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起きたらそこにはゾンビ!

 皆さん、こんな経験はありませんか?

 目が覚めるとなにが起きているのか分からないなんて状況。

 今まさに僕はその状況に置かれています。

 高校卒業後、職にも付かずフリーターで生計を立てていますが、こんな状況は初めてです。

 何が起きているかって? それは……。


 「なんで人の部屋にゾンビがいるの?」


 「……グアァァァァ!!」


 「いやあぁぁぁぁぁ!!!」


 ちょっとちょっと、どういうこと?

 なんかすごい勢いでこっちに来たんですけど!

 しかも血まみれだけどちょっと可愛い女の人が!

 

 「一人暮らしの部屋に始めて来た女性がこれってどういうこと?!」


 「グアァァァァ」


 「ご、ごめんなさい!」


 ひとまず逃げないと! 

 でも出口はこの人が塞いでいるし、この人どう見てもまともじゃない。

 今は何とか体を守れる場所に……、そうだ!


 僕は机のスマホを取ると、出口とは逆の場所にあるユニットバスへと走り込んだ。

 ここなら僕が扉を抑えている限り入ってくることは無い。


 それでも女性は何度も扉を叩いている。

 もう勘弁してくれ!


 「はぁ、はぁ……、よしスマホは生きている。ネットは」


 僕はネットで何が起きているのかがむしゃらに調べた。

 未知のウイルス、死者の復活、全世界に拡大……。

 見れば見るほど嫌になる見出しの数々。

 ただどうやらこの事態は1週間前から発生しているらしい。

 

 「どういうこと? 今日は10月30日だろ? 僕昨日バイトだったよ?」


 何がなんだか分からない。1日でこんなことになるか普通?

 でも僕は気が付いた。スマホで調べるうちにとてつもないことに。

 

 「光和2年……? え、はぁ??」


 元号って令和だよね? 光和2年? ってことはもしかして。

 

 「パラレルワールド……? いや、ないないない」


 「グアァァァァ」


 「ひぃ、ごめんなさい!!」


 そうだここがパラレルワールドかなんて今はどうでもいい!

 こんな所にいつまでもいられないんだ、どうにかして外の女性を!


 僕はスマホでとある掲示板を開いた。

 もしここがパラレルワールドでもここの住人はいるはず。

 案の定、そこではゾンビに対する議題で持ち切りだった。


 「よし、何々……?」


 1、ゾンビは音や匂いに反応している。

 2、動きは遅いが集団に囲まれると危険。

 3、映画通り頭を潰すと動かなくなる。

 4、噛まれるとウイルスに感染。

 5、動物には何故か興味を示さない。


 「まんま映画のゾンビだな」


 他にも議論がされていたが、有益なものはこのくらいか。

 頭を潰す……、そんなこと出来るもののなんて……。

 

 「あ、あったわ玄関に」


 ここがパラレルワールドでもユニットバスの中を見るにこの部屋は僕のものだ。

 それなら玄関に金属バットが!

 あそこまでなら行けるか?

 ええい、こうなりゃヤケクソだ!


 「ぬあぁあぁぁ!!」


 ……あれ、何で襲ってこないの?

 やめて、一大決心をそんな覚めた目で見ないで。

 女ゾンビはしばらくこちらを見つめていたが思い出したかのように僕に襲い掛かって来る。

 よし、ドアをあけた衝撃でゾンビが少し離れた。

 玄関まで行けるぞ!


 僕は玄関まで走る、そして掴むそこにある金属バットを!

 あれでも待てよ? もしここがパラレルワールドだとするとこの部屋はこの世界の僕の部屋ってことだよね?

 じゃああの女性は……。


 そこで僕は気が付いた。

 いままでは無かったはずの下駄箱上の写真に。


 「……この世界の僕の馬鹿やろォォォォ!」


 ゴンッ!! 部屋に響く鈍い音。

 手に伝わる嫌な感触。僕の振りぬいた金属バットは正確に女ゾンビの頭に命中。

 ゾンビの頭はバットがめり込み、その場に倒れるだった。


 そんな彼女が人間だったころの姿と仲良く映る僕の姿。

 そう玄関にはその写真が飾っていたのである。


 「この世界の僕、絶対ぶっ殺す……」


 こうして僕のゾンビサバイバルが幕を開けるのだった。

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