ベイリー伯爵の陰謀 その2
「鳥飼、俺が先に行く」
「松田、わかった」
ラピス・ローズ・ロドリゲスは先を行くアレキサンダー第二王子の後ろについて薄暗い船内への階段を下りた。
踊り場に足をついた瞬間に「まさか」と言う声と共に剣を持った男が突っ込んできた。
もう一人の男は踵を返して走り出した。
それをラピスは見ると
「松田! そいつを頼む」
と言うと手を前に詠唱を唱えた。
「ウォーターボール!!」
丸い水の弾が走り、背を向けて走った男の背中にぶち当たり吹っ飛ばした。
「慌てて何処かへ行こうってするのは大抵証拠隠滅だ」
ラピスはそう言いアレキサンダー第二王子が船員を倒すのを見ると足を踏み出して駆け出した。
もしも。
もしも。
先日のシャール・スミスのような子供たちが乗っていたら命が危ない。
そう考えたのである。
「だが、こっちは警戒しているのにまた乗り込んでくるか?」
それに前を走るアレキサンダー第二王子が
「フェッツランド王国の港は少ない。ここともう一か所だけだ。そこは第一王子の管轄領だ。検査を拒んだり、こんな抵抗をしようものならどんな後ろ盾があっても今は一気に没落だ」
と告げた。
ラピスは息を吐き出した。
「なるほどな」
そして、一つ一つ扉を開けて甲板での闘争が終わって船内にチャール・アンダーソンたちが入ってきたころに震える子供たちが押し込められている部屋を見つけたのである。
ラピスは顔を歪めると一つ息を吐きだして、彼らの前で跪いた。
「俺はロドリゲス公爵の娘ラピス・ローズ・ロドリゲスだ。君たちを保護するために来た。外へ出て話を聞きたい。もちろん、故郷へ戻りたいなら責任をもって故郷へ送るから安心してもらいたい」
それでも全員が震えながら壁に身を寄せていた。
チャール・アンダーソンと兵士が来て漸く子供たちを船から助け出した。
そこに……ベイリー伯爵が姿を見せたのである。




