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大学デビューに失敗したぼっち、魔境に生息す。  作者: 睦月
一章 異世界人がやってきた
3/66

緑小人②

キリがいいところでと思ったら、ちょっと短くなってしまいました。

 緑小人が生まれてから一週間がたった。


 今では我が家の一員としてしっかりと定着している。吾郎ちゃんだけでなく、近藤くんやサスケさんとも打ち解けているようでなによりである。名前はモンテと名付けた。元になった観葉植物の名前をもじったものだ。



 さて、ここで緑小人の生態を少しまとめて見ようと思う。


 まずモンテの食生活だが、基本は水と魔力と日光浴、この3つがあれば問題ないらしい。どれも自己調達可とのこと。手間いらずだね。


 うちの出窓にはいつもコップに水を入れておいておき、その横には軽いクッションを用意して、既に彼の特等席となっている。


 体の大きさは今のところ変化はない、植物と同じなら一週間くらいでは目に見えた変化はないんだろう。


 日光浴が終われば、以前自分がいた鉢植えの手入れを小まめにやっている。

 初日、何も植わっていないので土を捨てようとしたところ必死で抵抗されてしまった。どうやら寝るときのベッド代わりになるらしいが、それだと毎回泥だらけなので朝起きたら必ずぬるま湯で洗ってあげている。その時の緩みきった姿を見ていると彼にとってその時間は至福らしい。


 その他の観葉植物や、バルコニーにあるガーデニングスペースもモンテには大事な場所らしい。

 水やりも含めて、一生懸命面倒を見てくれている。小さい体ながらも魔力はそれなりにあるようなので、他の植物にも分け与えている。そのおかげもあってベランダの植物たちの成長が著しく良くなっている。


 ちなみに趣味のガーデニングのために、ルーフバルコニー付の部屋を奮発して借りているためにスペースにはあまり困っていない。


 この前、新しく家庭菜園をしようとプランターを用意して種を植えようとしたのだが、モンテに止められてしまった。どうやら自分で何かを育てたいらしい。

 モンテの魂には自分の魂を使ったからなのか、コイツの伝えたいことはなんとなくわかるようになっている。まあ、何を植えるかは知らないが任せてみよう。




 3日後にはそのプランターから3つの芽が出てきた。さらに1週間後には双葉が生えてきていた。



 明け方、寝ている俺の顔をペシペシと必死に叩いてくる存在があった。

 不機嫌に目を開けると、胸の上にのったモンテがしきりにベランダの方を指差している。どうやらベランダで何かあったらしい。焦りだけが伝わってきていまいち要領を得ない。


 とりあえず、あくびを盛大にしながらカーテンを開いてみると、ちっちゃな泥だらけの緑小人が3人ベランダを走り回っていた。それはもう楽しそうに飛び跳ねている。

 

 窓を開けてやると、モンテが外に出て行き何やら一生懸命話しているようだ。

 すると、3匹の緑小人たちは泥だらけのまま、部屋に駆け込んできた。床に散らばる泥と小石。漏れ出る俺のため息。それを見てモンテが大急ぎで緑小人達を追いかけ回していた。



 全員の体をぬるま湯で洗ってやり、コップに水を入れてやると大人しく蔓を伸ばして飲んでいる。サイズはモンテの半分位だろうか。いかにも赤ちゃんという感じがするな。


 やっと落ち着いてきた緑小人達を尻目に、モンテと詳しくやり取りしてみると、どうやら緑小人は自分の種を植えることで繁殖できるらしい。

 それには結構な魔力を要するのだが毎日俺がおやつ代わりに魔力を与えていたおかげで今回は3個まとめて種ができたとのこと。

 じっと緑小人を見つめてみると本当に小さくではあるが、ちゃんと魂が目に見えている。



 そこでようやく気づいた。おれはいつの間にか一種族を作り出していたらしい。


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