プレイ オン! しかし、異世界へ
初投稿です。楽しんでいただけたら幸いです。
「よし!いよいよだな!!」
「ああ。そうだな!!今までやりこんできて良かったぁ!こんなに楽しみなことなんて初めてだぜ!」
「うん。そうだね!実際総プレイ時間何時間どのくらいかな?取り敢えず、カンストは絶対にしてるよね!」
青年2人と少女1人が残り数分の時間を待ち切れない様子で会話をしている。そして、ついにその時間が来た。
「じゃあ二人とも!あっちの世界で会おう!」
「「おう!!」」
全員一斉に冒険への言葉を口にした。
「「「プレイ オン!!」」」
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耳から轟々と音が聞こえるのを感じて零断は目を覚ました。
「ん、ん〜」
すると、近くにいた女性が小走りで近寄ってきた。
「あ!起きられたんですね!良かったぁ。大丈夫ですか?」
「あ、はい。だいじょ……ってえ?ここ、どこ?」
零断はここでやっと周囲の異変に気づいた。
【ちょ、ここどこ?え、なんでこんなところにいるの?思い出せぇー俺ぇー】
零断は普通…とは言えないが、どこにでもある高校に通っている、どこにでもいそうな成績で、どこにでもいそうな容姿をもつ高校生である。
その普通と言えない理由は、あるものを普通とは思えないレベルでやりこんでいるからである。それはゲーム、VRMMOである。VRMMOとは、仮想現実大規模多人数オンライン(Virtual RealityMassively Multiplayer Online)の略称である。
【えっとぉ、俺は確か、『GFO』(ギャラクシーフォトンオンライン)の中でも優秀な功績を残したことで新作ゲー厶、『GSO』(ギャラクシーサイファーオンライン)のβテスト権を手に入れ、それにログインしたはずだ。つまり、ここは『GSO』?】
零断は頭をフル回転させていたら、目の前にいる女性から、話しかけられたので、一旦思想をフル回転から微回転にした。
「ここは私の家ですよ。えっと、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
零断は彼女に助けられ、その家で寝ていたのである。
「俺の名前は長谷ながたに 零断れだんです。あなたは?」
「すみません。申し遅れました。私はセリアです。よろしくお願いします。」
「セリアさんですね。よろしくお願いします。」
【セリアさんか、綺麗な人だなぁ。もしかしてこれがNPCなのか?そうだとしたらこのゲームは最高のゲームじゃないか!!友好度を上げて…あ、この思想はやめなければ《彼女》にしばかれる…】
零断の言うとおり、セリアはとても綺麗である。 体は胸やお尻が強調されていて、美しいプロモーション、顔はおっとり系で、少しだけやんちゃが入っている気がする感じだ。
と、そんな馬鹿な思想を零断がしているとセリアが
「零断さん、敬語じゃなくて大丈夫ですよ。なんかムズムズします。」
「ん?わかった。それならセリアも敬語じゃなくていいよ」
「いえ、私は敬語でいう癖がついてしまっているので大丈夫ですよ。」
「そう?ならいいけど。」
と、初対面なら普通の話をした。しかし、零断は違和感を覚える。
【…これは本当にNPCなのか?NPCなら、もっとカクカクしたというか、こんなに自然に話せないはず…取り敢えず、情報収集だな】
「えっと、少し質問いいかな?俺今、どういう状況なのかを理解できてなくて。」
「大丈夫ですよ。私に答えられることなら何でも聞いてください!!」
「ありがとう。そうさせてもらうよ。まず、何故俺はここにいるか、だな。」
「わかりました。ならまず、外を見てみてください。」
「外?それはなぜ?」
「いいからいいから」
零断は頭にはてなマークを浮かばせながら窓近くまで行った。
「…これはまた、ものすごく土砂降りだな。寝てた時に聞こえたのはこの音か。それで、この暴雨が、俺の質問とどう関係するんだ?」
「まぁまぁそんなに急がないでください。順序良く説明しますから。この大雨はここ3日4日降り続けているんですよ。昨日私は、作物が無事かを見るために畑を見に行ったんですよ。」
「セリアって農婦さんだったんだ。」
「両親も農家だったのでそれを受け継いでるだけですよ。話を戻しますね。それで、畑を見に行ったら近くに零断さんが倒れていたんですよ。」
