第22話 暁の光 後
俺達がサーヤさんとの会話に夢中になっている間にリーダーのレイヴンがぐったりしていた。
「おぬし達が話に夢中になっている間にレイヴンは大分追いつめられておったぞ。」
「え~~と、何を追いつめられていたんですか?」
「そんなの決まっておろう。おぬしとの決闘についてじゃよ。」
何を聞かれたらあんなにぐったりするんだよ。
レイヴンは二人に根掘り葉掘り聞かれたらしく項垂れている。
「え~、リーダー大丈夫~~。そう言えば、クライス君と決闘したんだって~~。どっちが勝ったの~~。」
「えっ!!お前、俺の状態観て聞くとかありえないんだが・・・。」
そこはレイヴンさんに同意してしまう。
エマさんは全くレイヴンさんの状態等気にせず聞いていく。
多分、マイペースに気になる事を聞いているんだろうな。
「負けたよ、負けた。そこの小僧があまりに強すぎて驚きだよ。」
「クライス君リーダーに勝ったの~~。リーダーって馬鹿そうに見えるし顔は怖いけど結構強いんだよ~。」
「結構は余計だ!!それに馬鹿そうってなんだ!!あと、顔が怖いのは余計だ!!おかげで今までの自信が無くなったよ。」
サーヤさんって意外と辛辣だな。
俺もあそこ迄言われたら嫌だなー。
「クライス君って強かったんですね~~。二年前は冒険者に憧れる子供だったのにね~~。」
「懐かしい話です。今は、冒険者になるのは難しいですね。護衛の仕事はやりがいのある仕事なので満足しています。」
「しかし、他の学院生は分かるがお前に護衛が必要か?お前一人で俺達のパーティー分は働きそうだぞ。」
「戦ったおぬしからしたらそうかもしれんが、流石にクライス一人では護衛は無理じゃ。」
「分かってますよ、言わせて貰っただけです。流石に明日は王女様の護衛はどの冒険者になるかは分かりませんが、うちのパーティーの誰かが担当した場合は誠心誠意努めますので宜しくお願いします。」
「おぬし、確かに見た目と印象が一致しておらんの~。流石はBランクと言った所か。」
リリカ様がレイヴンさんを褒める。
流石にリリカ様に褒められたのが嬉しかったのかレイヴンさんは顔を赤くしながら頭を掻いていた。
「リリカ様、そろそろお時間ですが・・。」
「むっ!?時間が経つのは早いな。仕方ないの~、明日の護衛担当は教員の方々が決めるからどうなるかは判らんが担当する様になったら宜しく頼むのじゃ。」
時間を確認していたエリスがリリカ様に報告する。
今日はこの後リリカ様は王城で政務があるのでマーガレットさんとガインさんと護衛の交代をしなくてはならないのだ。
「では、わらわ達は帰るとするかの。マスターには宜しく言っておいてくれ。」
「分かりました~~。どうせ、この後マスターの部屋にはリーダーを連れて行くので~お任せ下さい~。」
「サーヤ!?お前、覚えていたのか?」
「何、当たり前のことを言っているんですか~~。マスターに怒られに行きますよ~~。」
「いやっ、少し待て!!えっ!?何でこんなに力が強いんだ?ちょっと待て、お前らも助けろ!!」
「「リーダー頑張って。」」
レイヴンさんはサーヤさんに首根っこを掴まれて退出していく。
サーヤさんって見た目と違って意外と強いのか?
パーティーメンバーの二人に見送られたレイヴンさんとサーヤさんを俺達も見送って帰る事にするのだった。
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