教えてモネ先生!
まだだ、まだ絶望してはいけない! こんな事で絶望していたら、他にいるであろう九人のプレイヤーに申し訳がたたない! きっと彼ら彼女らは、俺と同じように死にまくっていることだろう。
「なんか、申し訳ないな」
「疑問。なぜ?」
「だってさ、理由は何であれ、俺のせいでモネのようなサポーターが遅れたんだろ? きっと、他の人達も苦労したわけだしさ」
「訂正。遅れたのは私だけ」
「え? ジャンケンしてて遅れたんだよね?」
「そう。不覚をとった」
「んー? 会話が噛み合わないな。ジャンケンって相手がいて成立するよね? モネ達は、サポートに付く相手をジャンケンで選んだんだろ?」
「そう。遺憾ながら」
「だったら、他の九人もサポートが遅れたんじゃないの?」
「再度訂正。私達は二十人いる。九人のサポートはすぐ決まった」
あばばばば。俺はガタガタと震えだした。
「ジャ、ジャンケンは、残りの十一人で?」
「総当たり戦。だから時間が掛かった」
十一人でジャンケン百回勝負? バカかよ! せめて奇数でできる勝負にしろよ! つーか、どんだけ俺は嫌われてんの?
「そ、そっかぁ、まぁ、すぐにサポートが付いたからって、このクソゲーは進められないだろうし? 別にいいんだけど? いや、ホントに」
「誰に言い訳? 疑問。そして更に疑問、クソゲーの意味の理由を求める」
「いやいや、モネの立場からクソゲーと批判するのはできないと思うけど、これは流石にクソゲーですわ。序盤のくせに、モンスターは強くてすぐ死ぬし」
「不可解。モンスターは簡単に倒せる仕様」
「嘘だっ! 実際に死んでるんですけど? ワンパンですわ」
「他の仲間に確認する。ちょっと待機」
羽虫が両耳に手を当てながら、目を瞑る。あれで通信ができるのか。そんな技術があるなら、俺をさっさとログアウトさせてほしい。
「確認した。仕様の変更は皆無」
「え? つまり?」
「モンスターは弱い」
「いやいやいや、嘘だって! 俺が何回死んでると思ってんの? 他の人にもちゃんと聞いた? モネ達にとっては弱いだけなんじゃないの?」
「報告。一人クリアした」
「……嘘だろ? チートや! チートに決まっとるわ!」
「なぜ関西弁? クリア確認は本当。レコードホルダー。主もニッコニコ」
「えぇ、マジで? これってクリアできるゲームなの? ゲームを装った拉致監禁が目的じゃないの?」
「心外。主はゲームに関しては紳士」
「人間に対しては?」
「……黙秘する」
やっぱり拉致してんじゃねーか! 主って奴は、どうにも信用できない。信用できないが、羽虫の言葉が本当ならゲームに関しては真っ当らしい。恐らくクリアも事実だろう。
だとすると、だ。おかしくない? クリアした奴はよほど身体能力に秀でてるのかね? それとも俺が知らない裏ワザがあるとか?
「ねぇモネさん、この世界に魔法とかあったりする?」
「肯定。そして疑問。なぜ自分で調べない?」
「なによ、調べるって。ステータスと叫べってか? 残念でした~、もう確認済みですぅ」
「え? 動揺。 再度確認する。ステータス画面が表示されていない?」
「えっ? 勝手に動揺しないで。そういうのは伝染するんだよ。というより、普通は表示されるもんなの?」
「肯定。チュートリアルの初歩の初歩。可能性として、何かしらのエラー。問題が複雑なので、私がオジさんを調べる」
羽虫の目から光が放たれ、その光が俺の身体を上から順に浴びせていく。コピー機の中に入った気分だ。
「解析完了。ステータス確認」
おお! 魔法はなんだろう? スキルもあるかな? あ、職業とかも気になるな。
どうやら俺の冒険が始まるようだ。待たせたな、みんな!
「……オジさん、確認。本当に生きてる?」
「は? 言ってる意味が分からないんだが」
「オジさんのステータス、軒並み最低値。生存が奇跡」
……俺はこの世界で、何度絶望すればいいのだろうか。




