陰謀の全容 3
アレキサンダー・フェリックス・フェッツランド。
フェッツランド王国の第二王子である。
つい少し前まで異世界である地球で『松田貢』として生きていた。
しかし、そこで非業の死を遂げて魂が元々の身体へと舞い戻ったのである。
アレキサンダーはキャンベル公爵であるサティス・ロバート・キャンベルとアベル・ジェームズ・ベイリーの二人の陰謀を王へと進言するために王宮へと戻った。
だが、そこで待っていたのは倒れ落ちている兵士たちと瘴気であった。
「一体どうなっているんだ?」
王城の廊下を歩き倒れている兵士の頬を叩いたもののぐったりとしたまま動く様子はなかった。
脳裏に浮かぶのは先の事件である。
魔力のある子供たちを集めていたことが分かった以上、王族が動くとキャンベル公爵とベイリー伯爵は考えるに違いない。
「その前に王宮に手を打ったのか?」
フェッツランド王国の魔力を持つ人間の多くは正教会へと集められている。だとすれば……その魔力量はかなりのモノだろう。
アレキサンダーは足を少し早めやがて駆け出すと王がいるはずの玉座の間へと駆けこんだ。
そこには玉座に座り項垂れ倒れている王とその横にアレキサンダーの兄である第一王子アルフレッド・ジークフリート・フェッツランドも腰を下ろして意識を失っていた。
「王! アルフレッド王子!!」
そう呼びかけて、足を踏み出しかけてアレキサンダーは足を止めるとその前に立つ美しい女性を目にした。
金糸の長い髪に白磁の肌。
青く澄んだ瞳は静寂なる湖面の様であった。
彼女は綺麗に微笑むと
「やはりアレキサンダー第二王子も政魔力を持っているのですね」
と告げると、柔らかなドレスの裾をつまみ綺麗なお辞儀をした。
「私はフィオレンティーナ・サンドラ・キャンベルでございます」
……もう一つの名前は『三嶋慎也』……
アレキサンダーは目を見開くとヒタリと汗を浮かべた。
「なるほど、やっぱり先にお前と俺は対峙することになるようだな」
彼女はくすくす笑うと
「それで貴方の相棒であり私を虜にした『鳥飼翔』は何処におられるのですか?」
と告げた。
アレキサンダーは目を細め
「さあ? 俺が簡単に教えるとでも思っているのか?」
と剣を構えた。
フィオレンティーナは凶悪な笑みを浮かべた。
「良いことをお教えいたしましょう。死にゆくあなたへ」
……何故、我々が無理やり地球に転生させられたか。それは聖魔力を多少持っているからだったんですよ……
「本当に地球でもこちらでも私は家族運がない。ただ、地球の両親は愛すべき善良者でしたけど」
二人の足元の更に下には破滅の魔法陣がゆっくりと魔力を貯め始めていた。




