ベイリー伯爵の陰謀 その1
風雲急を告げるとはこういうことを言うのかもしれません。
私は公爵にお知らせすると公爵さまに案内を頼まれましたので先に行かれたお二人の後を追うように先日シャール・スミス少年を助けた南地区の港へと向かいました。
そこでは連絡を入れてきたチャール・アンダーソン隊とラピスお嬢さまとアレキサンダー第二王子が合流をして既に騒ぎを収めておりました。
ベイリー伯爵の船の船員は捕まり路上に座っている状態でございます。
ただ船には術が掛かっているようで船の中にいる船員や荷物には手を付けられない状態のようであります。
ロドリゲス公爵は慌てて馬車から降りて駆け寄りました。
「ラピスに王子!」
無事か、と言いたかったのかもしれませんが船員の方がボコボコの様でございます。
お嬢さまは身体の埃を払うようにパタパタとドレスを軽く叩き
「おや……お父さま、問題ありません」
と辛うじてTPOを保たれました。
チャール・アンダーソンがロドリゲス公爵の前に立ちました。
「公爵、お騒がせして申し訳ございません。しかし、先日の騒ぎの上にこれだけ抵抗し、且つ、船の中を点検させないというのは看過できません」
私はお嬢さまの横に立ちながら思わず大きく頷きました。
公爵も流石に理路整然と言われては政治的配慮とは言えない状況なのでしょう。いえ、それ以上にもしも国家転覆や内乱などの道具が領地の港から入っていたとすれば反対に政治的に追いつめられると計算されているのかもしれません。
しかし、おかしいです。
お嬢さまも気付かれたのかもしれません。船の方へと足を進められています。
「おい、お前ら船に乗せないようにして時間を稼いでいるってことは……何を待っているんだ?」
全員がハッとしました。
そうでございます!
「あー、魔法の勉強がここで役に立つとはな。ナナリは待ってろ、危ないからな」
お嬢さまは船の乗り場に足を進められました。何をなさろうとしているのでしょうか?
それにアレキサンダー第二王子が剣を抜いて駆け寄られました。
「ここはロドリゲス公爵領だ。俺が証言する」
お嬢さまはチラリとチャール・アンダーソンを見ました。
チャール・アンダーソンは頷くと兵士を見て
「お前たちも行くぞ。検査をする」
と剣を抜いて足を進められました。
こうなっては公爵は見ているしかできません。
「……まあ、良いだろう」
公爵も感化されているようでございます。
皆さま! 好戦的でございます!!
お嬢さまは手を前に詠唱をされました。船の方では船員が構えております。
お嬢さまはそれを前に
「テメーらの思惑通りにはしねぇよ」
とこれまた好戦的なことを言い笑みを浮かべられました。
「序でに吹っ飛ばしてやるぜ」
そう言ってバリアを解除したそのままの状態で
「ウォーターサークル!」
と渦を巻きながら水の円柱が男たちの方へと伸びました。
男たちが水に押されて横に倒れたところにアレキサンダー第二王子を先頭にチャール・アンダーソンや兵士が飛び込みました。
お嬢さまとアレキサンダー第二王子は船の中へと入っていきます。
私は見守るしかできません。
しかし、チャール・アンダーソンさまもお強い方でございます。流石小隊長でございます。
剣をなぎって剣やナイフで突っ込んでくる不良船員を倒していっております。
他の方々も次々と船員を倒し全員を捉えて行っております。
はい、お嬢さまのご命令で殺すところまではいっておりません。
船員は足や腕を切りつけられて縄で縛られて行っております。
お嬢さまとアレキサンダー第二王子が心配でございます。




