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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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18/59

チュートリアルって、必要だよね?

 戻ってきたぞ! 我が草原!


 いやー、レベルアップって凄いね。1しか上がってないけど、前の俺からすれば2倍の身体能力だからね。

 正直、簡易背負子にあれこれ積み込んだ時、これ担げるか? って疑問に思ったけれど、意外と余裕だったもんな。逆に、椅子の背もたれがぶっ壊れないかが心配だった。


 後、控えめに言って、靴が最高!

 移動する度に傷を負ってたのが嘘みたいだ。

 裸足? バカじゃないの? 流行が数世紀遅れてるよ? このように、俺はこれから裸足民にマウントが取れるようになった。そもそもそんな奴がいるのか知らんけど。


 さて、俺としては一刻も早く街へと向かいたいわけだが、如何せん日が暮れてきた。夜になればヤツが動き出す。そう、死神君だ。


 「タロウ、腹ヘリ。肉を所望する」


 ……こいつ、いつも腹減ってんな。燃費悪すぎじゃない? アメ車かよ。でも、ここで機嫌を損なわれるわけにはいかない。こいつに結界を張ってもらわねば、俺が死ぬ。


 「とりあえず、乾パン食べといて。後、料理するから火出して」


 「火くらい自分で用意するべき。私に頼りすぎ」


 「用意ったって、どうすんのよ? 俺は魔法使えないんだろ?」


 「生活魔法なら使える」


 「はぁ!? 生活魔法? 何それ詳しく!」


 「あ、無理だった。NPC専用みたい。めんご」


 クソっ! ちょっと期待しちゃったじゃねーか! 生活魔法? あれか? 火や水や風が出せるヤツか? くっそ便利じゃん! どうりで、ジジイの家に発火装置が無かったわけだ。何かを燃やした形跡があったから、すんげー調べたのに。あのジジイ、そんなズルしてやがったのか。


 「……とりあえず、火をちょうだい。弱火でね」


 俺は無心になって肉野菜炒めを作った。そうしないと、羽虫に怒りをぶちまけそうだったから。



 ―――夕飯を食べ終え、寝るにはまだ早い微妙な時間帯ってあるよね。今がそうなんだけど、そろそろ俺も本格的にこのクソゲーを攻略しようと思うわけでして。


 「ゲームクリアの方法教えて」


 なんて、口走ってしまった。


 「バカなの? 教えるわけがない」


 はい、その通りですね。端折り過ぎた。


 「このゲームでの、プレイヤーの立ち位置って何? 勇者とか?」


 「黙秘する。それを調べるのも醍醐味」


 「そりゃそうだろうけどさ、俺だよ? 明らかに調整ミスのステータスで放り出された者の気持ちを考えた事ある?」


 「不憫に思う」


 「だったらさぁ、ちょっとくらい便宜を図ってくれてもいいんじゃない?」


 「充分に図ってる。私という戦力がその証拠」


 羽虫のドヤ顔、腹立つわぁ。言葉にはしないが、正直言うと、俺からすればお前はハズレだからね。


 「単刀直入に言おう。俺は情報が欲しい。勿論、モネの戦力は大変ありがたい、しかし、さっきも言った通り、俺は突然草原に放り出されてからチュートリアルすら受けてないのが現状だ。その辺りは、モネの管轄だと思うんだが?」


 「チュートリアル? タロウは履修済み」


 「嘘だ! 俺は何の説明も受けてないぞ!」


 「タロウ、勘違いしている。チュートリアルは初期行動の過程で修了する」


 「ん? 行動で? と言うと?」


 「ステータスで自身の能力確認、モンスターとの戦闘、それらを以ってチュートリアル」


 えーっとぉ、つまりぃ、俺は知らない間にチュートリアルを済ませていた、と。マジで? 情報とかないん? 他のヤツらはそれで文句言わなかったの? いきなり外に放り出されて? 嘘だぁ。


 「他のプレイヤーは余程お人好しなのか?」


 「普通と認識している。中には慌てふためく者もいる」


 「だよね、分かるわぁ。その人とは仲良くなれそう」


 「もうクリアした」


 「はい、絶交! ふざけんな! 怯えながら震えてろよ! 何もうクリアしちゃってんの?」


 「ノーデスでクリアした」


 「やめて! 俺の心をこれ以上傷つけないで! ノーデスって、逆にアホかな? RTAでもしてたんかってくらい、生き急いでるな」


 「寝ずに頑張った結果」


 「よっぽど帰りたかったのかな。悔しいけど、その気持ちならよく分かる」


 「タロウも見習うべき」


 「モネも寝ずに俺を守ってくれるんなら、俺は一向に構わないんだが?」


 「人には向き不向きがある。タロウは寝ないとダメ」


 俺を慮る発言と見せかけて、しれっと自分の要求をねじ込んだな羽虫。まあ、そもそも寝ないで行動するつもりは微塵もないが。


 「しっかし、他のプレイヤーもいきなり外で寝てるなんて思ってもみなかっただろうな」


 「? 意味不明」


 「いや、だから……あれ? このくだり以前もしたような。怖い怖い! えっ? 違うよね? あの時は他よりもステータスが低いって話だったよね? 拉致られてからの状況は一緒だよね?」


 「拉致は違う。歓待」


 「いいんだよ、今はどっちでも! 拉致でも歓待でも! え? 歓待? 何だよ歓待って? まるで誰かが喜んでいるような言い方してる?」


 「他の九人は別々の場所で、それなりの待遇を受けながら目覚めた」


 「認めない! 俺は断じて認めないからな! ふざけんなよ! 何がムカつくって、そんな待遇を受けながら慌てふためくヤツがいたって事だよ! てっきり、俺と同じように無人の場所で目覚めたかと思ったわ!」


 「タロウだけが異質」


 「やめて、俺はステレオタイプな人間だから。異質とは無縁な生活してきたから」


 「タロウ」


 「まだ何かあんの? やめてよ、怖いんだよ。小出しにされるのが一番堪えるんだからね」


 「もう寝る」


 あ、うん。

 俺は頭に羽虫を載せ、こんな悶々とした気分じゃ眠れないと憤る最中、眠りに落ちた。

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