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とこしえの森のナッシュ~魔導人形に転生した私の異世界冒険譚~  作者: タツダノキイチ


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閑話 ナッシュと初めてのお友達01

ナッシュがうちに来て一年と少しが経つ。

私はナッシュが時々見せる突飛な行動に驚かされたり、新たな創造の種をもらったりしながら楽しく生活していた。

どうやらナッシュはかなり手先が器用らしい。

料理や裁縫を器用にこなすのを見て、ふと魔道具の基礎を教えることを思いつく。

最初は簡単なランタンの魔道具から教え始めた。

難解な回路の仕組みに初めこそ苦労していたナッシュだったが、

「私、こうやって物の仕組みとか原理を考えるのって好きかもしれません。もしかしたら前世でもそんな仕事をしていたのかな?」

と言い、あっと言う間に簡単な魔道具なら自分で設計できるようになってしまった。

調子に乗った私はナッシュに金属や魔獣の素材が加工できる簡易版の錬金窯を作ってあげる。

私が使っている本格的な錬金窯はまだ早いだろうが、いつか使いこなせる日が来るだろうことを見越して、練習用に与えてみた。

そこでナッシュが最初に作ったのが、風魔法で金属の刃を回す不思議な魔道具。

ナッシュはそれに「フードプロセッサ―」という珍妙な名前を付ける。

なんでも、前世では当たり前にあった機械なのだそうだ。

「これで、みじん切りしたりするのがとっても楽になりますし、ジャム作りも簡単になりますよ」

と嬉しそうに言うナッシュを見て私は、

(この子ならきっとどんな知識を与えても大丈夫ね)

と思い、心からほっこりとした気持ちになった。


やがて、ナッシュが森に慣れ、ミノタウロス程度なら一人で対処できるようになったころ。

そろそろかしらと思って飛行の魔法を教える。

ついでに、収納の魔道具も与えた。

初めて飛行の魔法を使ったナッシュは、

「これで私も立派な魔女っ子ですね!」

と、また私のわからない言葉を言ったが、本人がとても楽しそうにしていたので、そのまま笑って流す。

どうやらナッシュのいた世界では飛行機という大きな乗り物に乗って世界中を飛び回ることができるらしい。

そのことを聞いてナッシュに、

「作ってみたい?」

と聞くとナッシュは、

「あれは使いようによっては危ないですから……」

と寂しそうな顔でそう答えてきた。

そんなナッシュの言葉に私もうなずき、

「そうね。私もこの世界にそういうのは早すぎると思うわ。それに、実現しようと思ったら魔素溜まりくらいのエネルギーが必要になりそうだし、現実的じゃないでしょうね」

と苦笑いで応える。

そして、

「魔素溜まりってなんですか?」

というナッシュの質問を受けて、私はこの世界の謎の一つ、魔素溜まりについて説明を始めた。

魔素溜まりのことを一通り聞いて、

「火山が噴火するみたいなものなんですかねぇ?」

と鋭いことを言うナッシュに驚きつつ、

「ええ。近い物はあると思うわ。でも、火山みたいにパッと見てわかる特徴もないし、発生する条件もバラバラなの。だから長年謎とされているわ」

と、これまでどの研究者も解明できなかった謎であることを伝える。

するとナッシュは、

「ちょっと不謹慎かもしれないですけど、知らないことがあるって、なんだかワクワクしますね」

と無邪気にそんなことを言ってきた。

そんなナッシュを微笑ましく思いつつ、飛行の魔法を使いこなす訓練の日々が始まる。

ナッシュは、

「あはは。まるでゲームみたいです!」

と、また私の理解できない単語を言っていたが、とにかく楽しそうに毎日飛行の訓練に取り組んでくれた。

それから、しばらく経って、いよいよナッシュを世界樹に会わせる決断をする。

そのことを話すとナッシュは、

「おお……。それはまたファンタジーの極みですね……」

と変な驚き方をしていたが、

「私、この森のこと、もっとちゃんと知りたいですし、その世界樹の神獣さんたちにもあってみたいです。だって、私はこの森で生きていくって決めましたから!」

と真剣な眼差しで私を見つめながらそう言ってくれた。

そんなナッシュの素直な心を微笑ましく思いつつ、さっそく準備を整える。

そして、翌日。

私はナッシュを連れて世界樹のもとへと向かった。

「この辺りはワイバーンが多いから低い所を飛ぶの」

とか、

「あの草原には泉があるから水の補給ができるけど、たまにリザードが出てくるから気を付けてね」

という情報を伝えながら世界樹を目指す。

世界樹には飛んでいけばものの数時間で着くが、歩くとなるとどれだけかかるか分かったものじゃない。

近付けば近づくほどうじゃうじゃ出てくる魔獣の相手を不眠不休に近い形でしなければならないし、なにより地図の無い場所を行くのだからおそらく飛ばない限り誰も辿りつけないだろう。

私は初めて世界樹の存在を知り近づいていったら、上空でフェニックスのシータに話しかけられて驚いた時のことを思い出した。

(あの時は驚き過ぎて落ちちゃったのよね。シータが助けてくれなかったら確実に死んでいたわ)

と当時のことを思い出して密かに肝を冷やす。

そんなことを考えながら飛んでいると、向こうからそのフェニックスのシータがやってきた。

「ユリエラ。そちらは?」

と訊ねてくるシータに、

「ええ。弟子を取ったから紹介に来たの」

と、にこやかに答える。

そんな私たちのやりとりをナッシュは驚いた顔で見ていたが、シータが、

「弟子か……。不思議な存在だな。まぁ、いい。名は?」

と言ってナッシュの方に視線を向けた。

その視線にナッシュが慌てて、

「ナッシュです。よろしくお願いします!」

と自己紹介をする。

そんなナッシュの素直な態度を見て、シータは微笑み、

「私はシータだ。よろしくな」

と自己紹介を返すと、また私の方を見て、

「ははは。いい弟子を取ったじゃないか」

と言ってニコリと笑った。

その後、シータの導きで世界樹が放つ膨大な魔力の壁を抜け世界樹のもとへ降り立つ。

初めて世界樹を見たナッシュは、

「……サクラ」

と、つぶやいた。

なんでも、ナッシュのいた世界に似たような木があるらしい。

私がこの世界にこれと似たような木はないことや、世界樹は常に花を咲かせているということを伝えると、ナッシュは、

「じゃあ、この世界でお花見をしようと思ったらここまで来ないといけないんですね……」

と、わけのわからないことを言った。

その後、ナッシュのいた世界のお花見という習慣について教わる。

聞けばどうやら春の訪れを祝う祭りのような行事だそうだ。

そんな話をしていると、そこにフェンリルのゴーシュ、神鹿エイクのリタ、ケットシーのチェスカがやってきた。


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