決着
夥しい生贄が魔法陣の上で事切れておりました。
その前に美しいフィオレンティーナ様が立っており、片隅で震える子供たちを見ておりました。
ラピスお嬢さまとアレキサンダー第二王子とアーサー・ラサールさまと私たちは中へと飛び込み、最初に子供たちの元へと駆け寄りました。
「大丈夫か!? 今すぐここから逃げるんだ」
そう言ってラピス様は子供たちの手の魔法陣を壊しながらフィオレンティーナ様を睨んでおります。
「ラサールとナナリは子供たちを頼む!」
アーサー・ラサールさまは子供たちを保護し、私も子供たちと共に大聖堂の地下から地上へと向かって走りました。
お嬢さま、どうか。どうか。ご無事でと今は祈るしかできません。
ラピスは子供たちとアーサー・ラサールとナナリ・ブラウンが地上へ立ち去るとフィオレンティーナと向かい合った。
三人の間には多くの遺体とそれを吸収する魔法陣が不気味に輝き始めていた。
魔王復活の予兆である。
そんなことになれば……世界は大混乱に陥る。
ラピスはフィオレンティーナを見つめ
「魔王を復活させてお前はどうするんだ? お前が人々を踏みにじり世界を破滅させるのか?」
と告げた。
フィオレンティーナは綺麗に笑むと
「道具は使い方次第でしょう? 私は世界で好き勝手する人間が許せないんですよ。キャンベルもベイリーも三嶋の両親を殺し隠蔽したものと同じ。権力! 金! それで人の命を踏みにじり不幸を撒き散らす!!」
と顔を歪めた。
「貴方はそれで良いと思っているんですか!?」
ラピスはそれに
「言い訳ねぇだろ!! だがな、そいつらを殺して良い理由にはならねぇんだよ! 理不尽さは解ってる!! わかってるさ! でもな、全てを明らかにして第二のこいつらが出ないようにしないといけなかったんだ!! それが法って奴だ」
と告げた。
「こいつらを殺して終わりじゃねぇんだよ。いや、もし、こいつらの後ろがいたら、お前はそれを見逃すことになる。そういう事なんだ」
……お前の悔しさは分る。だが、俺はお前が法を犯している限り捕まえる……
アレキサンダーは二人を見ると
「同じものを持ちながらその一点だけが互いに背を向けているんだな」
と心で呟いた。
フィオレンティーナはにこやかに笑むと
「貴方は貴方の正義。そして、私は私の悪。止めたければ私をあの時のように逮捕すればいい」
と告げて、魔法陣に魔力を注入した。
巨大な瘴気が溢れ黒い何か大きなものが姿を見せた。
ラピスは舌打ちすると
「お前が改心してくれればと思ったが」
と言うと紙を上に広げた。
「俺の全ての力で阻止する! 清浄! 聖魔召喚!!」
闇の巨人と光の巨人が大聖堂の屋根を破って殴り合った。
アレキサンダーは魔力を使い過ぎて倒れるラピスの身体を抱きかかえると地上へと走りだした。
「松田……三嶋も」
アレキサンダーは冷静に顔を向けて直ぐに
「奴はもう逃げてる!! あいつの方は生贄の魔力があったから疲労はお前ほどじゃない」
と答え、崩れる階段を上がった。
闇の巨人は光の巨人と清浄の光を受けてうめき声をあげると倒れスッと消え去った。
そして、崩れた大聖堂の地下からはキャンベル公爵矢ベイリー伯爵や会員の遺体は見つかったが、フィオレンティーナの姿はなかった。
王もその様子と後に話を聞き、正教会を解散させフィオレンティーナの行方を追わせることになったのである。




