第246話 覚醒 Ⅰ
「魔力を通します。皆さん、よろしくお願いします。」
クライスが短い深呼吸の後に声を絞り出す。
そして、全身から魔力を練り両腕に集中させる。
エリスの身体の上には『虹彩刀』がありその上に両手が重ねられている。
練り上げられた魔力は膨大で繊細なコントロールにより制御されている。
徐々に『虹彩刀』を通して魔力が送り込まれる。
送り込まれた魔力がエリスの身体の中で渦を巻き始める。
それに呼応するかのように魔法陣が点滅し始める。
「さて、私の出番ですね。」
ルーシアが魔法陣の点滅と共に立ち上がる。
その左手には聖書が携わる。
その右手には錫杖が。
ルーシアは錫杖を地面に打ち付ける。
コーーーン。
シャン。
心地よい音色が静寂の間に響き渡る。
それと同時に聖書が開く。
風もないのに聖書のページがめくられ一枚、また一枚と離れていく。
そして魔法陣の周囲に展開される。
「主よ、迷える子羊に導きを。魂の救済に祝福を。主の奇跡をお恵み下さい。」
ルーシアの聖句と共に頭上より光が溢れる。
溢れる光は一筋の線となり『虹彩刀』に降り注ぐ。
幻想的な光景は観る者を虜にするだろう。
周囲のメイド達もルーシアに合わせて祈りを捧げる。
そして、変化が訪れる。
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