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大学デビューに失敗したぼっち、魔境に生息す。  作者: 睦月
一章 異世界人がやってきた
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閑話

 以前、樹海の町の外縁付近で亡くなってた人が2人いた。


 あの人たち、この前のニュースで言ってた自警団員だったんだな。結構大きな傷を負っていたし、逃げてきたはいいけど途中で力尽きたのかな? 行方不明者の残り2人はたぶん魔物にやられたんだろう。



 ーー その時手にいれた中立の魂、結局まだ錬生してないんだよなぁ



 中立属性の魂は、自分には取り込めないので錬生するほかない。

 そしてせっかくなら、非眷属の生物錬生は食料になるような生き物にしないともったいないと思っている。


 自分の眷属を自分で食べるのは抵抗あるし、眷属同士が殺しあうのはできれば見たくない。

 安っぽい偽善だとは思うけどね。


 そんな事を考えなんとなく錬生に乗り気になれなかったけど、いつまでもウダウダしているのも気持ち悪い。サパッといこう。



 考えた結果、鹿のような生き物を錬生することにした。

 

 鹿はある地域では獣害と言われるほど作物や植物を食い荒らすらしい。

 緑小人たちがフリーダムに無双しているこの町ならば、逆にちょうどいいだろうと考えてのことだった。 


 それに久しぶりに猪や鶏以外の肉を食べてみたい。

 ココの猪はかなりでかい、正直言うと食いでがありすぎて飽きがきている。



 さて、鹿のような生き物を錬生するとは決めたものの、材料をどうするかね。


 たしか富士山さんっていうおじいちゃんが狩猟好きで有名だったな。

 ヒグマの剥製や鹿の剥製を持っているって、パートのおばちゃん逹が話していたのを覚えている。ああいうのって人を選ぶしね。苦手な人は多いだろう。


 はっきりと家の場所を知っているわけじゃないけど、一回見にいってみるか? あの辺りはまだ行ったことなかったし。



 地名くらいしかわかっていなかったから、探し当てるのに難儀しそうだったが、もともと家自体が少ない。日が暮れる前には富士山さん家を見つける事ができた。


 「おじゃましまーす」と遠慮なく家探しした結果、錬生で使えそうな鹿の頭の剥製はちゃんとあった。他にもいろんな剥製があったけど、今回はまだいい。

 それにここに来るまでの間で、周辺に農家から逃げ出したであろうヤギの群れを発見していた。


 この人外魔境のおかげで通常より2回りは大きくガッシリとなっており、筋肉も張りがあって美味そうな大ヤギとなっていた。

 ちょっと鹿っぽくはないかもしれないけど、素材としては全然アリだろう。群れのうち一頭だけを狩り、持ち帰った。


 その日は小鬼族を集めてのヤギ鍋パーティを催した。旨し。





 材料は鹿の角、大ヤギの骨と蹄と血、そしていつもの畑の土。これを2体分。


 イメージは……草食で気性は穏やか、足腰が強く体は筋肉質。姿形は美しく、樹木の間を軽やかに走りぬける。警戒心が強いため外敵から上手く身を躱し、繁殖力も十分にある。そこまでイメージを固めると中立の魂力を全て注ぎ込んでいった。




 翌朝起きた時には、その生き物はすでに庭にいなかった。

 ただ、畑にはしっかりと蹄の跡があり、ガッツリとつまみ食いしていったようだ。緑小人たちがちょっとガックシとなっていた。


 小鬼族には町に鹿のような生き物がいた場合、番がまだ一組しかいないため狩らないようにと言っておく。



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 しばらくたち、忘れかけたころに小鬼族から報告がきた。

 深い森の中、木々の間を軽やかに飛び跳ね、走り抜けていく美しい生き物がいたらしい。


 その生き物は、太く立派な角を生やし、全身真っ白で堂々たる体躯の鹿のような姿をしていたとの事。

 後ろには、角はないが同じように美しい生き物と子供が2匹追従していたようだ。



 話を聞いて生き物の名はホワイトディアと決めた。

 そして改めて、群れが大きくなるまでは狩ることを禁止した。



一度完結としていましたが、ここまでの話を一章として続きを執筆予定です。

出来上がり次第まとめて投稿しますので、よろしければまたおつきあいください^^

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