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016:意外な理解者?

「やはり私の推理は間違っていなかった」


 俺がこれまでの経緯を説明すると、古島は納得したように大きくうなずいて、そして初めて小さな笑顔を見せた。


 古島は氷のようにクールな印象の少女だった。

 そのギャップに少しドキリとする。


 切り揃えらえた黒い前髪に隠れる鋭い視線。

 すらりと長い手足にほっそりとした体だが、出るところはしっかり出ているスタイル。

 あとはメガネをかけていれば完璧だったな。


「違和感があった。城の被害状況と君のスキルの戦闘能力に乖離がある。私たちのクラス30人の勇者序列から考えても城の特級騎士たちはトップ10クラスの力を持つはず。君のスキルが本当に無能なら特級騎士たちに囲まれた状況からの逃走は不可能だと考えるべきだし、加えてあの場には七宝剣も駆けつけた……」


 いや、こいつめっちゃ早口でしゃべるな。

 最初は無口な感じかと思ったのだが、一度しゃべり始めるとなかなか止まらないタイプらしい。


 特級騎士やら七宝剣やら、何かいろいろと知らない単語も出てきていた気がするが、とにかく本人が納得しているなら良いか。


「俺の話を信じてくれるのか?」


「うん。国王の話には矛盾が多すぎる。みんながあいつらを信じていることの方が理解できない」


「まじか~~~……」


 やっと話を聞いてくれるクラスメイトが現れて、俺は思わずアホみたいなリアクションをしてしまった。

 肩の力が抜けていくような安心感だ。

 普通に話をきいてくれているだけなのに、こんなに感激するとは不思議な物である。


「理解が早くて助かる。正直に言うと、王国は何か怪しい事を企んでいる気がする。お前からみんなに説明してもらえないか?」


 これは誤解を解く良いチャンスだった。

 俺でも国王でもない第三者からの話なら聞いてもらえるかも知れない。


「それはムリ。私が言っても誰も耳をかさない。こいつもそう」


 気を失ったままの綿部を、古島は座ったままで無表情に見下ろした。


「君を捕まえて帰れば自分がもっといい立場になれると考えている。利用しようとしているだけ」


 クラスメイト達もこの世界での生活に必死という事だろう。

 生きていくには食べ物や寝る場所が必要だ。

 城にいれば最高の待遇を受けられるってワケだからな。


 それを手放すような悪い方向に思考しようとするヤツは普通はいない。

 誰だって自分に都合の良いように考えたがるものだ。


「そうか。なら仕方ないな。できるだけ早くここから移動する事にするよ」


「心配しなくても追手はもう来ないと思う。国王からそんな指示は出ていないから」


「そうなのか?」


「こいつは君を捕らえる為に城にも無断でここに来た。私は計画に付き合うふりをして君に会いに来ただけだから」


「そうだったのか。じゃあ、焦る必要もないか」


 なにせここは「出られぬの森」だからな。

 呪いを無視して森に進軍されたら呪いを何とかしないとこちらには逃げ場がない。


「そんなことより」


 安心していると、ずい、と古島が顔を寄せてきた。


「君の能力は何なの? さっきのクマは特級騎士でもそう簡単に倒せるかわからないレベルに見えた。綿部だって仮にも勇者。その攻撃を無傷ではじくなんて普通の魔物じゃないのは明白。それを君は一瞬で倒して見せた。疲れる様子も見せずに。綿部はパニック状態でまともな判断が出来ていなかったみたいだけど君の戦力は明らかにザコ認定されるべきじゃない強力なスキルだと判断すべき」


 やっぱりめっちゃくちゃ早口だ。

 返事をする暇もないマシンガントークである。


「わ、わかったから……説明するから」


「あっ……ごめん。興奮しすぎた。夢中になると止まらなくて……ごめん」


 我に返ったように急にテンションが下がる。


 なるほど。

 しゃべり出すと止まらない所は自分でも気にしているようだ。

 それで普段は無口にしているのかも知れない。


 それはなんだがもったいない気がした。


「いや、良いんじゃないか? 早口でしゃべってる時の方が、良い笑顔してたと思うぞ?」


「……良い笑顔?」


 何それ? と言うように首をかしげてくる。


「そっちの方が可愛いって事だよ」


 恥ずかしいので言わせないで欲しいんだが、他にぴったりな言葉も思いつかなかった。


 すると古島はボン、と真っ赤になった。


「かかかかかか!?」


 嚙みすぎて何も言えてない。

 なんだこの分かりやすい反応は。


 こっちも恥ずかしいのをこらえて言ったのに、そこまで反応されるとさらに恥ずかしくなるじゃないか。

 さっきまでのクールな雰囲気はどこへ行った?

 めちゃくちゃ目がグルグルしているぞ。


「べべべべべ別に。ななな何もにゃっ」


 思いっきり舌を噛んでるし。

 痛そう。


 あっという間に氷が溶けたみたいだ。


 そして俺は気づいた。


 こいつ、クール系美少女なんかじゃなかった。

 こいつはクール風美少女なのだ。


「ん…………?」


 俺はそこで何か、違和感を覚えていた。


 さっきまで古島に俺が追放されるまで経緯を話していた所だ。

 試練を受けて、王と戦い、クラスメイト達にも襲われかけて……そして俺は城から脱出をした。


 何か違和感がある。

 俺は二人一組で、誰かとペア組んだんじゃなかったのか?

 試練はそうでないと受けられない。


 ではそいつは誰だ?

 そいつはそれからどうなった?


 俺は何か大切な事を忘れている気がした。

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「クール風系とは……?」

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