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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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報酬の価値

 さて、ゴトウに呪詛を送った所で、こちらも何とかしてクエストを成功させたい訳なんだが、いまいちやる気が出ない。

 方やヤマタノオロチを倒し、クリアに成功した者。

 方やマフィアを壊滅する為に、奔走する俺。


 ゲームだよね? フィクションだよね? 何だよマフィアって。モンスターで良くない? 妙に生々しいんだよな、このクエスト。しかも、クリアに関係ないイベントっぽいし。やるだけ損じゃない?


 「ねえ、このクエストが成功したら、俺に何の恩恵が与えられるの?」


 「タロウ、情けは人のためならず」


 それって、巡り巡って、良い事が自分に返ってくるってやつでしょ? いやいや、違うんだよなぁ。巡る、なんて回りくどい事しないで、直接俺に対価を払ってくれよ。何勝手に巡ってんのさ。


 「納得できないのなら、そこのバカと交渉すればいい」


 「えっ? 俺っすか?」


 突然話を振られたケンは、きょとんとした表情でアホ面をさらけ出している。


 まあ、ケンからは有無を言わせず報酬を頂く予定だったが、俺が本当に欲しいのはゲームに関する類のものなんだけどな。仕方ない、先にケンから搾り取るか。


 「ケン、お前はマフィアを潰したいんだよな?」


 「そうです! 理由は話すと長くなるんですが――」


 「いや、いいから。理由とかどうでもいいし。そんな事よりも、報酬の話をしようじゃないか」


 「報酬、ですか」


 「え? 何? お前もしかしてタダ働きさせる気なの? こっちは命懸けなんだぞ? 善意で済ませられる問題じゃねーぞ」


 「も、もちろん、報酬は渡します。でも、俺が個人で渡せる報酬なんて、微々たるものなんですよ」


 「ふーん、ま、そうだろうね。話は変わるけど、お前の兄貴は今回のことをどう思ってんの?」


 「兄さんですか? 兄さんも同じ気持ちだと思います。でも、母さんが酷い目に合う可能性が高いので、我慢してるんじゃないかな」


 「へー、じゃあ、母親は? 例えば夫が不慮の事故で亡くなったら、悲しむのかな?」


 「……悲しむでしょ、普通」


 「普通? 普通ってなんだ? 表向きには悲しむだろうよ。でも本音は? 息子のお前から見た母親は、マフィア幹部の夫と結婚して幸せそうに見えるのか?」


 「……昔、俺がまだ小さい頃、母さんが度々泣いていた。理由なんて分からない。でも、母さんが泣くのは、いつも親父がいない時だった。今、思うと――」


 長ぇな。誰が無限回想編に入れって言ったよ? そういうのは、長期連載してる漫画家の特権だからね? 

 えっと、つまり親父は他所でも女がいて、どうしようもないクズってことでオーケー? よし、じゃあ殺そう。どうやらオールバック兄貴は味方っぽいから、手間が省けるな。


 「分かった。じゃあ、報酬の話に戻ろうか。お前個人云々ではなく、この家の財産で考えて俺の報酬を決めてくれ」


 「えっと、兄さんと話し合う必要があるので確定はできないけど、マジックバッグは譲れると思う」


 「マジックバッグ? それって、収納が無限のやつ?」


 「そうです。我が家の宝です」


 ほぇー、良いじゃない。それは是非とも欲しい。もうダメだと言われても、遅いからね。この家にあることは分かったんだ、最悪盗んででも手に入れてやる。


 「もう一声」


 「えっ?」


 「もう一声欲しいな」


 「で、でも、マジックバッグですよ? 買うとなったら、数千万ゴルドは必要な逸品ですよ?」


 「そうなんだ、凄いね。じゃあ、プラスゴルドで手を打とう」


 「いくら欲しいんですか?」


 「いや、こういうのは相手側の気持ちだからね? 俺が決めると厭らしいでしょ? まあ、俺だったら最低でも100万ゴルドは差し出すけどね。あくまでも、俺だったら、だから。まあ、これからソラリオース家をぶっ潰しに行く恩人の為を思えば、安いもんだよね」


 「……俺だけでは決められないので、兄さんの意見を訊いてきても良いですか?」


 「どうぞどうぞ、あ、お兄さんには、父親のことは任せろって、伝えてくれない?」


 ケンは無言で頷き、部屋を後にした。


 「タロウ、ふっかけすぎ」


 「貰える物は喧嘩と悪意以外何でも貰え、というのが家訓でして」


 「世紀末に住んでた?」


 「ハハハ、こっちの方がよっぽど世紀末だけどね」


 「それより、クエストへの対策が不透明」


 それな! なんなら、ソラリオース家がどこにあるのかすら分からん。ま、ケンが何とかするでしょ。俺がやるべきことは、ケンの親父を殺すこと。どうにか、これだけで済んでくれないかなぁ。済まないだろうなぁ、このクソゲーは。


 はぁ~、と俺はため息を吐き、ベッドにダイブした。

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