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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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25/59

何者?

 余計な荷物を背負わされたが、気を取り直して街を観光しますかね。


 「アニキ、どこ行くんですか?」


 「街だよ」


 「街に入るなら、正面の検問を通らないと」


 「あん? 俺はもう街に入ってるんじゃないの?」


 「ここは兵士が夜間の見廻りをする為の休憩所です。アニキはここの地下にある収容所にいました」


 そうなの? パニクってジジイの孫なんて嘯いてからの記憶が曖昧なんだよな。


 「入り口ってどっちか分かる?」


 「任せて下さい! アズーレは俺の庭ですから!」


 流石は元兵士。なかなか頼りになるじゃないか。このままコイツの後を付いていけば問題ないかな。


 「因みにアニキは冒険者じゃないですよね?」


 「違うよ。じゃあ何だって聞かれると困るけど、旅人かな?」


 「それだと、街に入るには税が取られます」


 「いくら?」


 「一人につき、1000ゴルドです」


 ふーん、高いのか安いのか分からん。いや、街に入るだけで税金を取られるのは痛いよ。でもさ、それってモンスターから守ってくれる安心の保証だと考えれば、納得のいく金額ではある。うん、むしろ安いな。


 「全然オッケー。金ならある」


 ちゃんと荷物も返してもらったしね。


 「そうですか、分かりました。それで、その……」


 「何だよ? はっきり言えよ」


 「そこのフェアリー的な存在は、どうしましょうか?」


 ああ、羽虫の事ね。そういや、どこまでコイツに説明して良いのやら。お前はNPCという存在でぇ~とかも言っちゃっていいんかな? それはそれで面倒だな。特に俺が。いちいち質問に答えてたら、時間があっという間に過ぎるぞ。


 「あー、コイツはモネ。基本的に、俺とお前にしか見えないから気にするな」


 「そ、それはどういう理屈で――」


 「ケン! 俺は早く街に入ってのんびりしたい。先を急ぐぞ」


 「う、うっす」


 危ない危ない。考えるブレーキを踏ませてはダメだ。コイツには常にアクセル全開で生きてもらおう。


 「ということでモネ、ケンに余計な事を言わないようにしてね」


 「当然。面倒事は勘弁」


 よろしい、流石は自堕落に定評がある羽虫だ。期待を裏切らない。


 「後、ちょっと上空に行って、離れながらついてきて。また威嚇している不審者みたいな扱いは嫌だから」


 「豪華な食事と取り引き」


 「……了解」


 チッ、高くついた。駆け引きなんかどこで覚えやがった。


 ケンの後をボケっと付いて行ったら、見覚えがある門の前まで辿り着いた。


 「おいデュー! お前本当に兵士辞めちまったのか?」


 「ああ、俺の目的は達成されたからな。これからは、この方の恩返しの為に働く」


 「そうか、寂しくなるな。まあ、お前は弱っちいから精々死なねぇようにな!」


 「うるせぇ! 俺が弱いんじゃなくて、お前が強いんだよ腐れ同期!」


 「いーや、お前が断トツで弱いだろうが。覚えてるか――」


 「あー、あの時な。アレはそもそも――」


 おい、いつまで喋れば気が済むんだ? いい加減にしろよ、同窓会か? ぐだぐだと思い出に浸ってんじゃねーよ。


 「ケン! ほら、税。金貨一枚やるから、銀貨九枚を寄越せ」


 「あ、はいアニキ! 只今!」


 「ケン? おいデュー、ケンってお前か?」


 「そうだよ、文句あんのか? ほら、さっさと仕事しろ」


 「分かったよ。なあ、そこの兄さん、街に入るに当たって説明は必要かい?」


 説明か。普通は必要なんだろうけど、ケンがいるならその都度聞けばいいか。


 「いや、必要ないな」


 「分かった。こっちが銀貨九枚でこっちが入行手形の証だ。街から出る時に返してくれ」


 「了解」


 手形は、木の板に独特の模様が入っていて、持っているだけで呪われそうな代物だった。


 「アニキ、どこに行きますか? 俺が案内しますよ」


 「そうだな、とりあえず宿に案内してくれ。色々疲れたし」


 「わっかりました! 最高級の宿に案内します」


 「いや、ほどほどでいいから」


 ねぇ、聞いてる? ちゃんと返事しなさいよ。羽虫が言うには、普通の宿で5000ゴルドだったか? 熊のドロップ金貨が残り九枚。あまり贅沢な使い方は控えたい所だが……ケンは自分の分は自分で払うよな? 俺に払わせる気だったら、その場で絶交だ。金の恨みは禍根を残すからな。


 「あら、坊っちゃん! ウチの野菜持っていきな!」


 「あんがと、チルおばさん」


 「デュー! 今晩呑みに行かねぇか?」


 「また今度な、ガース爺さん。あんま呑みすぎんなよ」


 はぁ? 何これ。兵士って皆こんな感じなの? つうか、ケン。コイツ完全に陽の者だな。街の奴らはダイタイトモダチって韻踏んでそう。


 それからもケンに声を掛ける住民が多数おり、その後ろをトボトボ付いていく俺は、明らかにケンの手下其の一という風情である。

 あー、もっとゆったりと街を見て回りたかったな。つうか、どこから湧いてきてんだよ住民。


 もみくちゃにされること数十分。人は見当たらなくなり、広々とした道路を俺達は歩いている。

 おい、道間違えてないか? そう俺が言おうとした所で、ケンが足を止める。前には近衛兵らしき人物が二人立っている。何故近衛兵だと分かるかって? だって、ここからでも見える豪邸がその先にあるんだもの。明らかに私兵でしょうよ。


 「お帰りなさいませ、デュラマディゾーグ様」


 なんて? あぁケンの事ね。じゃなくて! 何、すんなり門を開けてんの? おい、近衛兵。ペコリじゃねーんだよ、仕事しろ仕事!


 「アニキ、とりあえずで申し訳ないですが、今晩は我が家で英気を養ってください!」


 あ、うん。君、いいトコの子だったんだね。死んでくれって言ってゴメンね。マジ邪魔だわって思ってゴメン。次いでに、なんかゴメン。赦して。


 俺はあまりの豪邸に、その場で立ち竦む事しか出来なかった。

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