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無意識な彼女

短いですが、読んでもらえると嬉しいです。

「本当に怖くなかったのか?本心からそう言えるのか?」


僕は今、絶賛尋問中である。初めは冷静だった綾も僕が淡々と追い詰めていくうちに必死になって否定し始めた。怖くて手すりから飛び降りたのを手をぶんぶん振って否定する綾に、僕はゆっくりと問い詰めた。


「う…うそじゃないよ…本当にこわくなかったもん…」


しどろもどろになりながら、綾は逃れるように視線を外した。


綾の嘘を白状させるには、まず綾のペースで話さないことが重要だ。

嘘をつくときの綾はいつも、すごく早口になる。それにつられてこちらも早口になったら、綾は絶対に嘘を認めない。

あと、断定で言ってはいけない。疑問型で聞き、相手に少し考える猶予を与える。

この2つさえ守れば、綾は嘘を認める。初めは貫き通そうとするが、そのうちボロがでて、認めるのだ。


「……」


真顔で綾を見つめる。

綾はキョロキョロさせながら、絶対僕と目を合わせなかった。嘘をついているのは明らかだったけど、どうしても認めたくないようだ。


そろそろ勘弁してやるか。


僕はため息をつき、真顔を崩した。仕返しとしては十分満足した。


「まあいいや。でももう屋根なんかに上るなよ。受験前に怪我でもしたら、泣くに泣けないぞ」


そう言ってコーヒーをすすった。買ってからそんな経ってないのにもう生ぬるくなっていて、僕は顔をしかめた。


綾がごにょごにょと聞こえないくらい小さな声でささやいた。


「え、何?」


あまりに小さい声なので、聞き直した。


「高すぎるんだもん…」


綾はふてくされたようにぼそっと呟いた。そして、キッと僕を睨みつけ、堰が外れたようにまくし立て始めた。


「高すぎるよ!あんなの。下から見たらそんなに高く感じないのに。上る時は下を見なかったから全然平気だったけど、修を待ってる間、あんな狭いところにいなきゃいけないし、屋上だから風強いし、何度落ちそうになったか知ってる!?」


あまりの迫力に僕は一歩後ずさった。綾はもう半泣きで、手がつけられそうになかった。


「落ちそうになったって…だったら登らなきゃいいんじゃ…」


正論をぶつけてみる。ただ、綾の迫力に押し負けて、説得力は皆無だった。


「修がいるから大丈夫だもん!」


綾は僕の正論に暴論で返し、ぷいっとそっぽを向いた。


「……」


なんと答えればいいか分からず、唖然としてしまった。ただ、顔がやけに熱くなるのを感じた。


そういうセリフって彼氏に言うもんじゃないのか…?

綾はたまにこういうことを言うから困る。しかも、彼女は全く意識して言ってないから余計たちが悪い。


もし、キザな野郎ならこの場でぎゅっと抱きしめてたかもしれない。

彼女の手をとり、小さな身体をこっちへ寄せて、ちょっとくらい抵抗されても離さない。


僕にできるかな。


ちょっと考えてすぐにアホかという結論に至る。


ヘタレだもんな。


肝心な時にチャンスを逃すんだ、いつも。


「どうしたの?急に黙っちゃって」


綾の言葉で我に返った。

綾は怪訝そうな顔で僕を見た。


「何でもないよ」


僕はキザっぽくフッと笑って、言った。


「…気持ち悪いし、うざい」


綾はますます怪訝そうな顔で言った。

ひどい言われようだ。



このくらいのペースで書けるといいですね。頑張ります。

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