ひねくれ者の罰
インフルエンザから生きて帰りました。
スローペースでごめんなさい(汗)
今回は実際にいた教師をモデルにしました。
皆さんはこんな先生がいたらどうしますか?
キーンコーン、カーンコーン。
4限目の授業が終わり、教室内の緊張が一気に緩まった。
僕達3年生はそろそろ受験が近づきつつあり、学校の一つ一つの授業も独特の緊張感がある。本来なら、受験一つにクラス全体がそういった雰囲気にのみこまれることなどあまりないはずだ。
だが、うちの学校は一応進学校らしいので、生徒はもちろん、先生の方も受験に対する熱意は驚くほどすごい。
僕はそんな雰囲気が窮屈に感じていた。
ただでさえ、学校以外の時間は勉強や予備校の授業にあてられるのに、学校にいる時くらい、休ませてもらいたい。
そういうことで、僕は学校の授業中は基本的に睡眠学習に徹している。
起きるとちょうど、起立、礼をしているところだった。いつもなら、このまま昼休みに突入するはずなのだが…
「神村くーん?」
授業が終わると同時に現代文の岩本がこちらに歩みよってきた。にこにこと笑いながら、友達に遊びを誘うような口調だった。
まずい…
すごく嫌な予感がする。本能が逃げろと指示している。
僕はそれに従い、気づかないふりをしてすぐに席を立ち、教室を出ようとした。
「はいはい、ちょっと待て。すぐに終わる」
僕の2倍以上はあるような腕で肩をがっちり掴まれてしまった。
「なんすか?ちょっと急いでるんすけど」
冷や汗をかきながら、懸命に作り笑いをみせた。
掴まれた肩は全く動きがとれない。
こいつ、現代文じゃなくて体育の教師だろと本気で考えてしまう。
「神村、最近受験勉強やら、なんやらで疲れてないか?」
「そうっすね〜大変です」
あははと笑みを崩さず、なんとか相手に話を合わせる。ここでしくったら、この現代文教師に多分喰われるだろう。
岩本も満面の笑みでうんうんと頷く。ちょっとしたホラーだ。
「そうだよな〜、疲れるよな。毎日毎日、やること一緒だもんな〜」
体育もとい、現代文教師は独り言のように言った。
もうちょいで終わるかな、と少し期待して、僕もそうなんですよね、とか大変なんですよ、相づちを打ってチャンスを伺った。
「そこでな、お前日頃ちゃんと模試でも結果だしてるし、流石に授業中くらい多めにみてやろうと思ってな…」
お、いい感じじゃん!さすが人の心を読みとく専門家だな。
なんか優しすぎるのが不気味なほど怖いけど、なんとかこの場をしのげそうだ。
「お前は代わりに、このプリントやってろ」
そう言って置かれたのはA4プリントの束だった。
「……は?」
「毎日、大問2つずつでいいから、終わり次第、俺のとこ持ってこい。採点してやるよ」
「えーと…」
「話はそれだけだ。じゃ、頑張れよ。先生も期待してるぞ」
そう言って、肩をバシッと叩かれさっさと教室を出てしまった。
残ったのは何枚あるかわからないほどのA4のプリント…
昼休みでざわめく教室に一人たそがれてる自分がいた。
ちなみにモデルの先生は生徒からすごく慕われてました。
授業は面白く、ひょうひょうとした感じなんですが、寝てる人には起こさず課題をそっとおく。
周りもその生徒を起こさないようにくすくす笑う。
あの課題はどこからとってきたんだろう…?