表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/35

023:†クラウド・ダークネス†

「いらっしゃいませ! 【ロールベア】へようこそ!」


 ギルドの受付にいくと、お姉さんが元気よく笑顔で迎えてくれた。

 サンが冒険者ギルドで依頼の達成報告をするついでに、俺も冒険者として登録をする事にしていたのだ。


「冒険者登録をお願いしたいんだが、どうすれば良い?」


「あら、新人さんですか?」


「冒険者のことは友人に聞いているが、ギルドに来るのは初めてなんだ」


「そうなんですね。登録は簡単ですよ。魔物との戦闘経験や、討伐の実績が証明できるものはお持ちですか?」


 戦闘と討伐の経験はブラックベアとナイトウルフだけだが、サンの話が本当ならAランクやSランクらしいから実績としては十分だろう。

 今のサンのお祝いムードを見るに、その危険度は信用してよさそうだ。


 だが証明するものもあるとはいえ、あれはサンの荷物だからな。

 別になくても良いか。


「経験ならあるが、それを証明できるものは持ってないな」


「でしたらまずはEランク……初心者スタートになりますね。よろしいですか?」


「仕事が受けられるのなら何でも良いよ」


 別に英雄のなりたいわけではない。

 当面の生活費が稼げるならそれで良いのだ。


 お姉さんの説明によると、最低はFランクで戦闘経験すらない未経験者はFランクから始まるらしい。

 実績はないが経験はあるので一つ上のEランク。

 これは未経験ではない初心者のランクらしい。


「もちろんFランクでもお仕事はありますよ。報酬が高い依頼を受けるには相応の冒険者ランクが必要になりますけどね。依頼をクエストと呼ぶのですが、いくつかご紹介しましょうか?」


「いや、それは後で良いよ。この町に来たばかりだから宿も探したいんだ」


「わかりました。ではこちらのギルドカードに触れてください。契約の魔法でアナタの名前や実績データをこのカードに登録できるようにしますので」


「これでいいか?」


 俺は言われたとおり、手の平くらいのサイズの金属板に手をのせた。

 ひんやりとした感覚に、慣れない不思議な感覚が混じる。


「はい。では……【転写契約】(トランスクリプト)!」


 カードが光ると同時に不思議な感覚が腕に伝わってきた。

 その感覚は駆け抜けるようにしてすぐに消える。


「では、冒険者名を登録します。登録したい名前を教えてください」


「名前はク……クラウドだ」


 危ない危ない。

 今の俺はクモルではないのだった。


 俺はここではクラウドと名乗ることにしていたのだ。


 なにせ今の俺は指名手配犯だ。

 ここでは王国の外だが、情報は共有されている可能性がある。


 なんでも「魔王に魂を売った闇落ち勇者」とか言われているらしい。

 長いな。


 なのであらかじめ偽名を決めておいたのだ。


 その名もクラウド。

 (くもる)だからクラウドだ。


 単純だがカッコいいしな。

 フッ……。


「クラウドさんですね。姓はお持ちですか?」


 しまった。

 そこまで考えていなかった。


 普通、持っているよな。

 それに無いよりは有ったほうが便利だろう。


「あぁ……ダークネスだ。フッ……」


 とっさにカッコいい名前にしてしまったな。

 フッ……。


「あら、お持ちなんですね。どこか高貴な家柄のお方なのでしょうか?」


 姓は貴族しか持たないものらしい。

 そうだったのか。


「あぁ……いろいろあってな。あまり詮索されるんのは好きじゃない」


「それは失礼しました。……あら、こちらのお名前はすでに登録されているようです」


「え? そうなの?」


 重複不可なのかよ。

 ネトゲか?


「はい。先に登録された方が優先になります。なのでギルドでは冒険者ネームとして別の名前を名乗る事も許可されていますが……どうされますか?」


 そもそも偽名の使用は許可されていたらしい。

 最初に言ってほしかった。


「どうしても本名が良い場合は、これは抜け道的ではありますが……ネームドマークと言うテクニックがあるんですよ。名前に記号を追加する事で同名でも登録できるんです」


 なるほど。ネトゲだな。

 だが記号まで一緒だと登録はできないらしいので、少し珍しくて普段はあまり使用されない記号がオススメされた。


 よし。

 だったらこれにしよう。


「これで頼む」


「はい……こちらは重複なしです! ではこの名前で登録しますね」


 お姉さんが何か呪文を唱えると、カードの光がゆっくりと消えていった。


「はい、おつかれさまです。これでクラウドさんのギルドカードが出来ました。登録おめでとうございます!」


 こうして俺の登録が完了した。

 この名前がこの世界での俺の新しい名前になるというワケだ。


 これが俺の新しい名前……「†クラウド・ダークネス†」だ。

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「フッ……」

 と思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です。


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

 感想や誤字脱字の報告は作品の参考にさせていただきます。


 好きなページがあればいいねもいただけると今後の参考になります。


 よろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