第234話 齎された情報 後
リリカが頭を抱える中『アンリ』は人形に魔力を補充し終えた。
「これでいいだろう。約束は果たすようにな。」
『アンリ』はリリカの状況などお構いなしに言葉を続ける。
否、『アンリ』なりに気を使っているのだろう。
これからの事よりも眼の前の処理していかなければならない問題のほうが大きいのだから。
問題点で言えば後者が大きい。
しかし、今すぐではない。
幾何かの余裕がある。
故に、『アンリ』は自分の事を優先しろと暗に告げているのであった。
ヨロヨロと起き上がるリリカ。
眼の前の人形を眼にすると息を呑んでしまう。
まるで今にも動き出しそうな程の魔力を感じるのだ。
これなら騙せる。
リリカは確信を持つことができた。
「この人形をどう使うかはお前次第だ。どう使うかはなんとなく想像ができるがな。失敗だけは許さんぞ?」
「心得ております。これだけの人形なら貴族も黙らせましょう。後は貴方様には静かに結果を待っていただくだけです。」
「うむ。それで我はどこで待って居れば?」
「クライスとエリスの館でお待ちください。くれぐれも外になどは出ぬように。」
「わかっておる。少しの時など悠久の時を過ごした牢獄に比べれば些末なものだ。」
リリカの言葉に『アンリ』は手を振り応える。
『アンリ』がいた牢獄は時の流れが歪になる。
常人なら精神が壊れてもおかしくない程の。
しかし、そこは神。
悠久の時を過ごした神の感覚からすれば一年ですら一瞬なのだろう。
故に、考えが違う。
リリカに齎した爆弾発言もどの程度の猶予があるのか。
情報過多によりリリカの頭は整理が必要なのでこの事実に気付くのはあと少しの事であった。
本作『精霊と混ざりあった少年』を読んでいただき誠にありがとうございます。
『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。
感想もお待ちしています。(メンタルは弱いので誹謗中傷は控えていただけるとありがたいです。




