そういうこと⁉︎
雪咲さんは、本当に謎だ。
オレをきらったり、心配したり…
校外学習中、やたらとオレを見てくる雪咲さん。
いや、校外学習まえから…ゔーん、その前からよくオレをジッとみてくるんだよなぁ。
青白い雪咲さんは、校外学習が始まってからも、なおオレをジッとみてくる。
いや、今まで以上にみてきている。
でも、特になにを言ってくるわけでもないから、そのままにしておいた。
そして山のぼりの日
この日は、クラスごとに並んで登山する。
雪咲さんは、やたら登山になんか…こだわるっていうか…オレが登山することがいやみたいだから、なるべく距離をおくように気をつけた。
オレは先頭の方にいた。
雪咲さんは、後ろの方みたいだし。
それにしても…
ハックション‼︎
オレはやたらと鼻がムズムズして、くしゃみがとまらなくなった。
なんかの葉っぱとかのアレルギーかな?
くしゃみ連発したおかげで、少し楽になったと感じるが、目と鼻のムズムズがまだ微妙にある。
ちょっとはじの方で、しゃがんで鼻をかんだ。
で、立ち上がるとなぜか雪咲さんが涙をいっぱいためて、オレに手を差し出してきた。
え…?
「あの…」
「いいから、つかまって」
「オレ手が…」
「大丈夫だから」
…
手汚いし…申し訳ない
…
よくわからない状態だけど、雪咲さんの手に申し訳なく思いつつ、タオルで手を拭き拭きしてから、つかまった。
力を入れて立つと、雪咲さんの手が折れてしまいそうだったので、力を入れずに立ち上がった。
で…
手を離さない雪咲さん…
「あの…もう大丈夫なんで…」
…
大丈夫だと言っているのに…一向に手を離さない雪咲さん…。
え?
それにしても鼻がムズムズだ。
首にかけてあったタオルで目を擦り、鼻をモゾモゾした。
まだかゆい…
何度か鼻と目をモゾモゾしていたら、いきなり思い出した。
前に雪咲さん、登山の話が先生からあったとき、わたしに迷惑かけないでとかなんとか言ってたっけ。
しかも、金縛りに前にあったとかオレのせいとかなんとか言ってたよね。
もしかして…予知夢的な?
登山でオレがなにかしでかして、それで金縛りにあったってことだったのかな?
だから登山行かない方がとか、迷惑かけないでとか言ってたんだ?
しかも、雪咲さん泣きそうじゃん…
雪咲さんにごめんって言いそうになったけど、雪咲さんは前にオレに言ったんだ。
謝らないでって。
だからオレは雪咲さんに
「ありがとう」
って言った。
雪咲さんは、静かに
「うん」
って頷いたあとに、顔からなにかをポタリとひとしずくたらした。
ん?汗…かな?
雨は…降ってないし…
⁉︎
雪咲さんが、ゴシゴシと目をふいた。
…
な、泣いてる⁉︎
雪咲さん…いったいどんな夢みたんだよ⁉︎
「あの…雪咲さん…オレに関わらない方がいいのでは…」
「そんなことできるわけないじゃない。見殺しにはできないっていうか…そもそももう真山くんは…あれだけど…そ、そんなされたらほっとけないじゃないの」
って、赤い目でオレをみた。
え?
オレの花粉症みたいなやつを、そこまで心配してくれてるの⁉︎
そんなに⁉︎
ただのアレルギー反応なのに?
そんなに⁉︎
…
雪咲さんが、いよいよまったくわからないです。
でも、優しいんだろうな。
そこまで心配してくれるなんて…
雪咲さんの優しさに感謝しながら、登山を続けた。
そして頂上に雪咲さんと、たどり着いた。
「ありがとうね、雪咲さん」
「ううん、それより頂上だよ?写真撮らなきゃだよ」
「あー、うん。そうだね」
二人で頂上記念写真を撮った。
なぜにそんなに優しいの?
…山にのぼると優しくなるタイプ?
だとしたら、オレは雪咲さんといつまでも登山していたいです…。
絶景を眺めながらオレは、思わず
「この学校に転校してきてよかったなぁ」
って呟いた。
するといきなり、隣にいた雪咲さんがめっちゃ大声で、
「えええーーっ⁉︎」
って叫んだ。
やまびこは普通…ヤッホーとかじゃね?
やまびこで、えええーーっていう人あんまり見たことないわ…
てか、まったく見たことありませんね。
「雪咲さん…そこは普通、ヤッホーだよ?」
って教えてあげた。
「ちょっと…待ってよ⁉︎え?今転校って言った⁉︎」
「うん」
…
「はぁ⁉︎え?でも、いつのまにか教室入ってきて座ってたよね⁉︎自己紹介なしに、しれーっと座ることってある⁉︎」
…
「もしかして…自己紹介のとき、寝てたくない?」
「あー‼︎そういうこと?だから透けないし、人間みたいなんだ?じゃあ、おばけじゃないんだ⁉︎」
ってオレをまじまじとみだす雪咲さん。
なるほどだ。
だから、色々びっくりしてたのか。
よかった。
教科書借りたの、あつかましくて怒ってるのかと思ったけど、全然違ったみたいだ。
でも…
「なんで山は?オレと山ってなにか関係する?」
…
「そ、それは…国語の授業のとき、真山くんが、真実は山にあるみたいなことかいてたから…だから…山でその…ね…あれしてしまって…自分のお亡くなりになられた場所にいって…どうなってしまうのかなって心配で…苗字も真実の真に山だからさ…余計気になっちゃってさ…それに登山中泣いてたからさ…辛いんだなってさ…」
…
「あれは…泣いてなくてアレルギー…かな」
「えっ?そうなんだ⁇」
「うん…」
「あー、でもそっかー。人間でよかったよー、はじめみたとき、めっちゃ怖かったし」
「ごめん…。じゃあ、改めまして自己紹介させて。オレは真山です。よろしくお願いします」
と、自己紹介した。
そしたら雪咲さんも、
「こちらこそ、勘違いすみません。わたしは、雪咲です。よろしくお願いします」
って頂上でお互い自己紹介した。
それをみたクラスメイトの一人が、
「えっ?二人って…やっぱそうなんだ?登山中も手繋いでだもんなぁ。よろしくお願いしますってそういうことだよな?頂上でやるなあ、おめでとーーーう‼︎」
と、やまびこで大声で祝福してくれた。
まぁ、そうじゃないけど…
友達には、なれた気はする。
「「ありがとうーー‼︎」」
と、雪咲さんと大声でやまびこ返しした。
そして顔を見合わせ、笑い合った。
オレはふと思った。
あぁ、オレこの人と結婚するってさ。
で、やっぱりその数週間後オレたちは、意気投合して交際しだした。
まだ高校生だけど、でもオレはいつか雪咲さんに、山の頂上でプロポーズしようと企んでおります♡
おしまい