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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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なんて日だ!

 世界は二種類の人間でできている。

 金持ちと貧困、賢者と愚者、イケメンとブサイク、男と女、トムとジェリー、狩る者狩られる者。あっ、トムとジェリーは人間じゃないか。

 俺は哲学チックに妄想を試みるが、如何せん語彙力が乏しい。これも思考が貧困なせいだろう。


 「おい! オッサン、聞いてんの? 返事しろよ!」


 俺は緑の長髪を揺らしながらオラつく男性に、視線を向ける。


 経緯は単純だ。冒険者ギルドで依頼を頼もうとし、宿屋から出た途端にチンピラとエンカウントした。それだけだ。


 「えっと、君は誰? こんなオヤジ狩りみたいな事してると捕まるよ?」


 「うっせぇよハゲ! お前が俺のダチを殺ったのは知ってんだよ! 俺らから逃げられると思うなよ!」


 ハゲてねぇし! つうか、帽子被ってんのに何故ハゲだと思った? ベレー帽被ってる人間なら八割ハゲ(俺調べ)だが、俺はカウボーイハットだから違うだろ。

 ん? 俺のダチを殺った? 覚えがないな。誰かと勘違いしてない?


 「分かった分かった、逃げないから、冒険者ギルドに行こうか」


 「はぁ? てめぇ舐めてんのか?」


 「舐めてない舐めてない、とりあえず冒険者ギルドに連れてって」


 「舐めてんじゃねぇか!」


 緑の長髪が俺に拳を放った。みぞおちに深くめり込み、肋骨が砕け、肺に刺さった。


 「アバラっ!」


 俺は蹲り、カヒュカヒュと息を吸い込もうとするが、上手くいかない。苦し、い。


 【DEAD END】



 「はぁ~、ふぅ〜、はぁ~、ふぅ~」


 意識を取り戻したと同時に、俺は深呼吸をした。

 ようやく落ち着き、ここが宿屋だと確認する。


 え? 何で殺されたん? 羽虫を装備してなかった俺も悪いけど、いきなり過ぎて頭が混乱するんだが。


 「タロウ、死ぬの早すぎ」


 「いやいや、あんなの通り魔と一緒だよ。てかさ、レベル15ってこんなもんなの?」


 「そんなもの。でも前だったら、拳が突き抜けてた」


 なるほど、トイレットペーパーシングルがダブルになったみたいな? どっちにしろ紙装甲だよバカ。


 「若者ってあんなにすぐキレるんだな」


 「タロウ、鳥頭?」


 鳥頭? どういうディスり方だよ。物覚えが悪いのは自覚してるけどさ……あ! 変態レンジャーか! ピンクモヒカンと黒魔法使い、そうだそうだ、あいつら殺したんだった。すっかり忘れてたわ。


 「つまり、あの緑は変態レンジャーの仲間か」


 「そう。殺されるのも当然」


 なるほどね、そうなると俺ができる事は唯一つ。羽虫に土下座する事だけだ。


 心底嫌そうな羽虫を帽子の上にセットし、俺は宿屋を出た。


 「見つけたぜオッサン! よくも――」


 はい、ドーン! 思いっきり轢いてやりました。流石レベル15、以前よりも自身のスピードが上がっている。その為、轢かれた緑はかなり上空まで打ち上げられた。

 周りを見渡すと、人がちらほらいるが、誰も気に留めていない様子だ。俺は緑が落ちてくる前に、早足でその場を後にした。


 何度も道を尋ね、ようやく冒険者ギルドに着いた。もっと目立つ造りには出来ないのかな。タワーみたいに高さを出して、迷わないようにしてもらいたい。


 受付けらしきカウンターには、タンクトップを着たスキンヘッドのオッサンが座っていた。ダイ・◯ードかな? ここって冒険者ギルドだよね? 警察署と間違えてないよね?


 「あのー、すみません、依頼をお願いしたいのですが」


 「おう、どんな依頼だ?」


 「ソラリオース家の壊滅です」


 「フ〜、クソッタレな依頼だな!」


 「駄目ですか?」


 「報酬は?」


 「100万ゴルドで」


 「ハッハー、ご機嫌な金額だ! それでソラリオース家を相手にしろって? とんだ災難だぜ」


 やっぱこの人マクレーンじゃない? 違うの?


 「テメェら! 100万ゴルドの依頼だ! これだけあれば、チマチマと稼がなくても暖炉でホットワインをたらふく呑めるぞ!」


 「ボス、依頼内容は?」


 「ソラリオース家のクソッタレを掃除して欲しいとさ! ウチの領主にケンカを売ったチンピラ共を黙らせろ!」


 ウオオオ! と野太い声が響く。


 「お前さんはどうする?」


 え? 俺? 普通って依頼人も行くの? いや、行かないでしょ。何の為の依頼だよ。

 でもなぁ、正直、この街でやる事もないしなぁ。ソラリオース家がある街まで同行するってのはアリだな。一人だと絶対迷子になるし。


 「街まで付いていきます」


 「歓迎するぜ、命知らず! 準備に二、三日掛かるが、泊まってる宿を教えてくれれば使いを出すぜ」


 「ありがとうございます、宿屋は《木漏れ日亭》です。後、こちらが依頼料の100万ゴルドです」


 俺はマジックバッグから、100万ゴルドが入った布袋を取り出し、スキンヘッドのオッサンに渡した。


 「おいおい、全額前払いで良いのか? 普通は半々に分けるもんだぞ?」


 「ええ、全額前払いでお願いします、皆さんを信じてますから」


 「ハッハー! お前さん、いい意味でイカれてるぜ!」


 俺は笑顔で頷き、ギルドを後にした。


 はぁ~疲れた。ずっとあのテンションなのかな? しんどいだろうに。後、いい意味でイカれてるってどういう意味? 褒められてる気がしないんだけど。

 依頼料はやっぱり前払いと後払いになるんだな。誤魔化す輩も過去にはいただろうし、当然の措置か。

 ま、俺はどうせ、依頼達成後にはこの街にいないんだから、さっさと払えるものは払った方が楽だよね。

 懸念があるとすれば、変態レンジャーの残り三人かな。赤、青、黄の信号機マフィア。それは今考えても仕方ないか。


 俺はどっちの方向から来たっけ、と頭を悩ませながら宿屋に向かった。

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