自暴自棄
はぁ、もうね、全てがどうでもよくなっちゃった。
毎回毎回死んでさ、パトラッシュぼく疲れたよ。
これが通常運転の世界なら、俺にはどうしようもない。
普通のゲームだったら、偏屈なジジイで済む場面でしょ。なぜサイコに振り切るのか分からない。
もしかして、俺が知らないだけで、ここはバ◯オの世界観なのかもしれない。
あのスライムも元は人間で、アン◯レラのような組織に実験させられた悲しい過去があるのかもしれない。
……うん、どうでもいいな。
だから何? って感じだ。
悲しき過去? 暗躍する組織? バーカバーカ! そんなのは、画面の向こうで関わるから面白いんだよ。
立ち向かう? 笑わせんなよ。当事者になってみな。速攻で逃げるから。
逃げられないで世界が滅ぶなら、俺はそれを許容するだろう。
主人公なんて柄じゃないんだ。俺は名もなき村人Aとして、粛々と生を享受する道を選ぶ。
それが例え、モンスターに変えらる運命だとしても、それによって自我が失くなるとしても、悔いはない。
だからさ、もう俺に構わないでくれ。
―――【DEAD END】
【DEAD END】
【DEAD END】
……。
何度俺の睡眠を邪魔すれば気が済むのかな?
毎回毎回、寝ている内に殺しやがって。
暇なの? なら一緒に寝ようぜ。俺の隣、空いてますよ?
サイコジジイの拷問に比べたら、死神君の鎌なんて包丁でちょっと切っちゃった? レベルなんですわ。
たまに穴掘りみたく、ザクザクするのは止めていただきたいけど。流石に声出ちゃうから。皆に聞こえちゃうよ、死神君。駄目だってば。
激しい激しいよぉ死神君! アッーーー!
……はぁ、嫌な妄想した。俺、溜まってるのかな? 色々な意味で。
変わらない景色、変わらない状況、変わらない死。
いつまで続くのか、いつ終わるのか、いつ戻れるのか。
その全てが、どうでもよくなっていた。
もちろん、戻れるに越したことはない。けれど、それ以上に、感情を左右させたくない。
一喜一憂して、その度に疲れるなんて、ごめんだよ。
だったら、気付いたら戻ってる、やったね! みたいな心の在り方が一番望ましい。
もしかしたら、俺の残機が残り少ないかもしれない。まあ、あまり期待せずに減らしてみようか。
―――【DEAD END】
【DEAD END】
【DEAD END】
……。
何十回は死んだかな? 変化がないのは嫌になるが、変化がないことが分かっただけでも良しとしよう。
ポジティブだって? ハハハ、そうでも考えないと心が壊れちゃうからね。ある種の悟りを開いたと思っていただきたい。
今の俺をキレさせるなんて、ちょっと考えられないですね。キレさせたら凄い? ええ、凄いです、自信を持っていただいて宜しいかと存じます。
「オジさん、まだココにいる。なぜ?」
「おやおや、可愛らしいモンスターですね。フェアリーですか?」
「フェアリー違う。私、モネ」
「そうですか、失礼しましたモネさん。ところで貴方は、言葉が話せるようですがどういったご要件ですか?」
「サポートする。オジさんを」
……サポート? サポートって何? 助ける的な意味合いだよね? 今頃? 俺、何回死んでると思ってんの?
「遅っせーんだよ! クソ羽虫がぁ!」
悟りが閉じる程に、俺は怒声を上げた。




