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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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主? との邂逅

 と、とりあえず落ち着こう。うん、焦っても良いことなんかないしね。


 まずステータスに関しては、ふーん、俺ってそんなに低いんだ位の感覚だ。これは虚勢を張っているわけではない。まあ、高いとは思ってなかったけどさ、普通くらいかな? とは期待してたよ。だって、身体のキレが現実世界と変わらないんだもの。それにしても、羽虫も大袈裟だよね。生存が奇跡って(笑)


 ……どうしよう。具体的な数字を聞くのが怖くなってきた。ほら、動揺を見せない羽虫が、翅をバッサバッサしてる。


 「ちなみに最低値って、1とかだったりする?」


 「肯定。オジさん、オール1。無様」


 「……モンスターは?」


 「最低でも100はある。討伐不可能」


 おっふ。俺100人分じゃん。いや、無理だろ。何でそんなに差があるんだよ、バカなの死ぬの?


 「いやいやいや、おかしいって! モネもこの状況はおかしいと感じてるだろ?」


 「同意。全てのステータスが1は未知。痛覚も1.00倍。不思議」


 は? 今、なんて? まるで痛覚もおかしい基準だと言わんばかりに聞こえたが?


 「痛覚は普通じゃないの? お願いだから普通だと言って!」


 「普通は0.01倍。これは固定の数値。変えようがない」


 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ! だっだっだぁ!

 0.01倍? 何そのヌルゲー。逆にそんなので痛みなんて感じんの? つーか、拉致られ仲間だと思っていた奴らが、今は無性に憎くて仕方ない。そんな倍率の痛みだったら、俺だって無謀な特攻をしてでも先に進んでるわ!


 「異議あり! ステータスはこの際仕方ないにしても、痛覚だけは普通に戻す事を嘆願します!」


 「私の権限では不可能。主に報告する。【CODE:00001】」


 程なくして、俺と羽虫の前に、真っ黒な目玉から翼が生えたような物体が現れた。


 『やあやあモネ、何か非常事態かい?』


 「肯定。オジさんのステータスが変」


 『オジさん? ああ、君かな? どれどれちょっと見させてねっ、と』


 主? らしき目玉君から、俺に向けて光が放たれる。羽虫にもやられたスキャニングだろうか。と言うか、主って女性か? 声からして若そうなんだが。


 『えーっと、ステータスは、低っ! え? オール1? ププ。死亡回数42回! 死にすぎ! プププ。いやぁ、面白いね君! えっと、トキワ タロウ君?』


 「笑いすぎじゃない!? あんたが拉致ったせいなんだが? そうだよ拉致だよ! 俺を現実に戻せ!」


 『あ〜ハイハイ、拉致ねぇ。一応これでも許可は取っているのだよ? それにクリアすれば戻れるんだから、頑張りなさいよタロウ君33歳。 あっ、それともこっちの名前の方が良いかな? ✙血の晩餐ジャックナイフ✙君?』


 「タロウでお願いします!」


 俺は全力で土下座した。

 ちくしょう、俺の別垢アカウントがバレてる。クソ恥ずかしい。


 「主、ジャックナイフの痛覚値が異常。ジャックナイフが変更を求めてる」


 「モネさーん! タロウだよ、タロウ! ジャックナイフなんて人いないからね!」


 『痛覚値? 1.00倍? は? 何この数値? あり得ない、バグか? ……ちょっと待って、タロウ君はこの数値で42回も死んだの? 流石に狂ってない?』


 「私も同意。タロウ、狂ってる」


 なんか奇異の目で見られてる気がする。しょうがないじゃないか、俺だって死にたくて死んだわけじゃない。


 「それより、変更できるよね? パパっとお願いしますわ」


 『……あのね、言いにくいんだけどね、変更出来ないかなぁって』


 「嘘だ! あんた主だろ? ゲームマスターだろ? 出来るはずだ! 自分を信じて! 諦めないで!」


 『お、おう。確かに私は天才だよ。でもね、ハード専門なんだよね。ソフトを開発したのは、今回が初めてで、アルゴリズムも適当なんだよね』


 「俺にも分かりやすく伝えてくれない?」


 『つまり、変更するにはプログラムを書き換えなきゃならない。それには一旦ゲームを停止する必要がある。ここまでは大丈夫?』


 「オッケー! つまり、俺を強制的に現実へ戻す必要があるってことでしょ! やったね! ウィンウィンじゃないか!」


 『それがね、出来ないんだ。現実世界に戻るには、ゲームクリアが絶対条件のプログラムにしちゃったから。ログアウトなんてものはないんだよ、ごめんね』


 「嘘だっ! 普通、抜け道とか抜け穴とかあるでしょ!? 何で作ってないんだよ! 適当なゲームだとは思っていたけど、ここまで適当だとはな!」


 『ムキー! だから言ってるじゃないか! 私はソフト専門じゃないの! 大体、その適当なゲームもクリア出来ない人には、あれこれ言われたくないね!』


 「あーあ、開き直りましたか、そうですか。適当だから、やり辛いんだよ! ユーザー舐めんな! あのスライムだってパクりじゃないか!」


 『あ、あれは、スラム君だ! 決してスライムじゃないからね! 止めてよ、著作権の法律は難しいんだから!』


 「ほほぅ、スラム君ですか。スライムとは、認めないと? あのフォルムは偶然の産物だとでも?」


 『……スラム君はスライムのオマージュです。天地神明に誓ってパクりじゃありません』


 チッ、オマージュで逃げやがる気か。つーか、どうすんの俺? 喧嘩してる場合じゃなくない?


 「分かりました、スラム君を認めましょう。だから、どうにかゲームクリアに繋がる慈悲をください!」


 『それなら、モネがいるから安心していいよ。彼女は、能力面では最強クラスだ!』


 「能力面では? 何か引っかかるのは、俺が疑心暗鬼になっているせい?」


 『と、とにかく! モネと協力してクリアを目指してほしい! 私も偶に見ているから面白いプレイを期待しているよ! それじゃ、アデュー!』


 目玉君は音もなく消えた。残されたのはステータス底辺な俺と、ブルジョアステータスのモネだ。


 「モネ、こんな俺だけど助けてね」


 「タロウ、一つ忠告。私はすぐ疲れる。基本ダラダラしたい」


 は? ただの怠け者じゃん、この羽虫。


 俺は早くも後悔した。サポート役を変更すれば良かった、と。

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