2話目 「初めましてご主人様私は貴方の奴隷です」
スキル持ちの人数を10000人に1人から
100人に1人に変更しました。
目を覚ますと知らない天井だった。石で出来た天井だ。
訳が分からずとりあえず身体を起こす。辺りを見回す石造りの四角い部屋だ。
少し離れたところに木の机がある。そこには一人の女性が座っている。
彼女は僕の直ぐそば、手を伸ばせば触れられる位のとこまで歩いて来た。
まず目に付くのが天を衝くようにピンと伸びたウサギの耳。その耳と同じ色の真っ白な髪、パッチリと開かれたまん丸な目、真っ赤な瞳、優しそうに見える細い眉、プックリとした可愛らしい唇、貫頭衣とよばれるであろう布切れから見える触れただけで折れてしまいそうなほど細い手足は白く輝いている。それなのに女だと主張するように貫頭衣をメロンでも入っているのではと言う程に盛り上げる胸。十人いれば八人が美少女というほど女の魅力を放っていた。
その少女が言葉を発する。聞いているだけで癒される、優しい鈴の音思わせる声で言った。
「初めましてご主人様。私は貴方の奴隷です」
いきなりそんな事を言われたら殆どのものが混乱するだろう。だが、田中 優鬼僕は涙を流していた。
そんな僕を見て彼女は驚き言う。
「申し訳ございませんご主人様。私が何かご主人様を悲しませるような事を言ってしまったのでしょうか。」
困惑し慌てる彼女を目の前にしても僕の涙は止まらなかった。ただ涙を流し一言呟くように漏らす。
「美雪」
と
目の前の少女は自分を見て何事か呟いた僕をみて側に膝をつき僕の顔をその大きな胸に抱きしめ子供をあやすように頭を撫でる。暫くそうしていると少女の胸の中で僕は意識を手放した。
〜〜〜
再び目を覚ます僕の目の前に白い布を押し上げる大きな胸が目に入った。
僕はそれを見て美雪の胸はペッタンコだったのになと思った。
そんなくだらない事を考えていたら声が掛かる。
「目が覚めましたかご主人様」
その声を聞いてこのまま起き上がるとメロンにぶつかってしまうので少女の身体がある反対側に転がり体を起こす。少女と目が合うと少女は膝枕して居た姿勢からそのまま土下座をして謝罪の言葉を述べる。
「申し訳ありませんご主人様。どのような罰でも気が済むまでお与えください。」
その言葉を聞いて僕は少女が何に対して謝っているのかがわからなかった。だから直接少女に聞くことにした。
「まず顔を上げて」
それを聞いた少女は素直に従い顔を上げる。その顔は若く日本人離れしてるが美雪に似ていて涙がこぼれる。それを見て少女はまた頭を下げようとするがその前に言葉を発する。
「待って!!そのまま顔を上げてて」
少女はビクッとした後また素直に従う
「ごめんね。君が余りにも僕の大切な人。もう会えない人に似ていて我慢できなかったんだ。君は何も悪くないよ。だから頭を下げないで。」
「はい。ご主人様。私は貴方の奴隷です。たとえ死ねと言われても貴方の言葉に従います。」
その言葉を聞いて悲しくなった。だから命令することにする。
「そう。ならまず君の名を聞かせてくれないか」
「私の名前はありません。ご主人様に名前を頂きたいと思います。」
その言葉を聞いて美雪と名付けたかったがそれは少女に悪いと思えて辞めた。
「ユキメ。君はユキメだ。それから僕の名前はユウキだ。ユウキと呼んでくれ。」
「ユキメ…綺麗な響きありがとうございます。ユウキ様素敵な名前大切にします。」
「様はいらないよユウキだ。」
「ですが「これは命令だ。ユウキとだけ呼んでくれお願いだ。」
自分でもおかしいと思う命令と言ったがこれは懇願だ。美雪に似た少女に様付けと他人行儀にされるのに耐えられそうにない。
しばしの沈黙彼女は何か言いたそうにしていたがやがて覚悟を決めたように
