第十四話 決意
戦闘シーンを描くことが苦手で少し迫力不足かもしれません...
深夜。アルフレッド様の寝室の隣、厳重に警護されているはずの私の部屋が、不自然な静寂に包まれた。
扉の外にいるはずの衛兵の気配が消え、代わりに床の隅々からドロリとした「漆黒の影」が這い出してくる。
(……これは、影魔法!?)
「大人しくしてもらいましょう。抵抗すれば、その美しい顔に傷がつきますよ」
闇の中から現れたのは、感情の欠落した瞳を持つ三人の男たち。エドワード殿下が雇った闇ギルドの拉致専門家だ。彼らの手には、魔力を強制的に封じ込める『沈黙の枷』が握られていた。
「嫌……っ、来ないで!」
私が聖力を練ろうとした瞬間、足元の影が蛇のように私の体を縛り上げた。
「無駄ですよ。この影は光を喰らう。あんたのちっぽけな魔法じゃ……」
男が嘲笑いながら私の首筋に手を伸ばした、その時だった。
――ドォォォン!!
隣室との壁が、凄まじい衝撃と共に粉砕された。
土煙の中から現れたのは、漆黒の夜着を翻し、抜き放たれた蒼い剣を握るアルフレッド様だった。その瞳は、凍てつくような殺意で燃え上がっている。
「私の城で、私の目の届く場所で……よくもこれほど汚らわしい真似をしてくれたな」
「なっ、王子!? なぜ気づい……ぐはぁっ!?」
アルフレッド様の動きは、もはや人の目では追えなかった。
一歩踏み込むと同時に、影を操っていた男の胸元に強烈な蹴りを叩き込む。そのまま剣を横一閃に振るうと、私を縛っていた影の鎖が、悲鳴を上げるように霧散した。
「リリア! 大丈夫か!?」
彼は私を片腕で抱き寄せ、もう片方の手で剣を構え直す。
「アルフレッド様、すみません……私がもっと、警戒していれば……」
「謝るな。悪いのは、君という光を泥靴で踏みにじろうとするドブネズミ共だ」
残された闇ギルドの男たちが、震えながら武器を構える。
「ひ、ひるむな! 相手は一人だ、殺してでも女を奪え!」
「……一人、だと?」
アルフレッド様が低く笑った瞬間、部屋の窓がすべて内側から突き破られた。
「殿下、遅れました!」
ガウェイン団長率いる精鋭騎士たちが、月明かりを背に次々と乱入してくる。
「一匹も逃すな。……生かしてエドワードの元へ帰す必要はない」
アルフレッド様の冷徹な号令と共に、部屋の中は一瞬にして修羅場と化した。
数分後、部屋にいた闇ギルドの者たちはすべて制圧された。
アルフレッド様は、血のついた剣を鞘に収めることもせず、震える私の肩を抱き寄せた。
「……リリア。奴らは手段を選ばなくなっている。これからは、一時も君の側を離れない。いいな?」
「……はい」
彼の胸に顔を埋めながら、私は確信した。
王国と、エドワード殿下。彼らは私の力を取り戻そうとしているのではない。私という「存在」そのものを破壊しに来ているのだ。
一方、王宮の会議室。
失敗の報告を聞いたエドワードは、狂ったように笑いながら地図の上に駒を並べた。
「いいだろう、アルフレッド。そこまでしてあの女を囲いたいか。ならば、どちらが真の『聖女の守護者』か、徹底的に分からせてやる……」
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