義だ。王国の首都王都は北寄り。帝国の首都帝都は南寄りだ。

話を戻そう。今、零断がいるのは、山脈の麓だ。王都には馬車で急いで2、3ヶ月。歩けば一年以上かかる場所だ。

そして、今零断とグレンが向かっているのはその山脈の方面である。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


零断とグレンはその後も何回か魔物と遭遇し、蹴散らしている。現在もその真っ最中であった。と言っても敵が零断に対して弱すぎるせいで零断は正直ふざけ気味である。相手は60センチほどのネズミだ。

「いくぜ!“雷核”!を、投げる!名付けて“ライトニングボール”!!」

と、ふざけているように見せかけて新しい魔法を手に入れた零断。ライトニングボールの大きさは野球ボールほどだ。しかし、威力は絶大。そのでかいネズミを焦がしてライトニングボールの大きさの穴を開けてしまった。

「うおっ!適当に考えたのに強い!?!?」

「…しっかりとした技だなと思ったが、考えてなかったのか…新魔法おめでとう。」

と、やはりふざけてるのか真剣なのかわからない。

「おい、零断。もうそろそろ夕方になるから帰るぞ。ちゃんとくるのはもっと準備してしてからだ。」

「わかった。うし。じゃぁ帰る、っ、?!?!なんだ!この気配!な、なんだ…あれ…」

帰ろうとしているといきなり今までの魔物とは明らかに違う感覚を感じた零断はその魔物を見つける。

「どうした?零断?何言って…「っ!危ない!」うおっ!」

零断が見つけたその魔物はグレンを殺そうと赤黒い火球を放ってきた。それを気づいていた零断がグレンに飛びつき、間一髪で逃れた。

「ありがとう。零断。おかげで助かった」

「んなこと言ってる場合か!こっちきてるぞ!」

「わかってる!『炎よ。幻の壁を作り惑わせ!“幻炎”』これで相手には俺らが見難くなったはずだ。今のうちに隠れるぞ!」

グレンは炎の壁をつくりだす。しかし、その壁は様々な魔力が生き入っていて視覚を惑わしている。2人は岩陰に隠れながら、作戦会議をする。

「逃げねーのかよ?!?!なんで逃げないんだ!」

「このまま俺らについてきたら村が危ないだろ!今のうちに倒すか弱らせるんだ!逃げるのはそのあとだ!」

「くそッ!けどあいつレベルが違うぞ。なんとなくだが、今のままじゃ勝てない!」

「そんなことやってみなきゃわからないだろッ!もし勝てなかったら俺を囮にして逃げろ!巻きこんで自爆でもする!俺が死ぬだけで村が守られるなら俺に悔いはない!」

「ッ!そこまで…ごめん。熱くなってた。」

「すまん。俺も熱くなってた。話を変えよう。今を考えるんだ。」

2人は自分が熱くなっていたことに気づき、反省し話を変える。

「あいつが何かわかるか?」

そして、今まで直視をしていなかった魔物を見る。

ちなみにグレンと零断は普通に相手を見ることができる。

そして、グレンがその魔物を直視した瞬間グレンが目を見開く。

「、ッ!?!?まさかっ!いや、だってあいつはっ!」

「知ってるのか?知ってるなら早く教えろ!」

動揺しているグレンの肩を掴み強い声で情報を待つ。グレンは調子を取り戻し、零断の質問に答える。

「…ボルケニクスだ。けど、あいつは肌が赤く、目が黒かったはずなのに。逆になっている。」

グレンがボルケニクスと呼んだ魔物は、全身は黒く禍々しい。しかし、一番気になるのは、はっきりと発光してる真っ赤な目だ。

「それなら、そのボルケニクスじゃないんじゃないのか?お前が知らない魔物の可能性もあるだろ?」

当然の質問をするとグレンは首を横に振る。

「いや。あいつはボルケニクスだ。…前に俺はこいつと会ったことがあるからな…こうなっているってことは、多分変異種に進化したのだろう。」

すると、明らかに殺意を宿した目をしてそう答えた。

変異種とは、特別な魔力や膨大な魔力、規格外な災難におそわれた、または長時間浴びされた場合に起きることがあることだ。その魔物は元々の強さなんて比較にならないほど強くなる。一応零断もその可能性があることは村で話されていた。変異種に出会った場合即座に逃げるということを教わった。

