第241話 ルーシアの提案 後
「どうするんですか?」
クライスは縋る思いでルーシアを見る。
そんな表情のクライスをみたルーシアは安心させるように頭を撫でる。
「男の子がそんな表情をしては駄目ですよ。バドとガインに怒られます。」
「そ、そうですね。」
クライスはルーシアの指摘に急いで目尻に溜まった涙を拭きとり精悍な表情を造る。
そして改めてクライスはルーシアを見る。
「そう、そう。その顔。その顔のほうがエリスちゃんも安心できるわよ。」
ルーシアは満足そうにうなずき『アンリ』へと身体を向ける。
『アンリ』もそんなルーシアに姿勢を正し対応する。
「さて、先程のお話の続きですが私も同席しますよ。勿論、私以外に補佐として数名同席しますが宜しいですね?」
「宜しいも何も、術を施すのは番だ。許可は番に取れ。」
「だそうですよ。どうですか?」
ルーシアは隣で聞いていたクライスに確認を取る。
勿論、クライスの答えは決まっていた。
「大丈夫です。ルーシアンさんが傍にいてくれるのは心強いです。」
「うふふ、ありがとう。と、いう訳ですので私も同席しますね。」
「かまわん。それで具体的にはどうするつもりなのだ?まさか、我と共に術を見守るだけではあるまい?」
「当たり前です。我が神の奇跡を使い術の成功率を高めます。」
「我が神か・・・・・・・・・・、まぁ良いだろう。日時はそちらで決めろ。詳しい話は番と詰めるがいい。」
『アンリ』はそう言うと部屋から出ていった。
恐らく、あてがわれた部屋に戻ったのだろう。
再び部屋に静寂が訪れる。
恐る恐るクライスはルーシアに声尾をかける。
「ありがとうございます。」
「いいのよ。エリスちゃんやクライス君には私達もたくさん助けられたもの。少しでも恩返ししないとね。じゃ、早速詳しい話をしましょうか今から時間は大丈夫かしら?」
「はい。」
「なら、王城に向かいましょう。リリカ様にも報告が必要ですから。」
足早にそれでも優雅にルーシアはクライスを伴い王城に向かう事にする。
そこから激動の一週間が始まるのであった。
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