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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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37/59

冒険者ギルド

 麻の長袖にズボン、長袖の上から青のベストを身に纏う。テンガロンハットを被り、腰には短剣をぶら下げた。良いじゃないか。荒野のガンマンスタイルを一度はやってみたかったのだ。

 初めは、高級そうな生地で作られた仕立ての良いフォーマルスタイルを用意されていたが、丁重にお断りした。レストランに行くのなら最高だが、これから行く場所は冒険者ギルドだ。絶対に目立つし、鴨ネギとして狙われるのがオチだろう。


 「準備出来ましたか? それじゃ行きましょう!」


 俺はまじまじとケンを見る。

 こいつに至っては、フルプレートアーマーを装着している。それって、隊長格がやっと使える装備じゃないの? 何で自前で持ってんだよ、このボンボンが。


 「先に屋敷から出てくれ。俺は見失わない程度に後を付いていくから」


 「一緒に行かないんすか?」


 「お前の知り合いだと思われる可能性を、極限まで減らしたい」


 「ああ、マフィア対策ですか、了解です!」


 そう言い、ケンはガチャガチャと音を鳴らしながら屋敷を出て行った。


 はぁ~、外に出たくない。ずっとこの屋敷で暮らしたい。叶うのなら、ベッドで過ごしていたい。



―――


 かれこれ三十分は過ぎているが、一向に着く気配がない。

 それもそのはず、あのバカはフルアーマーのせいで歩くのが遅い上に、知り合いの住民と会えば一々立ち止まり、それから話し始めて笑い出す。クスリでもやってんのかコイツ。離れた距離を保ってる俺にまで届く笑い声は、どうしようもなく神経を逆撫でする。


 だってさ、その間俺が何してたと思う? 空を見上げてみたり、意味もなく考え込む仕草をしたり、家屋を眺めて軽く頷いたりもした。それでもせいぜい五分が限界だよ。いっそ屋敷に帰ってしまおうかとも思った。けれど、それは叶わなかった。もう来た道を忘れていたんだから。


 俺の記憶力が薄弱なのは認める。でも、あのバカも悪い。多少回り道になっても、大通りから逸れずに進むべきなんだよ。それを路地裏に入ったり、かと思えば、また大通りに出たりしてさ、俺を撒く為なんじゃないかって本気で疑ったね。


 ようやくバカが一つの建物に入っていった。恐らくあそこが冒険者ギルドだろう。違ってたら、自分を抑える自信がない。

 見た感じ、普通の木造建築だな。スキー場にある山小屋って感じ。大丈夫? 燃えない? さっき見た家の方が、よっぽど丈夫そうな造りをしていたけどな。多分あれは石を加工してたと思う。ま、いいか。ここが燃えようが知ったこっちゃないしな。


 入り口の扉は、今の俺の姿に相応しく、アメリカンな両開きスタイルだった。

 中は想像以上に広く、どうやら飲食も提供されているようだ。


 物珍しさでキョロキョロしていると、ピンクのモヒカンと肩がぶつかった。


 「痛っえなぁコラ! 折れちまったじゃねーか!」


 マジか。お約束はここではいらないです。どうしよう? 周りを見渡すが、皆一様にニヤニヤしてやがる。助ける気は皆無らしい。あ、そう。しょうがない、俺もお約束に付き合ってやるよ。


 「やれやれ、ここの冒険者も質が落ちたもんだ。俺が誰だか知らないのか? ワイバーン殺しのこの俺を!」


 はぇ~気持ちええ! ドヤるのは堪らんね。ふふ、皆もざわついてやがるな。


 「安心しろ、今日の俺は機嫌が良い。さっさと失せな」


 「はぁ? てめぇ何言ってんの? ワイバーン殺しだぁ? 上等じゃねぇか、丁度ワイバーンを狩る予定だったんだわ」


 えっ? 嘘だろ? お前、そんなレベルの冒険者なの? ただのヤラレ役じゃないの? そんなヒデブって言いそうな世紀末感出して?


 「オラ、死ねや!」


 その蹴りは避けること能わず、さりとて防御も不可避な一撃なり。まさに必殺。


 「ヒデブっ!」


 俺はド派手に吹き飛び、転がりながら、どす黒い血を吐いた。目がチカチカしたかと思えば、世界が暗転した。


 【DEAD END】

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