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大学デビューに失敗したぼっち、魔境に生息す。  作者: 睦月
二章 樹海の町の住人たち
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樹海の外のアレコレ

 ここ最近、特に魔物襲撃が頻繁に起こってきている。


 以前はゴブリンやコボルトが散発的にくるだけだったが、その規模と頻度が少しづつ増加傾向にあった。


 樹海の拡大化が進んでいくと共に、魔物達の集落も巨大化していっているようだ。

 時折、ネットでの情報収集やニュース番組を確認していてもそれは明らかだった。



 そのついでに入る情報と言ってはなんだが、ここ最近の社会情勢もかなりキナ臭くなってきている。


 以前から取りだたされていた、一般人冒険者雇用法と冒険者教育法が可決されていた。

 一時期どのチャンネルを映しても同じような内容しかやっていなかったのを覚えている。


 まあ、簡単に言うとファンタジーものラノベでは定番の冒険者組合ギルドの発足だった。


 ゴブリンやコボルトなどの魔物に、討伐証明としての一部を切り取ってくればそれに冒険者組合が金を払ってくれるらしい。

 まあその討伐報酬額に関してもかなり揉めているようだったが。

 今後、魔物の素材を何に使えるのかという研究結果次第でもあるし、冒険者にとっては自分達の命の値段を決められるに等しい。それはピリピリしてしまうだろう。



 最近は魔物との戦闘慣れや、周囲にいる存在が頼りになりすぎて麻痺してしまっているが、本来魔物と戦うというのは相当なリスクになることだ。


 だってよく考えてみてほしい。

 ここまで明確に人間を主食料にしているような生き物って地球上にはいなかったよね? 


 戦国時代ならいざしらず、今の時代の人間にとって、自分に向けられる本気の殺意なんてほとんどの人が免疫ゼロだろうし、ついでにリアルなグロ耐性も。


 ましてや一番の雑魚扱いをされているようなゴブリンですらしっかり魔力を体に纏っている。


 まあ弱いものではあるが、それでも魔力なしの人では成人男性がタイマンはってもかなり苦労するだろう。正直素手だったら負ける。

 見た目以上の身体能力と打たれ強さなんて、普通はビビるよね?



 ということで、冒険者法が決まった直後かなりの人が犠牲になったらしい。


 人口の過密化が急激に進んだせいで、その日食うものにも困るような人たちが続出していたせいだ。

 一気に冒険者という新職業に集ったようだ。


 藁にもすがるような気持ちで登録したら、即死亡なんてたまったもんじゃない。


 あまりの登録者数に冒険者組合の新人冒険者教育制度も追いつかず、おざなりな感じで済まされたことも原因の一つだったらしいね。


 そこでさらに非難轟々、おとなしいことで有名な我が国もかなり過激なデモ隊が横行している。

 火炎瓶でパトカー炎上なんて日常茶飯事だった。


 そんなこともあり、今では冒険者登録は魔力持ちというのが最低限必要な資格となっている。受付には魔力を視認できる人が採用される。


 その甲斐もあって登録者数はかなり落ち着き、教育制度も比較的うまく回っているようだ。


 ただし、『魔力開発教室』『◯◯の実践魔法塾』『魔物殺法流柔術』とか、よくわからん感じの詐欺まがいの習い事教室が増えて問題になっていた。



 アルニア人に関しても、かなり厳しい状況になってきている。


 政府にとってはまさに即戦力だし、転移してきた最初のころはともかく、今では日本国民、いや世界中の人間が自分たちが生きのびることに必死だからか、あまりアルニア人の擁護に回る人は少なくなってきている。


 むしろ、税金払っている自分たちがタダで食わせて守ってやってんだから、しっかり戦って義務を果たせ的な感じが強くなっていた。


 つまり、使い潰しの利く戦力。


 多少、アルニア人に被害が出たくらいでは世論は動かないのが現状だ。半ば強制的な徴兵がまかり通っていた。


 そのせいでアルニア人たちはアングラに潜り始める。


 スラム街での胡散臭い仕事や、冒険者たちの用心棒として未登録で討伐に向かったり、自分らだけのコミュニティを都心部外で作ったりもしているようだ。それによる犯罪率は増加している。


 

 なんともまあ……世紀末が近づいてきているのをヒシヒシと感じる。

 そのうちモヒカンでヒャッハーなレザーベスト着た人たちが、オシャレ最先端になるかもしれないね。

 

 ウチにはそこまで関係ないだろうけど……。



 そこまでで今日はパソコンの電源を落とした。

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