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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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お金の価値

 おはよう! いい朝だね!


 スキルのお陰で、体育座りなのに良く眠れた。

 ちらりと視界に入ってくる、入り口の血溜まりは取り敢えずスルーで。南無。


 さて、と。羽虫はまだ俺の頭上でスヤスヤだ。


 ……検証してみるか。本当にこの結界は、体育座りの範囲でしか効果がないの? 俺は疑ってるからね。羽虫のスペック的に、無理なんて想像が出来ないんだよな。どうせコイツは、面倒だとか疲れるとか言い訳ばかりするけどさ。


 まずは足を伸ばしてみるか。これが出来ればかなり楽だ。何が悲しくて、毎回体育座りで寝ないといけないんだよ。俺だってのびのびと寛いで寝たいよ。起きてる間はどうせ苦しむことになるんだ、眠る間だけでも楽をさせてくれ。


 いざ、検証開始! 足を伸ば……せない! クソっ! この結界、内側にまで作用してやがる!

 まあ、そりゃそうか。自由に出る事が可能なら、寝相が悪い奴なんてうっかり死んじゃうもんな。


 そう考えると、俺のスキルって中々のアタリなのでは? どんな態勢でも睡眠が取れるなんて、サバイバルでは重宝されるだろう。

 ……いや、普通に宿で泊まれば良いだけの話なんだけどね。サバイバルなんて望んでないんだよなぁ。


 というより、このログハウスだって立派な宿だと思うんだが。何でモンスター入って来てんの? 森だから? ジジイはどう対処してたんだよ。狂ってんのか? こんな場所、一晩過ごすだけであの世行きだぞ。


 「タロウ、食べ物を捧げよ」


 「おはようモネ、開口一番がそれですか」


 「私は結界を張った。当然の権利」


 それを言われると、こっちはぐぅの音も出ない。禁止カードだよバカ。


 「ジャーキーでも食べててよ。俺は持ち物の整理するから」


 ジャーキーを羽虫に渡し、俺は部屋の中をうろつく。何処に行くのか見当も付かないが、どうせ羽虫が知っているだろう。どっちにしろ、出ていく準備は必要だ。


 うーん、どうやって荷物を持っていこうか。リュックなんて便利な物はないし。ん? 椅子か。使えるかな?

 俺は椅子の脚を持ち、肩に載せるように担ぐ。脚の幅が狭くないお陰で、胴体に当たらず済んだ。後は、固定させれば背もたれの部分に荷物が積めるだろう。簡易的な背負子だ。


 固定させる紐を探していると、裂かれた服やズボンが目に入った。

 おー、いいじゃないの。布は丈夫だし、縛りやすいから打ってつけだな。

 俺は嬉々として、血溜まりからそれらを拾い上げた。


 それにしても、熊はご丁寧に服を避けて食事をしたらしい。骨ごと食べてるのに、変な所で神経質な奴だな。まあ、いいかどうでも。さて、背負子を完成させますか。


 さて、荷物を積む前に、羽虫に聞かなければいけないことがある。


 「このドロップしたお金なんだけどさ、どれ程の価値なん?」


 「それは金貨だから、一枚で1万ゴルド」


 「ゴルド? ゴールドじゃなくて?」


 「ゴルド。こちらでの単位」


 へー、やっぱこのゲーム適当だな。あのゲームに寄せてんのがバレバレなのに、何で訴えられるから分からないからちょっと変えてある所が最高にダサい。日和るんなら、初めから作らなければいいのに。そうすれば、俺だってこんな所でこんな目に合うことはなかったのに。


 「じゃあ、あの熊は10万ゴルドの価値ってことか。これって多いの?」


 「普通の宿なら、5千ゴルドで泊まれる」


 「ふーん、金貨があるってことは銀貨もあるよな。それが一枚千ゴルドって感じ?」


 「そう。タロウにしては飲み込みが早い」


 いやいや、お約束だからね、これ。どうせ次が銅貨で、さらに次が鉄貨だろうな。ん? 鉄貨って、どんな色だろう? そう言えば、この小屋にも鉄クズが入った布袋があったな。ジジイの趣味かと思ったが、あれは金なのか?


 俺は目当ての布袋を持ってきて、逆さにひっくり返す。ジャラジャラと音を立てて、鉄クズが散らばる。それらは親指の爪くらいの大きさで、長方形という規則性が感じられる。


 「これは、鉄貨か?」


 「そう。一枚10ゴルド」


 駄菓子屋でも開くのかよジジイ! 鉄貨ばかり集めやがって! 両替しろよ両替! 無駄に重いんだよバカ! 死んだ後でも迷惑かけやがって!


 「はぁ~、とりあえずさ、街に行きたいな。金はあるんだし」


 「街は北に進めばある」


 「マジで! こっから北ってこと?」


 「違う。草原から北」


 「ん? じゃあ、ここは?」


 「東の森」


 ……何で草原が基準になってんだよ。


 「因みに他はどんな場所?」


 「西の洞窟、南の海流」


 はい! 北に進みます! 決定! 街だよやっぱ。文化的な生活が送りたいのよこっちは。


 「タロウ、私、腹ヘリ」


 俺は三倍速で料理を仕上げ、日が暮れる前に草原へと戻る決意をした。

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