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とこしえの森のナッシュ~魔導人形に転生した私の異世界冒険譚~  作者: タツダノキイチ


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閑話 ナッシュと初めてのお友達02

「久しいな」

と言ってくるフェンリルのゴーシュに、

「ええ。お久しぶり」

と微笑んで返す。

するとエイクのリタが、

「この子が噂のお弟子さん?」

と、にこやかに訊ねてきた。

「ええ。話せば長くなるけど、どうやら神様のイタズラで私のもとにきたっぽいの」

と苦笑いで答える。

すると、ケットシーのチェスカが、

「へぇ。それは興味深いわね。詳しく教えてちょうだいよ」

と興味津々といった感じで訊ねてきた。

「うふふ。いいわよ。でもまずは世界樹に挨拶をさせて」

と、とりあえずそう答えて世界樹のもとに向かう。

ナッシュは初めて見る神獣たちにぽかんとした視線を送り、やや呆然としているように見えた。

そんなナッシュを微笑ましく思いながら世界樹に手を当てる。

すると、世界樹がふんわりと輝き周囲に暖かい魔力が溢れた。

そして細い幹から少女のような姿をした精霊が姿を現す。

「お久しぶりでございます。ユーシュ様。本日は弟子を紹介しにきました」

と声を掛けるとその妖精、世界樹の精霊ドライアドのユーシュは、

「なんだか不思議な子ね。詳しく教えてちょうだい」

と、にこやかに微笑みながらこちらもナッシュのことを聞いてきた。

そこで、私はナッシュとの出会いを話す。

みんなその話を真剣に聞いてくれたが、結局、ナッシュがこの世界に現れた理由や原理についてわかる者はいなかった。

「不思議なこともあるものね……」

と言うリタに、

「ええ。だから神様のイタズラとしか思えないのよ」

と返すとチェスカがおかしそうに、

「あら。ユリエラは無神論者じゃなかったの?」

と、からかうようなことを言ってきた。

そんな質問に、私は軽く笑いながら、

「うふふ。とりあえずなんらかの原因はあると思っているわ。でも、それがあまりにも複雑で難解そうだから、とりあえず神様のイタズラってことにしているの。研究してみてもいいけど、やるだけ無駄って感じもしているわね」

と答えるとチェスカは、

「あはは。そうね。私もとりあえず思考を放棄するわ」

と言い、そこまで黙って話を聞いていたゴーシュも、

「とりあえず、悪い者ではないから今はそれでいいだろう」

と何かを諦めたような感じでそう言った。

「ええ。みんな理解して受け入れてくれると助かるわ。安心して、すっごくいい子よ」

と苦笑いでみんなにナッシュのことを頼み、ナッシュに視線を送る。

するとナッシュはハッとして、

「不束者ですが、何卒よろしくお願いします!」

と、ちょっとだけ変な感じで挨拶をし、ガバッと頭を下げた。

そんな様子にみんなが笑い、

「ええ。よろしくね、ナッシュ」

「ああ。こちらこそよろしく頼む」

「ははは。これから楽しくなりそうだね」

「ええ。どんなことになるのか今から楽しみだわ」

「うふふ。長生きはするものね」

とナッシュを快く受け入れてくれる。

それから私たちは改めて自己紹介をしたり、お互いのことについて話したりして親睦を深めた。


帰り際。

ユーシュ様が、

「ゴッシュ。あの子をナッシュに預けてみてはどうかしら?」

とゴッシュに話しかける。

するとゴッシュは少し意外そうな顔をしたが、すぐにうなずき、

「あなたが言うならそうしよう」

と言って、自分の胸の辺りをごそごそとまさぐり始めた。

次の瞬間、

「チチッ!」

という鳴き声がして、小さな白い塊がゴッシュの胸元から飛び出してくる。

それはどこからどう見てもユキリスの子だった。

「あら。ユキリス? 珍しいわね」

と聞く私にゴッシュが、

「これでも精霊の子だ。まだほんの生まれたばかりで何もできないが、将来を任せられる子になって欲しいと思っている」

と、その子が精霊の子であることを教えてくれる。

するとその精霊の子はまた、

「チチッ!」

と鳴いて私の方をじっと見てきた。

「よろしくね」

と言ってその子の前にかがみ手を差し出す。

するとその子は私に不思議そうな顔を向け、

「チチッ?」

と首を傾げた。

「うふふ。可愛いわね。私はユリエラよ」

と自己紹介すると、その精霊の子は、

「チチッ!」

と鳴いて私の指先をぺろぺろと舐めてきた。

そのくすぐったさに思わず頬を緩めていると、ナッシュも同じようにその子の前にかがみ、

「私はナッシュ。よろしくね」

と自己紹介をして手を差し出す。

すると、その手を見た精霊の子が、

「チチッ!」

と鳴き声を上げ、なんとナッシュの腕を上り肩に乗った。

「え?」

と戸惑うナッシュの頬をその精霊の子がペロペロと舐める。

するとナッシュは、

「あはは! くすぐったいよ!」

と笑いながらそう言って小さく身をよじった。

そんな様子を見たゴーシュが、

「ははは。気に入られたみたいだな」

と笑い、ユーシュ様も、

「うふふ。素敵なお友達が出来てよかったわね」

と微笑む。

その光景を見て私はなんだか諦めたような気持ちになり、

「この子はナッシュと共に?」

と聞くとユーシュ様はニコリと微笑んで、

「ええ。一緒に成長していってくれるはずよ」

と言った。

その言葉に私はうなずき、ナッシュに、

「よかったわね。ナッシュ。この森で初めてのお友達よ」

と声を掛けるとナッシュは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐににっこりと笑って、

「はい。嬉しいです!」

と心から楽しそうにそう言った。


その後、ある程度の事情をナッシュに説明してあげる。

ナッシュは驚いていたが、なんとか受け入れてくれたようだ。

そして、

「その子に名前を付けてあげてちょうだい」

というユーシュ様の願いに、ナッシュが、

「うーん……。じゃぁ、チッチなんてどうですか? 『チチッ!』って鳴くからチッチ」

と、なんとも言えない理由でチッチという名を提案すると、その精霊の子は嬉しそうに、

「チチッ!」

と鳴いた。

(どうやらナッシュに名づけの才能は無さそうね……。でも、名付けられた本人が喜んでるからそれでいいのかしら?)

と、おかしく思いながら世界樹のもとを飛び立つ。

我が家を目指しながら飛ぶナッシュの胸元では新しく我が家で暮らすことになったチッチが嬉しそうに鳴き、ナッシュも楽しそうな笑顔を浮かべいた。

その光景を、

(なんだか、不思議なことになっちゃったわね……)

と思いつつも微笑ましく眺める。

いつの間にか夕焼けに染まり始めた広大な森を眺め、

(やっぱりこの森は美しいわね……)

と思っていると、私の横でナッシュが、

「綺麗ですね、マスター!」

と、にこやかな顔でそう言ってきた。

「ええ。とっても綺麗ね」

と答えて微笑み返す。

するとチッチも嬉しそうに、

「チチッ!」

と鳴いた。

笑顔のまま飛び、我が家を目指す。

夕暮れに輝く森はどこまでも続き、まるで私たち未来を祝福してくれているようだと私は思った。


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