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大学デビューに失敗したぼっち、魔境に生息す。  作者: 睦月
二章 樹海の町の住人たち
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ワーカーホリック予備軍


 今回のオーガ戦では思うところが幾つかあった。


 トレントがいてくれたから無傷でタコ殴りにできたけど、もしいなかったら小鬼族の何人かは怪我していたかもしれない。

 最悪被害者が出た可能性もある。


 今後、オークのように頻繁に複数匹で樹海に入り込む可能性も高い。

 そう考えるとやっぱり、重量級にも対応できる生粋の武闘派種族が必須だな。



 ということで、生物錬成の準備です。


 準備するのは先の戦闘で手に入れたオーガの角を1本ずつ、骨も少々。イノシシの牙、そしてランバードに譲ってもらったタテガミと爪、いつもの魔力たっぷりな畑の土に俺の血を数滴。これを2体分用意した。


 イメージするのは……武人。高い戦闘能力にタフな体、しなやかで強い筋力。どんな相手にも怯まない心。敵には非情に、味方には情に篤く。強力な外敵を打ち砕く存在。


 そこまでしっかりとイメージを固めると、必要な分だけ魂力を注ぎ込んだ。




 生まれてくるまでに1日以上かかった。

 一応、すぐに服を着れるよう大きめの浴衣を側に置いておいたので、今は浴衣姿の男女が目の前に下賜づいている。


 朝になって縁側の窓を開けたら、もうその状態だったので生まれてすぐそうしていたのだろう。

 ………武人というイメージはちょっと行き過ぎだったのかもしれない。


 とりあえず、そのままじゃなんなので立ってもらった。



 ーー おぉふっ、こ、怖え



 まず男の方だが、身長は2メートルない位かな?

 体つきはゴリマッチョってほどじゃないが、格闘家、武闘家といった雰囲気の程よく引き締まった肉厚な筋肉。素早く動き、重い一撃を繰り出しそうだね。


 側頭部には髪がなく、天然のウルフカットのように黒髪がうなじを通って背中の上部まで伸びてタテガミになっている。今は目を伏せてはいるが、それでもわかる闘争心に溢れる瞳。

 額には上に湾曲した、サイのように太い1本角。手足の指は異様にゴツく、そこから伸びる爪は杭のようだった。

 顔を上げて口を開けてもらったら、肉食獣独特のぶっとい犬歯が覗いている。


 女の方は180センチほどで、、男に比べて線を細くしたモデル体型ではあるが、それでもわかるしなやかに鍛え込まれた筋肉が。

 タテガミも髪質はかなりサラサラで美しく流れており、角も鋭く伸びている。指は男ほどではないがゴツく爪は鋭利なナイフのよう、まさに戦闘種族。

 2人とも美男美女なため、余計に怜悧で獰猛な雰囲気をまとっていた。種族名は一角族いっかくにした。



 サイズがわかったので、とりあえず大きめの作業用ツナギを2人に渡し、この前手に入ったオークの使っていた西洋剣をそれぞれ渡しておいた。


 小鬼たちとは衛兵と武人ということで、どこか通じ合う部分があったようですぐに打ち解けていたが、緑小人がそれはもう怯えていた。モンテなんかは俺のフードから顔を出さなかったくらいだ。


 それを見て、一角族の2人が目に見えて落ち込んでいたので、畑を歩いていた吾郎ちゃん一家が近づいて慰めてあげていた。優しいね。


 その様子をモンテがフードからチラ見していたのを知っているので、まあすぐに仲良くなるだろう。

 

 岩人の2人を合わせたときは、武人の血がうずくようで闘いたそうにしていた。


 と、ここまでは良かったんだが、一角の2人は予想していた以上に堅物だった。

 なんせ、俺から離れようとしないのだ。


 2人にも近所の家をあてがおうとしたんだが、頑なに断ってきた。

 なんでも俺を警護するのは最優先事項とのこと。側に仕えるためにも納屋に住みたいと言って聞かなかった。


 納屋はさすがにあんまりだし、そもそもランバード用なので家の部屋をそれぞれ割り当てた。

 そして側にいるのは1人にして、交代でちゃんと休憩するように説得したのだが、その説得にもかなり骨がおれた。


 早めに一角族は増やそう。

 じゃないとワーカーホリックがさらに加速して倒れるかもしれん。



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