「それをセリアさんが運んでくれたのか………よく運べたね。」
「伊達に15年以上桑を振ってますから!歳を重ねるごとに重いものを求めてしまい、今は父のもの以上の重さになってます。」
「それはすごいな。俺確か60キロくらいあるのに持ち上げるなんて………」
【さっきから気になっていたが、お父さんとお母さんがいないな。外はこんなんだし、どこにいるんだろう】
「というか、お父さんとお母さんには大丈夫なの?勝手に俺なんかを家にいれちゃって」
「………父、母は数年前に神へ召され、天へ行ってしまいました。」
【っ、!!これは聞いてはいけないことだな。早く話をそらさないと。】
「そうなのか………残念だな。」
「「………」」
少しの間、無言の間があった。この間を利用して零断は他のことを考える。気まずいが、我慢だ。
【ここまでしっかりと感情を生み出すNPCなんて見たことも聞いたこともない。つまり、セリアは人間という可能性の方が高くなる。もし、VRMMOの中だとしても、ほんの少しの違和感もない。これは、まさか、ひょっとして、異世界転移?!?!】
こう考えている間にも無言の悪い雰囲気が続いているので、零断がまた話しを戻すために口を開いた。
「聞いちゃいけないようなことを聞いてゴメンな。このことはあまり触れないようにするよ。」
「………そうしてくれると助かります。ありかうございます。」
「うん。えっと、話を戻してもOKかな?」
「はい。大丈夫ですよ。」
【はぁー。なんとか話をそらすことができた。よし。ここから質問攻めにして、情報を得なければ!】
話をそらすことに成功し、ホッとした零断。しかし、零断はまだあまりこの世界について聞いていないことに気づき、しっかりと情報を得ることを第一優先することにした。
「まず、この世界はなんて言うの?」
「世界の名前、ですか?よく意味がわからないです、すみません。」
【あ~そうじゃん。俺らの世界にも名前なんかねーよ!なんと聞けばいいんだろう?】
なんて言うか考えているうちに先にセリアがこう答えました。
「世界の名前は、なんと言えばいいかわかりませんが、あえて言うならば『リスパルタ』と言うと思います。」
【『リスパルタ』か…怖いな。[Re:ゼロから始めるスパルタ生活]みたいな感じに成りませんように!!!
と思いながら思ったことを口に出す。
「…『リスパルタ』か…。やっぱり聞いたことがない。」
「聞いたことがない?普通は全員知っているのに………まさか、記憶消失?」
零断の言葉に反応して驚いているセリアに零断が言う。
「それはないかな。自分の名前だって覚えているし、自分がここに来る前のことも覚えているから。これは俺が思うには“異世界転移”だと思うな。」
「…確かに自分の名前覚えてましたもんね。異世界転移か。しかし、そんなことがありえるのでしょうか?」
「わからん。けど、俺らの世界では“リスパルタ"っていう言葉は聞いたことがない。更に、俺らの世界の名前は、あえて言うならば“地球"っていうんだ。」
「地球………それが零断さんの故郷の名前………」
地球という言葉には聞き覚えが無いようだ。覚えていないか頭の中で考えている。
「それに、決定的なのが、“地球"には基本2階建て以上の建物に住んでいる人が多いんだ。」
今零断とセリアがいるセリアの家は、昔の話や、よく、小説にあるような『The農民の家』だ。こんな家、どんな発展途上国にも建っていない。
「!?!?2階建てですか?!?!零断さんは貴族の方なのですか?」
「いや、貴族じゃないよ。というか、“地球"には貴族はいないんだよ。“リスパルタ"には貴族がいるの?」
「はい。すごくいやらしい奴らです。権力で物を言う馬鹿な人たちです。まぁほんのすこしはちゃんとした人もいますが。関わったら損するだけだと思うので関わらない方が良いですよ。」
【うわーー………テンプレやん】
と、謎の関西弁を心の中で披露しながら、零断と、セリアは自分たちの文化の違いを夜まで話し合った。
いろいろな情報を手に入れたが一番大事なのはこの世界には魔物がいるようだ。そして、魔法も存在する。また、魔法を剣にまとわける魔剣技というのもあるみたいだ。
ちなみに、セリアはあまり魔法の才能を持っておらず、諦めていたので、魔法が使うことができなかった。近くに魔法が使える人がいるようなので、雨がやんだらその人に合いに行くのもいいかもしれない。
次回投稿は、1月8日の日曜日です!お楽しみに!