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とこしえの森のナッシュ~魔導人形に転生した私の異世界冒険譚~  作者: タツダノキイチ


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とこしえの森の日常03

翌朝。

いつものように目を覚まし、いつものように朝食をとる。

チッチは今日も元気に朝食を食べ、嬉しそうな声を上げていた。

そんなチッチを微笑ましく見ながら、

「ねぇ。チッチ。そろそろ、また旅に出ようと思っているんだけど、どうする?」

と何気なく訊ねる。

するとチッチは、

「チチッ!」

と即答で一緒に行くという意志を示してくれた。

「そっか。今回はちょっと遠くまで行こうと思っているんだけど、平気?」

と、また訊ねるとチッチはやはり、

「チチッ!」

と、やる気たっぷりの返事をしてくる。

私はそんなチッチを微笑ましく思いながら、

「じゃぁ、今日はみんなに挨拶に行こうか」

と言うとチッチはまた嬉しそうに、

「チチッ!」

と鳴いた。

「じゃぁ、さっそく準備をして出かけましょう。ああ、お弁当は何にしようかしら? サンドイッチじゃ昨日と同じになっちゃうから、今日はおにぎりにしましょう。具はチッチの好きな時雨煮にするわね。ああ、混ぜご飯のやつもつくりましょうか。あとは卵焼きも作りましょう。チェスカとゴーシュは卵焼きが大好きだって言ってたから喜んでくれるわよ」

と言ってさっそく準備に取り掛かる。

手早く米を炊き、嬉しそうに私の足元ではしゃぐチッチと一緒にたくさんのおにぎりを握り、卵焼きを焼いていった。

やがて準備が整い、昨日と同じように出かける準備整える。

そして、昨日は持っていなかった杖を手に取ると、楽しそうに私をせかしてくるチッチと一緒に裏庭に出た。

「じゃぁ、チッチはここね」

と言ってチッチを胸元に入れてあげる。

「チチッ!」

と鳴いて嬉しそうに私の胸元にもぐりこんでくるチッチを少しくすぐったく思いながら私は軽く集中して杖に魔力を注ぎ込んだ。

一瞬杖がぼんやりとした光に包まれ、ふわりと軽くなる。

私はその軽くなった杖に横座りするような感じで跨り、また集中して杖に魔力を注ぎ込んだ。

体がゆっくりと宙に浮いていく。

そして、庭の木の頂上よりも少し高い所まで昇った段階で私は上昇をやめ、前方に流線形の風の障壁を発現させた。

「さぁ。いくわよ」

「チチッ!」

と声を掛け「くっ」と少し力を入れるようにして杖に魔力を送り込む。

すると、私の後方に魔法陣が浮かび、杖が勢いよく前に進み始めた。

「チチッ!」

とチッチが楽しそうな声を上げる。

私の目に映る景色もどんどん後ろに流れていくが、前方に張った風の障壁のおかげで風は全く感じない。

私は遠く視界の果てまで広がる広大な森を見つめ、ワクワクした気持ちで空を駆けていった。


「さて。この辺からはワイバーンが出てくるところだし、戦うのは面倒だからちょっと低い所を飛ぶね。ちょっとだけ揺れるから気を付けて」

とチッチに声を掛けて樹幹ギリギリまで高度を落とす。

そして、上手く杖を操りその樹幹を縫うようにゆるくジグザグ飛行をしながら前へと進んでいった。

(うふふ。やっぱりゲームみたいで楽しいわね)

と思いつつ軽快に空を駆けていく。

そうして数時間も飛んだだろうかというところで目の前にうっすらと輝く太い光の柱が見えてきた。

(やっと着いたわね)

