憲兵団と女の子
あいつ等!!
廃墟ビル 5階
「そう言えばお前、なんか武器はあんのか?」
「武器になりそうな物はカッターくらい。」
銃声が聞こえた先にあった一つの廃墟ビル、そこに今俺とくるみはいた。
「そうか。俺から離れるなよ。」
「うん。」
今の俺たちに持たされた武器は俺のデリンジャーが一丁とそれの弾が10発、くるみのカッターだけだった。
(ちょっときついかもな・・・。)
階段を一歩一歩のぼる。8階位に上った頃だろうか。数名の男達の声が聞こえてきた。
『さがせ!まだ居るはずだ。』
『俺たちはもう少し上のフロアに行くぞ!』
足音からして全員で10人か。
「くるみ、さっき携帯持ってただろ、誰かに連絡はしたのか。」
「うん、とりあえずAEGISの方には連絡を入れといたよ。」
「そうかじゃぁやっぱりお前は外で待っててくれないか?」
「でっでも。」
「頼むよ!」
少しだけ声に力を入れて言った。
「うっうん…。」
「ありがとう。心配だから俺はしばらく一人で近くを見ていく。くるみは外で皆が来るのを待っててくれ。」
「分かった。」
「それと、もしものためにお前のカッターも貸してくれ。するつもりは無いがもしやりあう事になったらCQC用に使いたいんだよ。」
そういってくるみのカッターを受け取った。その後くるみは一人で階段を下りて言った。
「ごめんな。やっぱ女にこんな危険な事させたくないんだよ。」
階段を下りるかすかな音が無くなってから俺は小さくつぶやいた。
もう一つフロアを登るとまた憲兵団の男達の声が聞こえてきた。
『鬼ごっこもお終いだ。そろそろ吐いてもらおうか。お譲ちゃんのお友達の場所。』
『いたい思いは嫌だろ?言っちゃった方が良いと思うけどなぁ。』
『おじさんたちもそんな事したくないんだよ。』
『いっ嫌だ!』
ゲスな声と共に幼さを感じさせる女の子の声が聞こえる。デリンジャーのグリップを握り声のした方にゆっくりと進んで行く。それにつれどんどん聴こえてくる声が大きくなり自分の体からも汗が噴き出していた。
何か壁のような物から声のする方に見てみると一人の7~8歳の少女が壁に寄りかかるように座り込みそれを囲むように10人の憲兵団が立っていた。少女はおびえて後ずさろうとするが壁に阻まれて震えながらそこから動かない。
俺は動きたくなるのを抑えながら様子を見ていた。
「おいっ早く言えって言ってるだろうが!!」
苛立ち始めたのかそれまでとは違い怒鳴るように言う。
「俺らだって暇じゃねぇんだよ!!早く言え!!」
一人の男がそう言うと少女に蹴りを入れた。
「早く言えよ!!」
がすっがすっと一発、二発と蹴りが入る。
「嫌だっ!!絶対言わない!!」
しかしそれでも少女は頭を手で隠しながらそう叫んだ。
「クソが!!」
そういうと一人の憲兵団兵士が腰のホルスターからMP-443を取り出した。何をするのかと思った瞬間そいつは少女の左肩を撃った。
「ぐぁっ!!」
少女はそのままショックで気を失った。方からは血が流れ出ていた。
(…!!)
俺はその勢いで装弾数たった2発のデリンジャーを手に飛び出したていた。
それと同時に俺は俺と言う物を制御できなくなった。
・・・・・・・・・・。