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人生はクソゲーだって? 本当のクソゲーを見せてやろうか?  作者: しらたま


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炎の料理人

 あーあ、死んじゃったよ。また草原に戻るん? どこまで戻るん? 初めての夜を越えたことも無かったことになんのかな。はぁぁ、クソゲー滅ぶべし。


 俺は暗転した闇の中で、鬱蒼とした気分を抱えた。

 やがて訪れる覚醒。痛み無し。場所は、ん?


 俺はログハウスの中で目を覚ました。


 あれ? 俺って死んだよね? まさかまさかの、セーブポイント更新? よっしゃあああ!


 「タロウ、起きるの遅い。愚図」


 くそっ、最高な目覚めが一瞬で萎えた。


 「おはよう、モネさん。どういう状況か聞いてもいい?」


 「私、腹ペコ。以上」


 お前の状況じゃねーよボケカス! そこら辺の木でも食ってろ!


 「ここはログハウスの中って事でオーケー?」


 「そう。早く食事にするべき」


 「待て待て、時間は? 戻ってる? 進んでる?」


 「そこに転がってるジジイを見れば分かる」


 羽虫の指す方へと視線を向けると、涎を垂らしながらピクリとも動かないジジイが倒れていた。


 死んでる、よね? よっしゃあああ! ざまあああ! わっしょいわっしょい! テンション上がるぜ!


 「大変気分が良いので、食事を作ろうかな」


 「はよはよ」


 「まずは食材を探すぞ。モネも手伝えよ」


 俺はログハウス内を軽く探索する事にした。探索と言っても、広くはない。つうか、ぶっちゃけ出入り口以外の扉がない。その扉も俺が壊してしまったが、ちょっと広めのワンルームだ。


 棚がないし、水場もない。あるのは、木材で作られた簡易なベッドと机に椅子が一脚ずつ。食材どこよ? と、訝しんでいると、壁に吊るされた汚い布袋が目に留まる。


 よくよく見たら、壁にはいくつもの布袋が吊るされていた。これが収納棚の代わりなのだろう。一つ手にとって覗いてみると、香辛料の匂いがする。アタリだ。


 次々に袋から取り出して確認すると、結構な量の食材や調味料が集まった。で、だ。鉄鍋は見つけたんだが、火はどこよ? 明らかに火を通さないといけない食材があるんだが。主に肉など。


 そして敢えて気付かない振りをしていたが、調理する机が汚い。ただ汚いだけじゃなく、血痕が染み付いている。そして横目に入るのは、柱に絡まっている鎖。そう、ここは俺が拷問された時にジジイが使っていた机である。


 気分的にも衛生的にも、ここに揃っている刃物や机を洗いたい。だが、水がない。

 何で水場がないの? ジジイは野糞でもしてたの?

 

 「タロウ、まだ?」


 いるじゃーん! 水出してくれる便利な羽虫がさ!


 「モネさん、この机に水をぶっかけてくれない?」


 「なぜ?」


 「美味しい料理の為に」


 「なら仕方ない」


 チョロ虫サンキュー。出してくれた水で、念入りに机とナイフを布袋で擦る。よし、衛生的にはまだまだだけど、気分的には晴れ晴れした。


 後は知らない野菜を適当に刻み、判別つかない肉を適当に刻む。ここで大事なのは、何の肉とかは考えてはいけない事だ。食べられる肉とだけ、考えればよろしい。


 切り終わった食材を鉄鍋に入れ、羽虫にお願いだ。


 「ちっちゃい火出してくれる? くれぐれもちっちゃい火ね。家が燃えるとかはナシで」


 「面倒。外でやった方が早い」


 それもそうか、と俺は同意し、鉄鍋と調味料が入った布袋を引っ提げて外へ出た。


 「はい、じゃあお願いしまーす」


 「フンッ」


 羽虫の気合いと共に火柱が立ち昇った。


 バカかな? 10メートルはあるじゃん。フンッ、じゃねーよ。少しは加減しろよ。


 「タロウ、何してる? 早くして」


 えー、この中に鍋突っ込むの? 鍋溶けない? 大丈夫? 後、俺も大丈夫?


 「もうちょっと抑えてくんない? 食材が炭になるよ?」


 「それは駄目」


 おおっ? 火柱が徐々に縮んでいく。出来るんなら初めからやってほしい。

 この位ならイケるかなって所で、俺は鉄鍋を突っ込む。

 振るべし振るべし振るべし! そして調味料を適当にパッパッパッだ! まあ、岩塩の欠片と挽いてない粒の胡椒だが、問題あるまい。はいっ! おまっとさん! アチアチ肉野菜炒めだよ!


 ではでは中に戻り、戴くとしますか。

 木の器によそい、それをモネに渡す。俺は鉄鍋から直接食べる。だって、器がないんだもの。カトラリーも一式しかないから、手掴みで食うか? と考えていると、羽虫は何処から出したのか、箸を持っている。


 「その箸どうしたん?」


 「私のマイ箸」


 あっ、そう。まぁ、フォークも羽虫には大き過ぎるから使いづらいわな。じゃあ、俺が遠慮なくフォークを使います。


 ……その前にちょっと。視線を感じるんだよなぁ。ジジイ、こっち見んな。

 俺は席を立ち、ジジイを壁側に転がした。

 さぁ、料理を食べよう!


 「うん、美味いじゃないか。なかなかどうして、いい塩梅だ」


 黙々と食べる羽虫を見て、少しホッとした。作り直せと言われないか心配だったのだ。


 「そういや、乾パンみたいなのがあったな。モネ食べる?」


 「モグ食べモグるモグ」


 なんて? まあ、食べるんだろうよ。食いしん坊だからな。

 結果、乾パンはモネしか食べられなかった。

 俺には硬すぎた。石を齧ったかと思ったもの。


 「ふぅ満足。ただ、塩気が強かった。次回は改めて」


 姑のような小言に怒りを覚えたのは言うまでもない。

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