第十八話 聖女争奪戦 part4
聖女争奪戦もクライマックスへと突入しました。
天幕を破壊されたエドワードは、首筋から血を流すリリアの髪を掴み、背後の深い森へと引きずり込んでいった。
「来るな、アルフレッド! 一歩でも近づけば、この女の首をここで落とす!」
狂ったように叫ぶエドワードの背後には、彼が最後の切り札として温存していた、王国直属の「隠死騎士団」が影のように立ちはだかる。
「……リリア……!」
アルフレッドは歯噛みした。愛する女性が乱暴に扱われ、苦痛に顔を歪めている。その姿を見るだけで、彼の心臓は怒りと恐怖で千切れそうだった。
「殿下、ここは我らにお任せを!」
ラグナートの騎士たちが加勢しようとするが、アルフレッドはそれを制した。
「……下がっていろ。これは、私とあいつの決着だ。リリアを傷つけた報いは、私の手で与えなければ気が済まない」
アルフレッドが森へ足を踏み入れた瞬間、四方八方から毒を塗った投げナイフと、闇魔法の弾丸が降り注ぐ。
エドワードはリリアを木に縛り付け、その目の前でアルフレッドをなぶり殺しにしようと考えていた。
「ははは! 見ろよリリアーヌ! お前の信じた男が、血まみれになって倒れる姿をな!」
エドワードはリリアの頬を、短剣の腹で冷たく撫でる。
「やめて……もう、やめてください……!」
「黙れ! お前はただ、俺が隣国の王子を殺すのを見ていればいいんだ!」
アルフレッドは、数重に重なる防御陣地を強引に突破していた。
鎧が砕け、肩や足から血が流れる。しかし、彼の瞳から光が消えることはない。それどころか、一歩進むたびにその殺気は密度を増し、周囲の草木が枯れ果てるほどの圧力を放っていた。
「……エドワード。貴様が彼女に与えた苦しみ、その一滴の涙に至るまで……すべて百倍にして返してやる」
アルフレッドの蒼い聖力が、森全体を震わせる。
二人の王子の、プライドを捨てた泥沼の死闘は、森の最深部へと舞台を移した。
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