「会ったことがある?どこで?」

「…もう3年前になるのか。あいつがいきなり村に攻めてきた。その時はまだ傭兵団を作りかけだったんだ。だから、基本俺以外は未熟だった。何人も犠牲になり、ある2人が勇者的行動を出たことによってあいつはいなくなった…」

「勇者的行動?」

つい、わからないことがあり反射的に聞いた。しかし、それは聞いてはダメだと思い話をそらそうかとしたら、グレンが答えた。

「ああ。その2人がボルケニクスの注意を引き、森へ引っ張って入ったんだ。

…その2人というのは、セリアの両親であり、俺の叔母と叔父だ。」

聞いた瞬間に零断の何かが切れた。

零断から瞬間的に魔力が噴き出し、圧倒的な速さで走り出す。

「まて!そいつは変異種だぞ!零断!!」


ーーーーーーー零断視点ーーーーーーー

今までとは比べ物にならないほどの魔力を感じ、振り返ってみると、明らかに禍々しいティラノサウルスのような奴がいた。

すると、そいつはグレンに向かって火球を放ってきた。咄嗟に体を動かし、グレンを助ける。それから丁寧に感謝されてからグレンが炎の壁をつくる。あれは訓練で使われたことがある。前が揺らいで相手が何重にも見えるようになる厄介な魔法だ。さらに、熱感知も魔力感知も全て遮断する。まさに逃げるのにはとっておきな魔法だ。すぐに逃げようしたが止められた。意味がわからない!なぜ今逃げないんだ!

「このまま俺らについてきたら村が危ないだろ!今のうちに倒すか弱らせるんだ!逃げるのはそのあとだ!」

確かに一理ある。だけどあいつはレベルが違いすぎる!かてるわけがない!

「このまま俺らについてきたら村が危ないだろ!今のうちに倒すか弱らせるんだ!逃げるのはそのあとだ!」

内心絶句した。本当にこいつは村の人々が好きなんだろう。こいつは嘘でも死に関しては触れない。どんなに機嫌が悪くても「死ね」や、「消えろ」と言ったことはない。まぁ俺が見た中ではだが。けど、それほど覚悟があるということだ。くそッこんなところ見せられたら逃げられねーじゃねーかよ。はぁ…落ち着け。

「すまん。俺も熱くなってた。話を変えよう。今を考えるんだ。」

何故か謝ったら謝り返された。今のは一方的に俺が悪いと思うんだけど…まぁ、言った通りに話を変えよう。一体あいつはなんなんだ?

「…ボルケニクスだ。けど、あいつは肌が赤く、目が黒かったはずなのに…」

みたことないからなんともいえないが、確かに今までの魔物とは違いすぎる。こんなのがいきなり出てくるわけがない。出てくるとしてももっと奥のはずだ。なら、違う魔物なんじゃないのか?

「いや。あいつはボルケニクスだ。…前に俺はこいつと会ったことがあるからな…こうなっているってことは、多分変異種に進化したのだろう。」

うおっ。変異種かい。それはいやだな。というか、変異種ならあの威圧感も納得だな。というか、会ったことがある?どういうことだ?

「…もう3年前になるのか。あいつがいきなり村に攻めてきた。その時はまだ傭兵団を作りかけだったんだ。さらに、俺はあいつの先制攻撃で負傷してしまっていた。だから、何人も犠牲になり、ある2人が勇者的行動を出たことによってあいつはいなくなった…」

あの村を攻めてきたのか…許せないな。けど勝てなさそうだし…というか勇者的行動ってなんだ?

