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トラブルマグネットな悪役令嬢  作者: 如月いさみ


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ベイリー伯爵の陰謀 その3

「ナナリはそこにいろ」

 そう言われて私は”そこ”で待機しておりました。


 船の中へと入られたラピスお嬢さまがどうなったのか。心配でなりません。

 が、私も危機に陥っております。


 ベイリー伯爵が護衛と言う名の兵士を10名ほど引き連れてやってきたのでございます。

 茶色の髪がクリンと大きなウェーブをえがく前髪に優男の容貌をしている貴族のお嬢さま方にはそれなりに人気のある方ですが見るからに腹黒でございます。


 いえ、これは失礼いたしました。先入観でございます。


 ベイリー伯爵は船を一瞥し、私ではなくロドリゲス公爵の前に進まれました。

「ロドリゲス公爵、私の船を何故お調べに?」


 もう直球でございます! ラピスお嬢さまのお言葉を借りればマジ、ヤバでございましょうか?

 ロドリゲス公爵も些か面倒ごとが起きたと思っておられるようでございますが流石腐っても公爵家と申しましょうかキリッと反論されました。

「ベイリー伯爵。先日の伯爵の船で起きた事件は船員からお聞きになっておられませんでしょうか?」


 そう仰りわざとらしく咳払いをされました。

「娘のラピスが伯爵の船から鎖に繋がれた少年が飛び出し危うくぶつかりかけ、挙句に船員に無礼を働かれたと……伯爵に港を使っていただくのは構いませんがそういうトラブルごとを起こす船員や内容の船が港を利用しているとなると『今は』事前検査でこちらも承諾している次第です」


 つまり、同じことが続くと次は……と匂わされたという事です。

 ベイリー伯爵の視線が厳しくなりました。


 その時、船からラピスお嬢さまとアレキサンダー第二王子とチャール・アンダーソン隊の人々が囚われていた少年や少女を4人ほど連れて降りてこられました。


 ラピスお嬢さまはベイリー伯爵の前に立ち

「子供たちから証言を聞いた。魔法学校へ行かせるという話で船に乗せたそうだな」

 と告げられました。

 

 お嬢さまも直球でございます。いや、ここで遠回しな言い方は敵に付け入る隙を与えるようなものでございますね。

 敵ではなくベイリー伯爵でございました。


 ベイリー伯爵も負けておりません。ギラリとラピスお嬢さまを見られました。

「ええ、そのつもりですが?」


 いえいえ、嘘でございましょう。と思いましたが、私は黙って見守るしかできません。


 ラピスお嬢さまはこれ以上はない不敵で美しい笑みを浮かべられました。

「なるほど、じゃあ、俺も魔法学校の見学がてらにその送迎に突き合わせてもらおうか。子供たちが途中で『不測の事故』や『不測の事件』に巻き込まれたら気の毒だからな」


 絶妙な言い回しでございます。


 ベイリー伯爵は目を見開くと

「今回の事をキャンベル公爵に話すことになるぞ」

 と……虎の威を借る狐発言でございます。


 ラピスお嬢さまはにこやかに

「ベイリー伯爵、それは暗にキャンベル公爵が共犯だと言っていることになるが取り消す気はないか?」

 と虎の威に穴をあけるような発言をされました。


 私はドキドキしながら見守るしかできません。

 正に一触即発。

 ベイリー伯爵の連れている兵もそっと剣に手をかけられました。もちろん、チャール・アンダーソン隊の警察隊の皆様も剣に手を触れられております。


 ピリピリと空気が痛うございます。


「ベイリー伯爵、俺が王に進言し魔法学校と各領地に使者を送り同じような話で集められた子供たちが入学しているか照合させよう」

 これまで黙っていたアレキサンダー第二王子がスパンと仰られました。


 疚しいことが無ければノープロブレムでございますね。

 ベイリー伯爵が突然お身体を壊されたように顔色を失われました。


「……戻るぞ」


 ベイリー伯爵が踵を返すと急いで馬車に乗って兵と共に立ち去りました。

 子供も船も船員もおきっぱでございます。


 船員は項垂れたままでございます。

 ロドリゲス公爵は安堵の息を零されました。


 ベイリー伯爵の船はその後、徹底的に調査されて船員たちも観念したようにこれまでの話をされました。


 子供たちを魔法学校に入学させると船に乗せてベイリー伯爵の屋敷へ連れて行き、その後はキャンベル公爵家へ送られるということで魔法学校には連れていかないという事だそうでございます。


 そして、船を調べたチャール・アンダーソン隊からの報告でラピスお嬢さまが気になされたことがございました。


「船内を調査したところ子供たちのいた船室に魔法陣が書かれておりました」


 そう言ってテーブルに置いた写し紙でございます。

 ラピスお嬢さまはその紙に書かれた魔法陣を見られて顔を顰められました。


「これは……魔法の勉強で習った魔法陣のロジックと逆転しているモノのような感じだ。ナナリ、先生を」


 私は頭を下げると部屋を出て魔法をお嬢さまに教えているメアリ・ネーベルトさまを呼ぶように執事のセバスチャンに伝えました。


 メアリ・ネーベルトさまはその魔法陣を見られて息を飲まれたのでございます。

「これは……黒魔法でございます」


 禁断の魔法陣だと分かったのでございます。

 子供の誘拐だけでなく本当に大きな陰謀が動いていたのでございます。

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