第7話 懇願
俺達は何処に向かってるんだ?
リリカ様専用の馬車に乗って連行される俺達。
連行は言い方が悪かった。何処かに連れて行かれている。
しかも、学院が休みの朝からだ。
事の始まりは昨日の帰りの際だった。
「クライスとエリスは明日わらわに付き合うように。」
「「えっ!?」」
突然の事で困惑する二人。
「え~~と、明日は特に予定は入っていなかったので護衛は大丈夫と言っていませんでしたか?」
「そうですよ、明日は王宮で予定があるから来なくて良いぞって言ってましたよね。」
俺とエリスから少しばかりの非難の感情が漏れ出る。
久々の二人っきりの休み。この前の夜の事があってからお互いがお互いを更に意識しだすようになった。
明日の休日はクライスがエリスを誘って王都でデートをする予定であった。
楽しみにしていた二人。その所為か、多少の非難は許して貰いたいのである。
「すまんが、明日はどうしても二人には付いてきてもらいたいのじゃ。」
「う~~ん、明日は休みでしたので僕達も予定を入れていたんですが。」
「そういえば、明日はマーガレットさんとハヤトさんが護衛に着く話だったのでは?」
「そうなのじゃが、どうしても二人に付いて来て貰いたいのじゃ。マーガレットとハヤトには二人が了承すれば何も言いませんと言質は取ってある。」
必死に懇願してくるリリカ様。
普段のリリカ様からは想像できない程の腰の低さだ。
「因みに、何があるんですか?」
「そうですね、そこ迄リリカ様が懇願するってことは重要案件なんですよね。」
「いや、違うぞ!!重要案件では無い!!王都内で行く所があるんじゃがそこに付き合って貰いたいのじゃ。決して、二人には損はさせんぞ。」
え~~~、こんなに必死に懇願してくるってかなり怪しいよな。
普段懇願しないリリカ様が狼狽えてまで誘ってくるんだ何があるんだ。
本来王族の願いは無茶でも応えなければならない。
しかし、リリカが初めに二人に対しては格別の配慮を設けている為今の様な対応も許されている。
「少し、お待ちください。エリスちょっとこっちに。」
エリスを呼び寄せ二人で相談を始める。
「どうする?明日は待ちに待った休みなんだが・・・・。」
「でも、リリカ様がこんなに懇願してるんだよ。無下に出来ないよ。」
「だよな~~・・・。仕方ない、今度改めて休みを貰おう。」
「そうしようか・・・・、残念だったな。」
話し合いは簡単に終わった。
結局、リリカ様の頼みは断れないのだ。
「リリカ様、話し合いの結果お供させていただきます。」
「おお、本当か!?ありがたいのじゃ!!」
「でも、今度休みを頂けると嬉しいのですが・・・・。」
「それは任せておくのじゃ。わらわが無理を言ったのじゃ、今度の休み位は任せておくのじゃ。」
リリカ様が自身の胸を叩いて宣言してくれる。
これで、次回の休みは確実に保証されるだろう。
「では、また明日の朝に迎えに行くからの。」
「わかりました、お待ちしております。」
そんなやり取りがあった翌日。
リリカ様専用の馬車が迎えに来て乗り込むと中には既にリリカ様が乗っていたのだ。
しかも、何時もよりドレスが高級である。
「えっ!?本当に何処に行くんですか?」
「それは着いてからのお楽しみじゃ。」
一応、護衛という事で騎士団の制服を着てきている。
そして、馬車に揺られる事半刻程。
着いたのは貴族街でありながら他の屋敷よりは主張が少ない屋敷であった。
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