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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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50/59

セーブデータ

 心機一転、俺は折れた心をなんとか添え木で支え、現実へ戻る為にするべき事を思案する。


 って言ってもなぁ、ぶっちゃけクエストってやる必要ある? ソラリオース家というマフィアを潰しても、俺には関係ないよね? 大体、クエストを依頼したケン本人がいないし。マフィアと因縁がある領主邸からは出禁にされたし。


 「ねえ、このクエストって無視しても大丈夫なやつ?」


 「この場に留まり続けるつもりなら、無視してもいい」


 駄目じゃん。何が、無視してもいい、だ。駄目なら駄目ってはっきり言えよ。シニカルな説明なんて疲れるだけなんだからさ。


 「あー、クエスト面倒臭い。他のプレイヤーもこんな面倒事に向き合ってんのかね」


 「観る?」


 「え? 何を?」


 「クリアしたプレイヤーのセーブデータなら、観る事が出来る」


 「マジで!? 観たい! けど、その前に、クリアしたプレイヤーって増えた?」


 「まだ一人しかクリアしていない」


 良かったぁ。見知らぬプレイヤー諸君、俺達はズッ友だよ。勝手に抜け駆けしないでね。約束だよ?

 だが、ゴトウ、てめぇは許さん! お前の名前はしっかり覚えてるぞ。ジパングという日本からスタートした卑怯者、そしてあっさりイチ抜けした不届き者。


 羽虫が何やら呟き、翼が生えた青い目玉が召喚された。それに既視感を覚えていると、主との邂逅を思い出した。あの時の黒目玉と姿が一緒だ。今回は青だけど。

 青目玉からライトのような光が放たれ、空中にスクリーンが投影される。便利だな、この目玉。


 『え? どこだここは? 僕の家じゃない!』


 映像には、キョロキョロと辺りを見渡す男が映っている。学生か? 随分若いな。こいつがゴトウ? 幼さが垣間見えるし、何か可哀想になってきた。


 『落ち着いて下さい、勇者様。ここはジパングの帝都モンジャです』


 『勇者? 僕がですか? あなたは誰ですか?』


 『私はジパングの王、エドと申します。勇者様、貴方の力を私の国に貸しては頂けませんか?』


 『僕の力? 無理ですよ! 僕なんて、ただの高校生ですよ? それに、人前に出るのは苦手で』


 『大丈夫よ、ゴトウ君。私と一緒なら、あなたは誰よりも強くなれるわ』


 『え? 妖精さん? 何で僕の名前を?』


 『私はガーネ。ゴトウ君のサポーターよ』


 えっと、色々突っ込みたいんだけど、キリがないなこれ。モンジャとか適当すぎるだろ。


 『よっしゃー! ステータス1万超えたぜ!』


 『やったねダイキ!』


 『流石だぜダイキ!』


 『素晴らしいですわ、ダイキさん』


 「はい、ストップ! ストーップ!」


 「何、タロウ?」


 「いやいや、端折り過ぎじゃない? さっきまでウジウジしてたじゃん、ゴトウ君。何で急にイキってんの? 後、周りの女性は何? 気持ち悪いくらいヨイショしてるんだけど」


 「ザッピングして編集してるから仕方ない。それと彼女達はゴトウのパーティーメンバー。皆、ゴトウにメロメロ」


 ハーレムかよ! ラブコメは他でやってくれない? ゴトウもなんか顔色がおかしいし。


 「あれ? そう言えば、ゴトウって寝ないでクリアしたんじゃなかったっけ?」


 「そう。一週間寝ずにクリアした」


 「なんで? そこまでしなくても、クリア出来たでしょ?」


 「その場面なら、確かここらへん」


 『無理だよ、僕が勇者なんて。それに八つ首のモンスターを倒せ、なんて言われても、僕なんかじゃできっこないよ』


 ゴトウ君、ベッドのシーツに包まってガタガタ震えてるな。って言うか、八つ首モンスター? もうクリア条件提示されたの? 早くない? 


 『ゴトウ君、大丈夫。私がついてる』


 『ガーネさん。でも、僕、怖いんです』


 『何が怖いの?』


 『色々です。僕は昔から何をやってもダメで、親からも呆れられて。だから、怖いんです』


 『そうなのね、可哀想なゴトウ君。だったら、一度私に意識を預けてみない?』


 『意識を預ける? どういう事ですか?』


 『私があなたの手足を動かすって事』


 『……それで上手くいくのなら、お願いします』


 『任せて。私、一週間後に予定があるの。早く終わらせるわ』


 「え? 何これ? つまりガーネがゴトウ君を動かしてたって事? モネ、これってセーフなの?」


 「ギリギリ黒に近いグレー。ガーネが上手くやった」


 いやいや、完全にガーネの予定ありきのクリアじゃん。私がついてる? 憑いてるの間違いじゃないの? さっきのイキりゴトウも、ガーネが言ってたって事だよね? これ、ゴトウ君のその後大丈夫? 現実に戻って支障きたしてない?


 「意識預けるって、その間のゴトウ君の意識は何処にあるの?」


 「変わらない。ゴトウの中にある。勝手に体が動くのを見ているしかない」


 怖っ! 急にホラーにするの止めてくれない?


 「モネはそんな事しないよね?」


 「この手はもう使えない。主からの通達。不覚、遅れを取った」


 こいつ、使うつもりだったな? つうか、サポーターってヤバい奴しかいないの? ガーネとか、ぱっと見妖精のお姉さんみたいな雰囲気出してたけど、やってる事えげつないし、自分最優先だし。


 俺は当初抱いていた嫌悪感が消え、ゴトウ君を許し、憐れむようになった。

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