大丈夫?
校外学習
一カ月ちょいあとくらいに、オレたちの学校は、とある県に二泊三日をいたします。
オレが住んでいた田舎の近くです。
あー、懐かしいなぁってしおりをみていたら、雪咲さんが前の席の女子となにやら楽しそうに、日程確認していらっしゃったんですよ。
で…
雪咲さんの前の席の女子が、山のぼりあるじゃん…だる〜って姿勢をフニャかした。
するといきなり雪咲さんがオレをみて、
「えっ⁉︎山のぼりあるよ⁉︎どうするの?てか行くの⁉︎ヤバいじゃん…いかない方がよくない⁉︎」
と、ものすごい剣幕でオレに詰め寄った。
…
え?
オレ…に言ってる?よね。
だって、めっちゃオレ…今、雪咲さんにガシガシ揺らされながら変な説得されてるんですもん。
オレは、そこそこ登山好きですけど?
「あの…オレ登山好きだし、高山病とかもないんだけど…」
雪咲さんは、ハッとした顔をして
「あ、だから…この校外学習があるからこの学校に来たんだ?それが目的だったんだ?」
って、また青い顔をした。
…
え…
目的?
「いや…オレ校外学習とかあるの知らなかったけど?」
「え…そう…なんだ」
雪咲さんは、魂が抜けたかのようにストンと座った。
そんなことは、気にせずに雪咲さんの前の席の女子は、
「わたしさ、登山してていきなり雨に降られたことある」
と、話しだした。
でも雪咲さんは、放心状態だったからいきなりオレに話をふってくる女子。
「真山くんは、ある?登山あるある」
…
「あー、オレもあるあるかわからないけど、登山してて頂上について携帯で写真とろうとして、休憩所に携帯忘れてたの思い出して、でさ慌てて…」
「待って。それ以上は…やめて」
いきなり雪咲さんが、オレの話をとめた。
それも青白い顔で。
オレと斜め前の女子は、?ってなったけど、やめてって言われたら…話せないよね。
やっぱり雪咲さんって、わからない。
もう、謎人間すぎるって‼︎
ちょうど先生が、これから色々説明するねって言ったので、この話は中断になった。
で、ボソッと雪咲さんが
「校外学習…やっぱり行く…んだよね?」
って聞いてきた。
…
オレのこと、そんなにきらいかよ‼︎
なんか、めっちゃきて欲しくない感じ満々だけど…オレは、
「もちろん行く‼︎」
って言ってやった。
雪咲さんは、頭を抱えた。
…
なぜよ⁉︎
なぜによ⁉︎
そんな?
めっちゃオレのこときらいやん…
「わたしのこと…巻き込まないでね」
「え?」
「わたし…まだやりたいことたくさんある」
って、今にも泣き出しそうな表情を浮かべた。
とてつもなく情緒不安定じゃありません?
「登山…苦手なの?」
「うん。あなたのせいで苦手になった。登山…休もうかな」
⁉︎
オレのせい⁉︎
あ、もしかして前に金縛りにあったとか言ってたよな。
夢で登山してて、金縛りにあったのか?
だったら、オレのせい…なのかな?
「大丈夫だよ。登山一緒に行こう。」
…
雪咲さんは、無言で遠くを見つめていた。
よくわからない美少女、雪咲さん。
それから校外学習まで、あまり話さなかった。
だけど、そのかわり…ちょいちょいこっちみてくるんだよね…
青白い顔でさ。
ほんのりピンク色とかだったらオレのこと好きなん?みたいになるけど…めっちゃ青白いし、最近よくよく考えごとをしているっぽい。
オレの…せい?じゃないことを願うばかりだ。
そしてついに、校外学習の日を迎えました。
お天気も良く、気分爽快〜って言いたいけどさ、なんかさ…
青白い雪咲さんが、なんかチラチラこっちをみてくるんですよ…。
なんでなのかはわからないけど…でも、班は違うし…そこまでいやがらなくてもよくない?
バスだって、乗り物酔いする人は前に座ってって先生に言われて、乗り物酔いしないけど、わざわざ雪咲さんから遠ざかるために、乗り物酔いする人ってことにしたんだからさ…
だから、そんな青白い顔してこっち見ないでくださいよって…思います。
バスに乗り込み、トイレ休憩のとき雪咲さんがオレに近づいてきた。
…またなんか言われそうって警戒してたら、まさかの…
「真山くん…大丈夫?」
って言われた。
えっ?
オレ?
「それより雪咲さん…顔色よくないよ?雪咲さんこそ大丈夫?」
と心配してしまった。
雪咲さんは、力なく
「うん」
とだけいい、バスに乗った。
続く。