っ!失敗した。ついつい聞いてしまった。言えないからぼかしたはずなのに、早く話を…

「ああ。その2人がボルケニクスの注意を引き、森へ引っ張って入ったんだ。

…その2人というのは、セリアの両親であり、俺の叔母と叔父だ。」

聞いた瞬間に俺の中の何かが切れた。

俺がくる前。セリアはセリアの両親を失った後、笑わなくなったらしい。俺と出会った後はよく笑っていて、村の人々から感謝された。

しかし、俺が初めてセリアと会った時、俺は両親について聞いてしまった。その時、俺は考え事をしていたが、セリアの顔を見ていた。その時の顔はその話以降一回も見せたことがない。

正直罪悪感を抱いていた。あんな顔をさせてしまって、させてしまったのに自分は考え事をしていてすまないと。

セリアはずっと苦しんでいた。そして、そうさせた奴が目の前にいる。もう耐えられなかった。無意識に体が動いていた。走りながら剣を腰から抜く。すると、この剣が俺のことをわかってくれているような感覚になった。それと同時に無意識にか体に身体強化 雷がかかっていた。そして、この体の底から出てくるような感覚はなんだろうか。

走り出した時グレンが何か言っていたような気がするが関係ない。今目の前にいる原因を殺す。それだけしか頭の中には残っていなかった。そして炎の壁に突っ込む。

炎の壁はあまり熱くなかった。しかし、超えた後に見えたのは燃えている森だった。周りは炎だらけ。その中で黒色の体は見つけやすかった。見つけた瞬間にはもうその方向へと走り始めている。ボルケニクスは俺を見つけ火球を放ってきた。非常に早い火球だった。足止め用にはなったようだ。さらに俺も異常な速度で走っているせいで近づくのは早かった。今すぐ避けなきゃ当たる。それなのに体が動かなくていいと言っているような感覚になった。体の底から出てくる力が『大丈夫。僕で対応して見て』と言っているようだ。実際、避ける時間がもったいない。ならば賭けに出るべきだ。いつか賭けに出ないと強敵は倒せない。それはゲームでも異世界でも一緒だ!そして、体の底から出てくる力を放出した。どうやったかはわからない。なんとなく、体の一部を使っているような感覚だ。この力を放出した瞬間、火球は消え去った。さらに、それだけでは収まらず、ボルケニクスも一瞬硬直した。その隙に俺はボルケニクスに近づく。少し体が軽いように感じた。さっき出した力が身体強化もしているようだ。実際よくわからない。

ボルケニクスは遠距離での攻撃を諦めたのか、爪を突き出すように腕を振ろうとしていた。何やっているんだ?と思ったが、体が警報を鳴らし、横に飛ぶ。この瞬間弧状になった爪が飛んできた。ボルケニクスを見ると新しいのが生え変わっている。

まっすぐ走っているだけじゃただの的だ!当たらないようにジグザグに行かないと!なら、あれがぴったりだ。まだ実験段階だが、やるぞ。地面の磁力に反発するように電気を靴に流して、よし!浮いた!これを右足だけ強くして、次に右足を弱くして左足を強くして。よし。出来てる。“エレキトルムーブ”成功だ。これで狙いは定められないはず!うん。上手く避けられてる。ペースは少しずつ変えていこう。

よし。後4歩だ!む、次は尻尾か。確かに範囲で攻撃できるしな。けど、わざわざ体を差し出してくれたんだ。これを断ち切らなくて何をする?また剣がわかってくれているような感覚になった。こいつは信念(感情)がわかるのか?まぁいい。力がみなぎってくる。この力を剣に纏わせる。尻尾とすれ違いざまに思いっきり尻尾の根元にはをぶち当てる。すごいスムーズに断ち切れた。それだけに収まらず、ボルケニクスまで吹っ飛ばした。体制崩している今がチャンスだ!

ん?周りの魔力が高まって?!?!範囲の魔法技か!そんなもの…俺には効かない!この、“波動”がある限り!打ち消してやる!はっっ!よし。これで、終わりダァァアッー!!!!!

さっきと同じく、あまり抵抗がなく、右肩らへんから足にかけて断ち切る。ボルケニクスの絶叫が聞こえる。振り返るとその通りになったボルケニクスがいた。ボルケニクスの声も少しずつ弱くなって行く。そして、完全に聞こえなくなった後、体から力が抜ける。意識が遠のいて行く。ああ。こりゃダメだ。意識が落ちるな。

と思ったあと、意識がプツンと切れた。


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