第249話 覚醒 Ⅳ
何かが私の中に入ってきてそれを掠め取られた。
私には理解できないようになっていた。
でも、その声には聞き覚えがあった。
聞き覚えなんてものじゃない。
忘れてはいけない声。
私が愛した人の声。
私を助けてくれる声。
その声に私は応えなくてはならない。
「静かになったわね。さぁ、あと少し。私は蘇る。貴方様と共に生きる為に。」
鬱陶しいと思った声も今では滑稽だ。
足掻いて足掻いて足掻き続けてもどうすることもできないのに。
私は私であるために抵抗する。
この声の主には自由にさせない。
さぁ、起きなさい。
私という存在を確立するために。
「なっ、何!?」
驚きの声が聞こえる。
そうよね。
だって、抵抗される。
起きるとは思っていなかったのだから。
「なんで、なんで、なんで、なんで!!どうして起きてこられるの!?」
「それは貴方が一番理解できないことかもしれない。」
私は眼を開ける。
私の眼にはもう一人の私。
いいえ。
私の姿をした初代。
「いいわ。そんなに消えたいのなら私が消し去ってあげる!!」
「そうならないために私は起きるのよ!!」
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