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第三幕 第二場

「だめだ、これだけの情報では犯人を特定できない」

 わたしはくやしさから歯ぎしりすると、眼鏡の女の死体をあとにし、部屋のドアへと歩み寄る。少しだけドアを開いて、そこから廊下の様子をのぞき見る。だれかがいる気配はしない。


 静かに廊下に出ると、身を低くして窓から外をのぞき見た。洋館へとやってくる人影は見当たらない。だが油断はならない。生存者も洋館に殺人鬼がいると想定して用心していることだろうし、隠れながら近づくにちがいない。


「さて、どうする?」わたしは自分に問いかけた。「三階の探索をするか、もしくはここからすぐにでも逃げ出す?」


 ここに留まる時間が長ければ長いほど、危険は増してくる。だがもしこのまま洋館から逃げ出したとしよう。そうすれば犯人はわからずじまいだ。それではだめだ。犯人の手かがりは、この洋館にしか残されていないはずだ。すでに一階と二階は探索し終えている。たとえ危険でも、三階へと向かうべきだ。


「……こうなったら、やるしかない」


 込みあげる恐怖をどうにか押しとどめ、三階へと向かう。いつのまにか乾いていた服が、緊張の汗で湿っているのを感じとった。よほど緊張しているな、とわたしは思った。


 階段をのぼるとやけに軋む音が鳴るので、そのせいで胸の動機が速まる。額の汗をぬぐいつつ、三階へと到着した。そしてひとつひとつ部屋を調べていく。だがどの部屋にも犯人につながるような証拠はでてこない。予想していたが、殺人鬼が犯行で使用する道具を、簡単に見つかる場所に置くはずがない。だれにも見つからないよう、巧妙に隠されていたらお手あげだ。


 三階の部屋を半分調べ終えたところで、廊下からベランダへと出られる場所に着いた。すると痩身の男がベランダに倒れていた。すぐさま近づいて観察する。胸を何発か打たれたらしく、服の胸元が赤く染まっているが、床はたいして汚れていない。どうやら嵐による激しい雨で洗い流されたようだ。


「……これで容疑者は四人か」


 部屋の探索を再開した。やがてほどなくして、すべての部屋を探索し終えるも、なんの手がかりもつかめなかった。空振りだったことに焦燥感を覚えながらも、洋館から脱出するべく階段へと向かう。その途中広間に差しかかると、そこにある物が落ちていることに気づいた。わたしは驚き足を止めると、床へと視線を落とした。そこにあるのはビデオカメラだった。

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