と思いながらその光の柱の中へと入っていく。

柱の中の景色は周りと大きく違わないが、なんとなく清浄な空気に包まれているように感じられた。

その清浄な空気の中をやや速度を落としてのんびり進んでいく。

しばらく進むと私の視界の先にぽっかりと空いた広い草原と小さなピンク色の花をつけた小さなサクラの木が見えてきた。

その木の周りにみんなの姿が見える。

私はみんなに向かって、

「おーい!」

と手を振ると、フェンリルのゴーシュが、

「ワオーン!」

と遠吠えをし、フェニックスのシータがこちらに向かって一直線に飛んでくるのが見えた。

「お久しぶりね」

と私の横まで飛んできたシータに声を掛ける。

するとシータは私の顔の横を器用に並んで飛びながら、

「ああ。久しぶり。元気だったかい?」

と嬉しそうにそう声を掛けてきてくれた。

「ええ。こっちは元気。みんなは?」

「ははは。相変わらずさ」

と挨拶を交わしつつ、みんなが待つサクラの木の傍に降り立つ。

そして、再び、

「みんなお久しぶり」

と笑顔でそう挨拶をすると、みんなも、

「ああ。久しぶりだな」

「ええ。ふた月ぶりくらい?」

「うふふ。相変わらず元気そうね」

と言って笑顔を見せてくれた。

「うふふ。みんなも相変わらず元気そうね」

「ああ。こっちは相変わらずだ」

「ええ。少し前までゴブリンやオークの繁殖時期だったから少し忙しかったけど、今は落ち着いてるわね」

「あー。あれって毎年面倒なのよね。まったく、どうにかならないのかしら?」

と言うケットシーのチェスカの言葉に、神鹿のリタが、

「仕方ないでしょ。それが自然の摂理で私たちの大切な仕事のひとつなんだから」

と少し困ったような顔でツッコミのような慰めのような言葉を掛ける。

そんないつものみんなのやり取りを見て私は軽く、

「うふふ」

と笑い、

「みんないつも通りね」

と言ってそれぞれと軽く抱擁を交わした。

そんな私の胸元から、

「チチッ!」

と鳴き声がしてチッチが飛び出してくる。

チッチは真っ先にゴーシュのもとへ駆け寄ると、

「チチッ!」

と鳴いてその背中に駆け上がりそのふわふわの毛並みの中に入り込んでしまった。

「あらあら。チッチは相変わらず甘えん坊さんね」

とリタが苦笑いでゴーシュの背中に話しかける。

すると、ゴーシュの毛並みの間からチッチがひょこっと顔を出し、

「チチッ!」

と、ちょっとだけ抗議するような感じの声を上げた。

「うふふ。チッチはゴーシュの毛の中が大好きなのよね」

と笑いながらチッチに声を掛けると、チッチは楽しそうに、

「チチッ!」

と鳴いてまたゴーシュの毛の中へと潜りこんでいった。

そんなチッチを微笑ましく思いつつ、

「さて。まずは挨拶をさせてもらうわね」

と言ってサクラの木に近づき、そっとその細い幹に手を当てる。

するとサクラの木はふんわりとした光を放ち、辺りを暖かな魔力で包み込んだ。

そしてその細い幹から小さい、少女のような姿をした精霊が姿を現す。

その精霊は私に向かって軽く微笑むと、

「元気そうね」

と言葉を掛けてきた。

「はい、ユーシュ様。おかげ様で私もチッチも元気に暮らしています」

と応えて私も軽く微笑む。

すると世界樹の精霊ドライアドのユーシュはまたにっこりと微笑み、

「体には気を付けて。無理はいけないわよ」

と、どこまでも優しい声でそう言葉を掛けてきてくれた。

「はい。のんびりやらせていただきます」

と応えて微笑む。

すると、ユーシュはまたにっこりと微笑んで静かにサクラの木にしか見えない世界樹の中へと消えていった。

そこで世界樹の光が消える。

そんな光景を見て私は、

(やっぱりこういう光景を見ると、異世界って感じがするわねぇ……)

と、しみじみ思いながらみんなの方を振り返り、

「あのね。また旅に出ることにしたから、今日は挨拶に来たの。お弁当も作ってきたからみんなで一緒に食べましょう」

と声を掛けた。

「卵焼きある!?」

と、さっそくチェスカが声を掛けてくる。

私はそれに、

「ええ。今日はおにぎりと卵焼きなの。リタとシータが好きだって言ってた混ぜご飯のおにぎりも作ってきたわ。けっこう上手に出来たのよ」

と応えてさっそく収納の魔道具の中からお弁当の入ったバスケットと敷物を取り出す。

そしてさっと敷物を広げると、その上に座り、

「さぁ。食べましょう」

と微笑みながらみんなにそう声を掛けた。


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