「ユウキ」
その声を聞いて僕は笑顔で「うん」と言う。それを見て少女も優しく微笑んだので僕は顔が赤くなってるであろうと思う程の熱を頬に感じたので当初の質問をすることにした。
「なんで君は「ユキメです君じゃなくユキメです。ユウキのお言葉を遮ってしまって申し訳ありません。」
そう言って頭を下げる少女いやユキメを見て僕は可笑しくなってしまうのと同時にそんなに名前を気に入ってくれたのかなと思い嬉しくなった。
「ごめんねユキメ。改めて質問するよ。なんでユキメは目覚めた僕に謝ったの。」
大体今までの会話で予想がつくもののユキメに質問した。
ユキメは頭を上げて話し始めた。
「はい、ユウキ。最初に言いましたがユキメはユウキの奴隷です。ユウキが泣いていたので機嫌を悪くするような事をしてしまったと思い謝罪しました。」
うん予想道りだ。一人称がユキメに変わっているのが可笑しく思いながら質問を続けた。
「そうか。でもさっき言った様にユキメに悪いところはないきにしないでくれ。それとここは何だい?」
そう僕は一番気になっていることを質問した。
ユキメが美雪に似ていて忘れていた疑問だ。
「はい。それでは説明させていただきます。」
ユキメに説明された内容は以下のようなことであった。
この世界はアフターと言われる世界。
僕がいる場所は選択の神殿と言われる場所で基準は分かって無いらしいが神が人生をやり直す為に日本人を召喚する場所らしい。何故日本人限定と思ったがこの世界は日本人が呼ばれても馴染めるように米や味噌、入浴文化があるからと説明があったので他の国の人にあう世界が他にあるのだろうと思った。
僕はここでダンジョン攻略をするらしい少ししかやったことがないがRPGの様なものだと思った。
ダンジョン攻略をする為に召喚されたものはスキルを与えられらしい。
与えられるスキルは以下の様なものだ。
スキル鑑定:対象のスキルと効果が鑑定できる。
アイテムボックス:道具をしまっておける空間を有する。モンスターを倒すと自動で収納される。
スキル選択:自分と所有奴隷がモンスターを倒すとポイントが溜まりそれを使いスキルを習得、上昇することが可能になる。
これを聞いてスキル鑑定を使いスキル選択を見た時に疑問がわいた。
何故奴隷なのか?仲間じゃダメなのか?ユキメに聞いた所答えてくれた。
この世界はスキルを持つものが100人に1人しか生まれず後でスキルを覚えるものも同じぐらいらしいそこで僕のスキル選択がバレると不味い事になる。スキルを持つものはそれが何であれ大成するらしい。そこで自分と所有奴隷に限定する。この世界の奴隷は道具として扱われている。なので主人には逆らえない。そんなものに好き好んでなりたい訳が無いのでそうなっているらしい。
じゃあなんでユキメは僕の奴隷になったのかと聞くと5歳の時にこの世界の子供は教会でスキル鑑定を行うらしくユキメは日本人の奴隷と出たらしい。
それはスキルなのかと聞くとこの選択の神殿に来るものに好かれる容姿を持っているものに神が好かれる性格に育つ様な神託をしてくれるものだという。
ユキメはそれでいいのかと聞くと第一にここに来るものは奴隷に酷い事をした試しがない。第二にそのものに仕えるとスキルを得られる。第三に人の命がとても軽いこの世界で主が現れるまで生きて行くことが出来る。それだけ条件が揃えば断るものはいない上に両親には教会から十年は遊んで暮らせる金が入るので親も喜び教会に子供を預けるらしい。そして最後にユキメは「ユウキに会い泣いてるユウキを抱きしめてる内にこの人に命尽きるまで仕えると決めた後悔など一生しないでしょう」と締めた。
その言葉を聞いて僕はユキメに絶対に後悔させないと誓った。