第39話 再会と招待
「リリカ様、先程は素晴らしい決闘でしたね。」
「あら、アーカム様じゃありませんか。ありがとうございます。私もクライスが勝利したので嬉しいですわ。」
「クライス君は凄く強くなりましたね。二年前とは比べ物になりませんね。」
「お褒め戴きありがとうございます、アーカム様。」
「はははは、君がそこ迄畏まっていると違和感があるね。」
「流石に皆様の眼がありますので。」
俺は小声でアーカム様に苦言を言う。
二年前の様に話すのは流石に不敬になるだろう。
「そうだね・・・、でも僕としては二年前みたいに話がしたいとも思っているよ。」
「そう言ってくれるだけでも気が楽になります。」
「勿論、エリス嬢もね。更に綺麗になりましたね。」
「ありがとうございます。」
エリスが満面の笑みをアーカムに返す。
そのエリスの表情を見たアーカムが一瞬固まったように見えた。
「ふふふ、君の笑顔は二年前から変わらず驚異的な破壊力だ。」
「そうでしょう。何人の男性がエリスに骨抜きにされたか・・・・。まぁ、今も昔もクライスに夢中ですから入り込む余地は無いでしょうね。」
「ちょ!?リリカ様!!」
「ははははは、その男性の気持ちは痛い程解りますよ。僕もその一人ですからね。」
アーカム様が笑いながら自虐をする。
あれ、アーカム様ってこんな性格だったか?もうちょっと真面目で融通が利かない様な感じだったような?
僕の違和感を感じ取ったのかアーカム様が苦笑いを浮かべる。
「二年も会わなければ多少の違和感は出ると思うよ。流石に僕も次期辺境伯としての勉強をしているからね。それに、貴族のパーティーに出るからには腹芸の一つや二つは身に着けるものさ。」
「そうですよ。言い方は悪いかも知れませんが貴族同士の付き合いで腹の探り合いは当たり前です。いかに自分を優位に持っていくか、その一点に置いては貴族の必須話術ですね。」
「な、成程。では僕には難しいですね、僕は直ぐ顔に出るとエリスに言われますから。」
「それはこれから鍛えていきますよ。今後は諸外国の貴族の方とも会う機会が増えますからね。」
「わ、分かりました。」
俺はリリカ様の宣告で肩を落とす。
その絶望感漂う雰囲気にアーカム様は笑いを堪えながら顔を手で覆っている。
「ぷっ、ふ、が、頑張るしかないね。」
「いっそのこと笑ってください。我慢されるのは辛いです。」
「はっはははは、いや~ごめんよ。っとそろそろ次の方と交代だね。僕がずっとリリカ様達を独占しては怒られる。ガイン様やエマ様とも話さないといけないからね。この機会を逃すと何時あのお二人と話が出来るか分かりませんので。」
「そんなに有名なんですか?」
「えっ!?逆に聞くけど、ガイン様やエマ様の逸話を聞いた事無いのかい?」
「教えて下さらないので・・・・。稽古をつけて貰ってますので強いのは分かります。しかし、自分の話は一切してくれませんし、調べたら遠慮はしないと脅されましたので。」
「そ、そうなんだ。あれかな、先入観を持って欲しくなかったのかもね。そうなると、根気強く訊ねてみるしかないね。」
「そうします。」
「では、リリカ様今日の所はこの辺で失礼いたします。・・・・もし、宜しければ今度密やかなお茶会を開催したいと思っておりますが参加してくださいますか?」
アーカム様は最後に小声でお茶会への招待を行う。
公の場で直接リリカ様を誘うのはマナー違反にあたる。
しかし、アーカム様に限ってはそのマナー違反にはあたらない様だ。
何故なら、リリカ様が満面の笑みではっきりと返事をなさるからだ。
「名残惜しいですが、仕方ありませんね。・・・・・、日程がお決まりになりましたお知らせください。是非とも参加させていただきますわ。」
リリカ様も小声で参加の表明をする。
これで、後日にアーカム様主催のお茶会が決定した。
場所は王都内にあるウース辺境伯の別邸だろう。
別邸は王都にウース辺境伯家が滞在するための屋敷だが、今現在はアーカム様が王立の貴族院に通っている為にアーカム様が使っている。
お互い王都の学院に通っているが貴族院と魔法学院では場所が離れている為接点が殆ど無いのである。
リリカ様が参加されるなら護衛である俺とエリスも参加するだろう。二年振りにウースで出会った四人がお茶会で集まる。
その事に胸をときめかせているエリスと、久しぶりに羽を伸ばせると思われるクライスはこの後の歓談を苦も無く乗り切るのであった。
成長したアーカムが登場。
前回は話の流れの都合上チョイ役でしたが今回はがっつり出演してもらいました(笑)
さて、第二章も次の話で終わりです。
第三章も誠心誠意書いていきますので引き続き楽しみにしていてください。
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